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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
170/254

竜の神様、神の島でやる気満々。


オミさんとクリーム色の石畳の上を歩いて、林を抜けると、


ものすごく広い道が目の前に広がり、その奥に高い石の建物があってその手前に階段がある。あの階段を登って、神殿に入るのかな??



「本来、ここまでなら誰でも入ってもいいんだ」

「そうなんですか?ヨークさん達は入ってはダメって‥」

「ああ、奥の神殿はもちろんダメだ」



やたらと入らないように、そう言い含めてあるらしい。

なるほどなぁ〜‥。



「オミさん、どうしてここへ来たんですか?」

「審議を止める為だ」

「え?もう秘密裏に出されたって‥」

「秘密に出しても、奴らはここまで持ってこないと審議は受理されない」

「ここ‥?」



オミさんは私の手を引いて、奥の神殿から海側に私の体を向けると、

そっちは海辺まで一直線に道が繋がっていて、海辺の手前に石で出来た祭壇らしきものが置かれている。



「あの祭壇の上に、審議の書類を置かないと奥の神殿にいかない」

「書類をあそこに置く前に奪い取ろうと思ってました?」



私がそう言うと、オミさんがニヤッと笑う。



「審議の話が出た時点で、用意してると思ってたからな。こっちにあらかじめ来てたんだ」


「オミさんの行動がすごい‥」

「まぁ、だから兄貴達も今頃結婚式挙げてると思うぜ。秘密裏に」



え?!!そうなの??目を見開くと、オミさんはニンマリ笑って‥、



「こっちがやられっぱなしなんて格好つかないだろ?」



なるほど王族様もしたたかでいらっしゃる?



「‥なら、一緒にやらせてください」

「ダメだ、危ねぇ」

「私だって書類を破くくらいは出来ますよ?」

「破けねぇ。そんなヤワなモンで出来てねぇ」



オミさんと私で、しばし睨み合う。

両者一歩も引かないつもりである。だって私は勝手に逃がされて、勝手に婚約破棄されて、また何も出来ずにいるのか?



「分かりました。一発勝負で決めましょう」

「はぁあ?」

「オミさん、愛‥「「だーーーー!!!!!」」



オミさんが慌てて大きな手で私の口を塞いだ。

ニンマリ笑って、オミさんを見上げると、ぐっと口を悔しそうに歪めるオミさん。



「‥お手伝い決定ですね。よし、何か武器を探します!」

「お前なぁ!言っておくけど、まじであっちだって危なくて‥」

「どうぞお構いなく〜。私は私で頑張ります!」

「そうじゃなくて‥あーー!!もう!!!」



森の中に、武器になりそうな木でも落ちてないかと探すべく、構わず歩いていくと、オミさんが髪をガシガシとかく。



「本当にあぶねーからな!」

「そんな危ないのをオミさん一人で対処しようとしてたんですか?」

「俺はいいんだよ!」



このぉ!!クルッと振り返って、オミさんを真っ直ぐ見上げる。



「よくないです!!私だってオミさんが大事なのに!」

「なっ‥」

「一人でそうやって何でも抱えたり、どうにかしようってしないで下さいよ」



オミさんの気持ちも分かるんだ。

きっと誰かが傷つくくらいなら、自分が‥って。それは私も同じだから。

オミさんが傷つくくらいならって‥。ああ、本当にお互いに不器用だ。だからお互いに好きになったのかもしれないな。



私は瞳が揺れるオミさんを見上げて、



「役に立てないかもしれないけど‥、せめて側にいさせて下さい。何かあったら、相手をこうパンチすればいいんでしょ?」



ちょっとパンチの真似をしてみると、オミさんは眉を下げて小さく笑った。



「‥本当にお前は‥」

「お前じゃないです。青葉ですー」

「‥青葉、本当に危なくなったら神殿の中入れよ」

「いいんですか?」

「ここまで来てる時点で、何も怖くないだろ?」

「そうでした」



オミさんは私の手を握ると、



「あっちに俺の寝場所がある」

「え?」

「ひとまずいつでも戦えるように休むぞ」

「あ、はい」

「あと武器の扱い方も教えておく」

「お、おお、分かりました」

「躊躇わず、ぶん殴れよ」

「‥オミさんが言うと、説得力ある〜〜‥」



しみじみとそう言うと、オミさんはニヤッと笑う。

うん、私の好きな笑顔である。私も負けじと笑ってみせた。




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