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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
165/254

竜の神様、竜の国でいつの間にか婚約破棄。


魔竜に水の中へ叩き落とされた私達は、一生懸命にもがいたけれど何かがグイグイと上に引っ張っていく。


口から息が全部出てしまって、もうダメだと思ったその時

眩しい光が私を水の上に押し上げた。



「青葉、大丈夫か?!」



ぐいっと引っ張られて顔をあげると、蛇神様が私の体を水の中から軽々と持ち上げた。


「へ、蛇神様!??」


私は驚いて目を見開くて、蛇神様はニヤッと笑って私を地面に下ろす。驚きつつ周囲を見回すと、私達が出てきたのは蛇神様の庭の池だった!!


後ろからバシャッと水飛沫を上げつつヨークさん達が飛び出すように出てきて、皆地面に前回同様にぶっ倒れた。



「こ、ここって‥」

「うむ!わしの家じゃな!魔竜に頼んでお前達をここへ送ってもらった!わしが直接助けると、今はちと面倒じゃからなぁ」


「ま、魔竜‥。あ、だからわざと水の中に‥」

「大分、大胆な感じじゃったがな〜」



ははっと笑うと、蛇神様は私のびしょびしょの体を力を使ったのか一瞬で乾かしてくれた。


「あ、ありがとうござ‥」


お礼を言いかけると、



「「青葉様〜〜〜〜!!!!!」」



ビターンと、蛇の姿のセキさんが私の顔に飛び込んで、そのままズリっと落ちるので慌てて腕で抱えた。


「せ、セキさん?!」

「青葉様!!!この2日間どんなにあの連中と一緒で恐ろしかったか!!セキはやはり一緒についていけば良かったですぅうう!!ああ、このセキ!!もっと、もっと強ければぁあああ!!!」



2日間??

たった数時間じゃなかったの??

でも時間がずれる事もあるから、おかしい事じゃないのか?



「‥お、落ち着いてセキさん。皆さんここまで一生懸命連れてきてくれて‥感謝しかないから」



おいおいと腕の中で泣くセキさんに慌てて説明すると、私達の後ろで立ち上がったヨークさん達が驚いた顔をする。そうしてお互い顔を見合わせて、


「ルディオミの彼女にゃ勿体無いな」

「あいつ、本当もげろ」


エトラさんがドヤ顔をして、


「俺の活躍のおかげだな?」

「「「エトラ、お前は黙ってろ」」」


3人にすかさず突っ込まれていた。うん、この緊迫感のなさ‥もう一周回って落ち着くわ。



「えーと、それでオミさんは?」



私は腕の中のセキさんを見ると、止まっていたはずの涙が再びブワリと流れた。


「そ、それが‥」


セキさんが言いかけたその時、シキさんが慌てた様子でこちらへやって来た。



「蛇神様、少し厄介なお客様です」

「‥フン、面倒な奴らだ。青葉、お前達も部屋に入って静かにしておれ。エトラ、お前だけ奥に行ってろ。出てくるな」



蛇神様は絶対だぞ!と念を押すと、シキさんと一緒に玄関へ向かって行ったので私達は言いつけ通り縁側から部屋へ静かに入って、息を殺す。エトラさんは流石に念を押されて、皆より少し部屋の奥でいじけた様子で座っている。



と、玄関から大きな声が聞こえてきた。



「蛇神様、めでたい事に来週末に急遽ですがパティア様とファルファラ様の結婚が執り行われる事が決定したんです!」



え??結婚を反対されてたんじゃないの??

私達はその言葉を聞いて、顔を見合わせて耳を疑った。

しかも、この声‥、この大きさ‥、朝、聞いた人と同じ??私の腕の中にいるセキさんを見ると、コクリと小さく頷いた。



「‥翼竜族の大臣の一人です」

「翼竜族の‥」



翼竜の大臣さんはなおも大きな声で話すので、会話が筒抜けだ。



「来週末に結婚とは、随分と急じゃな?一年後と聞いていたのに‥」

「はい!反対の声もあったのですが、ルディオミ様が婚約を破棄する事で丸く収まりまして‥。善は急げと決まった次第でございます。いや、喜ばしい決定に浮き足立ってしまいしてね」



婚約を破棄?



ヨークさん達が一斉に私を見るので思わず体がビクッと跳ねた。

え、えーと、間違いでなければ‥、婚約してるのは現在私‥だよね?セキさんを見ると、今にも号泣して叫び出しそうだ!慌てて口元に手をやって、シー!!と口元に指を当てる。



そんな事を知らぬ大臣さんは、「これは招待状です!ぜひいらして下さい!!」そう言って帰って行ったようだ‥。シンと静かになって、蛇神様がうんざりした顔をしながら部屋へ戻ってきた。



「‥と、いう事だそうだ。あいつめ、わしが竜の子に修行をつけていたから、わざわざ釘を刺しに自らきおったわい。ご苦労なこって!」



招待状をぽいっと捨てるように投げると、シキさんがすかさずキャッチし、それを見てスイッチが入ったようにセキさんが瞬間わっと泣き出した。



「「口惜しや〜〜〜!!!!このセキ、何もできず、ここで泣くしかできないとは口惜しや〜〜!!!呪いを、呪いをかけてやります!!!藁の人形で丑の刻参りです!!!」」


「お、落ち着いてセキさん!!落ち着いて〜〜!!」



うっかり泣きそうな事案なのに、セキさんの荒ぶりように涙はどこかに吹っ飛ぶし、蛇神様は思いっきり爆笑するし、ヨークさん達はオロオロするばかりで‥。うん、緊迫感とか悲壮感がどこにもなかった‥。




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