竜の神様、独り言。(オミさん視点)
今回はオミさん視点のお話です。
とにかく、暴れに暴れていた。
城に帰って来たらいきなり親父が部屋にやって来て、何事かと思ったら青筋を立てて俺を睨みつけてきた。
とうとう竜の尻尾を踏んだらしい。
そう気付いた時には遅かった。
急に手を光らせたかと思うと、「お前にはこの国の世界の神としての自覚が足りない」とか「苦労をかけたと思って、甘やかしていたがそれも終わり」とか色々言われ、
「「修行として、人間界で人の為に働いてこい!!!」」
そう言われて、いきなり人間界に落とされた。
まじかよ、あのクソ親父。
修行ってなんだよ、何すんだよ。意味がわかんねぇ。
そう思いつつ、ゆっくりと目を開けたら小さい部屋に立っていて、驚いた顔をした小柄な女の子が俺を見上げていた。
肩くらいまである黒髪に茶色の目だ。
俺の世界にはあまりない色彩だな。へ〜綺麗だなぁ‥そう思って、じっと見る。
「お前、誰だ?」
「それはこっちのセリフです!!」
それもそうか。
青葉という女の子はとうきょうという街に住む人間だった。どうやら持っていたお守りとやらが、竜繋がりでここへ送られて来たようだった。手の甲に火竜のマークがあって、契約者だとすぐわかった。
‥けど、親父送る相手‥確認したのか?女子だぞ、女子。
そう思ったけれど、意外にしっかりと受け答えするんで、なんとかなるか?そう思ったけど、隣の家から嫌な視線と思念が飛んでくる。こいつ、こんなちっこいのにあんなのが隣にいて大丈夫なのか?
どこか怯えるようにしていたので、防音と思念がこちらへ来ないように遮断すると、ようやく安心した顔をしていた。‥全然大丈夫じゃねーじゃん。
自分でご飯を作れと言いつつ、ご飯を作って出したり、
素直に感想を言えば、喜んだり、笑ったり、随分素直に感情を出すんだな‥と、体から流れる気を見ていて思った。
人間って、もうちっと黒い部分とかあるけど、真っ直ぐに育ってきたんだろうな。
髪を乾かすのを面倒くさそうにしていると、
不意に触れてきて、乾かそうとするけど危機感とかあんのか?と、こっちが心配になる。
真っ直ぐすぎて、欠如してんのか?
それでも、ふんわりと柔らかい気が気持ち良くて、もうちょっと触れたいと思ってしまう自分もいる。こんなガキにあほか俺は。
勉強をすると言って、明かりが当たらないように自分の体を壁のようにして、書物をじっと見ている横顔を見ていると、なんか不思議な感じがして、目を離さず見ていたら恥ずかしがる姿を見て、今度は胸がムズムズとした。
寝袋に入って、静かに瞳を閉じた青葉をそっと抱き上げると、
ふんわりと柔らかい気がそばにいるだけで心地いいなと思って、本人の意思を確認しないのは悪いかな‥と、思いつつ抱きかかえて眠ると、久々にゆっくり眠れた。
ずっと、誰にも言わずにいたどこか寂しい気持ち。
青葉の気はそれを柔らかく包むようで、本人には絶対言わないけど、すまほのアラームが鳴らなければずっと抱きしめていたかった。
いきなり現れた俺に、飯を食わなくてもいいって言ったのに、
恐らくいつもより色々用意した朝食。
昼は自分はパンを一個にするくせに俺にはいくつも寄越すとか、こいつ大丈夫なのか?と心配になる。俺は神だぞ?別に食わなくても死なねーのに、自分より人を優先するとか本当に人間か?
周りにある悪意とか、嫌な思念に喰われちまわないかって思うと目が離せない。
そうして、生き霊に怯えていた青葉が
とうとう本体の中に潜んでいた悪意を追い出すのを見て、安心したのか急に泣き出して、俺は大いに慌てた。
泣かせようとした訳じゃないぞ?
安心できるようにしたのに、なんで泣くんだ??
ふわふわした柔らかい気が心細そうに揺れるから、なんとか落ち着かせようと背中を叩いてみた。小さい時にされたのをやった所で泣き止むか??
でも、泣き止ませ方なんて知らねーから、なんとか泣き止め、泣き止めって、思いながら背中を叩くと、不意に青葉と目が合う。
面白そうに俺を見て、吹きだした顔を見て、
胸がぎゅっと苦しくなった。
なんだこれ。
安心して欲しかったのに、なんで俺の胸がムズムズするんだ。
わけがわかんねー。
泣き止んだ青葉から慌てて離れて店へ戻ろうとするけど、心配で後ろを振り向いてこちらを追いかける青葉を見て、ホッとする。
本当にわけが分からない。
修行って、こういうのも含まれてんのか?!
調子が狂う自分にイライラしつつも、落ち着いた青葉の気がふわふわと優しいものに戻っていると、たまらなく安心する。‥本当‥意味がわからねぇ。なんだこれ。




