竜の神様、いつだってマイペース。
結局オミさんにからかわれて、黙らせたかった私はたい焼きを買って食べさせた。
「「あっちぃ!!!」」
「言い忘れましたが、あんこは熱いので気をつけて下さい」
「お前、絶対わざとだろ!!」
「そんな事ないですよ。ほらほらギュッと持つと、あんこが出ちゃいますよ」
「覚えてろよ」なんて言うけど、仮にも神様がそんな三下の捨て台詞みたいな事を言うでない。スーパーで半額なっていたカツを買って、夜はカツ丼にしてあげたらいたく気に入って、
「これ、また明日も食おうぜ!!」
「毎日は太っちゃうから無理ですって、明日は野菜スープです」
「それ絶対不味いだろ」
「「はっ倒しますよ」」
日本には米粒一つにも神様が宿るって言われてるのに、なんと罰当たりな事を神様が言ってくれてるんだ。もう今日は色々あって私はグッタリなのに‥。
それでも綺麗に食べられた丼を見ると、やっぱりちょっと嬉しかった。
「おら、脆弱な人間の皿も洗ってやる」
と言って、オミさんが私のお皿も洗ってくれた。
おお、明日は雨が降る??
スマホで天気予報を見たら、明日は晴天だった。あれ〜?
課題をやっている間にオミさんにお風呂に入ってもらうと、今度はバスタオルを肩に掛けているけど‥ビッショビショですね!?ドライヤーを持ってきて、私に渡すのは何でですかね?!
「もう!自分で乾かして下さいよ」
「お前のは俺がやるんだから、いいだろ」
「いいわけあるか!!」
とは言いつつ、オミさん髪が長いからなぁ〜〜。
ブロッキングして乾かした方がいいかなぁ?ヘアクリップを出して、ちょっと髪を分けてドライヤーを当てると、「くすぐったい!」ってクレームを入れられた。何故だ。
「ほら、サラサラになりましたよ」
「よきにはからえ」
「本当ぶっ飛ばしますからね?」
私が睨んでも、どこ吹く風。
ニヤニヤ笑って私のベッドに、我が物顔で寝転んで雑誌を読むオミさん。‥‥神様の概念をそろそろ改めないといけないのかもしれない。
課題をなんとか終えてから、お風呂に入る。
本当に今日は色々あったけど、なんていうかようやく安心して生活できるんだと思ったら嬉しくて、お風呂から上がったら言いそびれていたけど、オミさんにちゃんとお礼を言おうと思った。
お風呂から出てベッドを見ると、オミさんはすっかり寝こけていた‥。
そうだよなぁ‥。
全く知らない世界に来て、私から離れて自由に生活は出来ないし、力も出せないようだし、大学では見られないようにしなきゃだし、疲れちゃうよね。
長い赤い前髪をサラリと撫でる。
それなのに、助けてくれて‥
不器用な手つきで背中を撫でてくれたオミさんの姿を思い出して、またちょっと笑ってしまう。あれは、今思い出しても笑えるし、可愛かったな。
「‥オミさん助けてくれて、ありがとう」
小さく呟いて、そっと髪から手を離して、ちょっと微笑む。
そうして性懲りも無く私は寝袋をそっとクローゼットから出してその中へ入って目を閉じる。今日こそはオミさんも寝ているし、大丈夫だろう。
横になった途端、疲れがドッと出てきて目を瞑ると、フワッと体が浮かんだ気がしたけど、もう瞼が重くて‥あっという間に眠ってしまった‥。
そうして、目を開けると目の前にスマホが見える。
あれ??もう朝??
私、いつの間にアラーム止めたっけ??
時間を見ると、あと15分くらいで家を出る時間だ。
「「えっ、嘘、寝過ごした!!???」」
慌てて体を起こそうとすると、寝袋じゃなくて掛け布団が体に掛かっているし、ぶっとい筋肉の腕が私の体を抱きかかえている。オミさんがまだ半分眠そうな顔で私を見て、
「‥うるせぇな。すまほなら止めといたぞ」
「「あ、アホかーーー!!!!遅刻するでしょうに!!!」」
大急ぎでオミさんを叩き起こし、慌てて身支度しておにぎりだけは作ってオミさんを玄関へ追い出すように押し出す。
と、隣の扉が開いてドキッとしたけど、
お隣のお兄さんが小さく「おはようございます」って挨拶してくれて、肩の力が抜けた。
そんな私をオミさんがニヤッと笑って見て、
「おい、神を敬ってもいいんだぜ?」
「じゃあ、今後スマホのアラームを勝手に止めないで下さい。せっかくお弁当作ろうと思ったのに‥」
「お弁当って美味しいのか?」
「そうですね〜。オミさんがアラーム止めなければ食べられたのにな〜〜」
「じゃあ帰ったら作れ」
「「教えるから、自分でも作りましょうね!!」」
もう!!この神様ときたら、本当に色々しでかすな!?
今日も満員電車に揺られるのか〜〜。
オミさんをジトッと睨むと、「おい行くぞ」ってサッサと歩いていくので、慌てて追いかけた。お金持ってないのに、電車に乗れないでしょ〜〜が!!!!




