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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
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竜の神様、神の島で食い止める。


薄茶のちょっと髪を短く切ったおじさんは、ちょっと疲れた顔をしつつもオミさんを見つめる。



「ルディオミ様、そこを退いてくれると助かるのですが?」

「悪いがそれはできない」

「‥何故ですか?」

「お前が道をこれ以上踏み外さない為だ」



オミさんの真剣な瞳に、おじさんはちょっと体が揺れる。

そうして顔を歪めて、小さく笑う。



「‥本当に、そういう顔は姉さんにそっくりだ。でももう無理だ。審議の紙は用意したし、これを出すまでにどれだけ私が手を汚したか分からない。やり直す道はない」


「だからそれを止めに来た」

「貴方一人で?愛しい人を守れると?」



おじさんは悲しそうな、でもどこか虚ろな瞳で私達を見る。

瞬間、背筋がゾクりとする。

あ、この感覚‥。あのオミさんの所へ来た時の感覚に似ている。



ジッと、おじさんの方を白の龍に付いていたあの黒いものが胸の中いっぱいに渦巻くようについているのが視えた。



「‥オミさん、胸の中に白い龍についてたのと同じのが‥」



私が小声でそういうと、オミさんが静かに頷く。

オミさんにも見えるの?

あ、そういえばさっき大分アレなキスしましたもんね‥。そ、それのおかげか??思わず顔が赤くなりそうだったけど、今は非常事態だ!!落ち着け私。



「交渉は決裂かな?譲る気がないのであれば、申し訳ない‥。姉さんの子だし、命までは取らないよ?」



そうおじさんが言うと、サッと手を上げる。

すると上空でこちらの様子を伺っていた竜達が一斉に人間の姿になって降りてくる。



ざっと20人くらいはいる?!

オミさんが私の前に立って、槍を握る。



「おい!!お前らも出てこい!!」



オミさんが真っ直ぐ前を向いたまま叫ぶと、道を挟んだ両側の森からヨークさん達が飛び出してくる。


「あー!!なんで言っちゃうんだよ!奇襲しようと思ったのに!」

「いや、そもそも奇襲は俺らには無理だろ」

「っていうかぁ、俺、戦場の前の口上してみたかった!」

「ラナに言われなきゃ絶対来なかったのに‥」


ええ??

何でここに??!だって、あんなに島に行ったらやばい!って言ってたのに‥。私は目を丸くしてヨークさん達を見る。



ヨークさん達はちょっと照れ臭そうに私を見て、


「蛇神様に神殿に入らなきゃおっけーじゃ!って言われて、近くまで送ってもらったんだ。女の子一人のままにはできないでしょ〜」


「俺もいるが」

「ルディオミは数に入れてません」


ノルトさんとセオさんが同意のように頷いて、エトラさんだけが「これ終わったら俺ラナとデートすんだ!」とやたら張り切ってるけど‥。うん、この空気和む。



オミさんはちょっと呆れた顔をしつつ、



「じゃ、俺一番乗りだ!!」



ばっと前に飛び出して、おじさんに飛びかかって行く。

と、おじさんは手から白い丸い膜を出して、オミさんの攻撃を弾いて、いつの間にか同じように槍を出してオミさんの体へ真っ直ぐに刃先を向ける。



こ、殺さないんじゃなかったのか〜〜〜!!!

怖くて目を瞑ってしまいそうだったけど、ヨークさん達が私を取り囲むと、襲いかかって来る人達を槍や剣で追い払うかのように、攻撃を弾く。



私も何か‥

何かできればいいのに。

オロオロしつつも、皆次々に飛びかかって来る敵を殴ったり、叩いたりして追い払おうとしてる。


と、戦っている人達の後ろから、一人が何かを持って祭壇へ走っていく。



「あ!!審議の紙!!?」



私は慌てて、エトラさんの足の間から飛び出して祭壇へ走っていく人を追いかける。



「あ、バカ!!青葉、危ねぇ!!!」



オミさんの声が聞こえるけど、そんな事言ってる場合じゃないでしょう!!祭壇に審議の紙を出されたら、オミさんのおじさんを止めたいって気持ちまで台無しになっちゃうじゃないか!!



審議の紙を持っている人は私を見て、力を使ったのか白い丸い光が一直線に飛んでくる。



た、頼むぞ!指輪!!

そう願うと、白い丸い膜が私の前に現れて、ものすごい音を立てて力を弾いてくれた。あ、危なかった〜〜!!



だけど、審議の紙を持っている人はあと少しで祭壇の前に着いてしまう。

さっき私の力をオミさんが使えてたように、私も使えるか?

それなら‥、



「ほ、炎出ろ〜〜〜!!!」



思いっきり叫んで、オミさんのように炎をイメージすると、祭壇の前が炎に包まれた!やった!!良いアイデアだった!!そう思って、驚いて足を止めたその人の腕の中から審議の紙をサッと奪い取った。



「か、返せ!!!」



その人が私を掴もうと手を出して、咄嗟に避けようとして後ろに避けた拍子に、石畳で足がつまづいた。



「あ」



私の体が祭壇にベチャッと寄りかかってしまって、慌てて起き上がろうとした途端に体が透け始める。



「え??え???」

「青葉!!!!」



オミさんがこっちに走ってくるのが見えたけど、一瞬にして私は意識を失った。




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