竜の神様、竜の国で盛り上がる。
オミさんにがっしりと抱きしめられて、こんなんで寝られるのか?
そう思ったけど、私の鋼‥ならぬオリハルコンの精神は堅牢であった。疲れもあってか、爆睡だった。
それくらいガッツリ寝て、ふと目を覚ますと、お日様が大分空高く上がっている。
「‥今、何時だろ」
てっきり一緒に寝ているかと思ったオミさんはいなくて、部屋はシンとしてる。
私の体にはまるで風邪を引かないように!とばかりに毛布がぐるっと巻きつけられていて、最初どうやって体を動かそうと悩んだほどだった。なんとか体を動かして、腕が動くようになると毛布から脱出できた。
「オミさん?」
辺りをキョロキョロと見回すとテラスからコトッと何か物音がする??テラスの方へ歩いていくと、突然テラスの大きな扉が開いて、オミさんが花束を抱えて入って来た!!
「え?あれ?お花??」
「‥起きたのか」
「お、起きましたけど、え、えっと??」
オミさんは私の前にツカツカ歩いてくると、私の前に花束を差し出す。
え?これ、さっきオミさんのお父さんがくれたのとは違うやつ‥だよね?これをどうしたんだろう?そう不思議に思ってオミさんの顔を見上げると、ちょっと目元の赤いオミさんが私にずいっと更に花束を差し出すので、そっと受け取る。
「‥えっと、もしかして取りに行ってたんですか?」
「おう」
「あ、ありがとうございます?」
「なんで疑問形なんだよ」
「いや、突然なんでかなって‥」
「‥結局、連休だってのに色々巻き込んだし‥いや、そうじゃなくて‥」
オミさんはブツブツと何か言ってから、すっと顔を上げて私を真っ直ぐに見つめる。あんまりにも真剣な顔で思わず花束を持つ手に力がこもる。な、何??
「‥ありがとな」
「えっ」
オミさんからの思わぬ言葉に目を見開いてしまう。
「‥俺一人じゃ何も出来なかった。だから‥ありがとうな」
オミさんの言葉に、驚きと同時にそんな風に素直にお礼を言われたのが嬉しくて、ぶわっと涙が出てきてしまう。
「な、なんで泣く?!!お礼を言っただけだぞ??」
「そ、それが嬉しくて‥」
「嬉しくても泣くのか?!」
「泣きますよ〜〜。オミさんすごい事言ったって自覚して!」
「‥お礼を言っただけで自覚って‥」
オミさんの呟きに確かに?ってなって、小さく笑うとオミさんはあからさまにホッとした顔になる。ああ、可愛いなぁ。それでもってやっぱり好きだな。ようやく私はこの大好きな人と別れなくてすむんだ‥そう思ったらホッとして、私の顔を心配そうに見ているオミさんにちょっと背伸びして、チョンと軽くキスをした。
「‥なっ」
「‥私もお礼です」
やってしまった。
つい、好きが溢れ過ぎて?自分からキスなんてものをしてしまった。
オミさんが私に近付こうとするので、慌てて後ろに下がると、すかさず睨まれた。
「なんで逃げる?」
「いや、なんかオミさんから危険な気配がして?」
「ここは俺からのキスを受け取る所だろう」
「嫌です!無理です!!」
ぎゃあぎゃあ言いながら部屋中をグルグル回って逃げていると、人間の姿になったセキさんがバーンと扉を開けて、
「青葉様ーー!!!起きましたか?お昼ご飯はいかがなさいますか?」
ニッコニコで尋ねてくれた瞬間に私のお腹がぐ〜〜っと元気よく鳴った。
オミさんがぶっと吹き出して私を見るので、速攻でメンチを切ったさ!乙女の腹の音を笑うんじゃない!!プイッと横を向いて、オミさんから2歩離れると、オミさんはすかさず2歩近付いてきた。意味がない。
花束は部屋にセキさんが飾ってくれて、皆で食堂へ行く。
テーブルの上には、食べ物がこぼれ落ちちゃうんじゃないかってくらい乗っかっていて、私は目を丸くした。
「え、こ、こんなに?」
「‥今日、夕飯までには元の世界へ帰るからな」
「あ、そうなんですか?」
「もう少し案内したかったけど‥、力を使って時間を調整しても、連休が終わる前に戻るには今日までだから」
そうかぁ。
それは急だけど、仕方ないか。
なにせ2泊3日くらいが、一体何泊超過したっけ?だもんね‥。私はちょっと拗ねた顔をするオミさんを見上げて、
「‥また来たいです」
「‥そうか」
「今度、神の島の神王様にお詫びの品も持って行きたいですし」
思わず遠い目でそう呟くと、オミさんがおかしそうに笑った。
完全に他人事みたいですけど、オミさんと私の事ですからね!!?ジトッと睨むと、
「おーい!元気になったか?」
「夕方帰るんだって?」
「もう少ししたら蛇神様も来るって!」
「俺ラナと明日デートする!!」
どやどやとヨークさん達が食堂へ入ってきて、私は驚いた。そしてオミさんは睨んでいた‥。
「ここは俺の城なのに‥」
「まぁまぁ、助けてもらったじゃないですか」
「じゃあ、後でキスな」
「それはしません!!」
すかさず突っ込むけど、オミさんは私の手を繋いでニヤッと笑うと皆と一緒にテーブルについた。さて、いっちょ盛り上がりますか?




