竜の神様、竜の国で問題発生。
オミさんにハンモックで寝る!!
そう訴えたがあえなく却下され、真っ赤な顔でオミさんに抱きしめられたまま‥気持ちよく眠った。鋼のメンタル万歳。
朝陽が差し込んできたのか、明るい光を感じてそっと目を開ける。
後ろを振り返ると、静かに寝息を立てているオミさんの寝顔が見えた。うちで見る顔よりもリラックスして寝ているように思えるのはやっぱり自分の家だからかな?
腕のシートベルトもいつもより緩いので、静かに腕の中から抜け出せた。
ホッと息を吐いて、身支度しようとベッドから体を起こした途端、手首をオミさんに掴まれてコロッと転がったかと思うと、オミさんの腕の中に逆戻りした。な、なな何をする!!
「‥勝手に起きるな」
「神様、無茶苦茶です」
私がオミさんの腕の中から見上げると、オミさんの目元が赤い。
恥ずかしくて堪らない私は慌てて目を逸らすと、オミさんはそっと私を抱きしめる。
「‥‥別に、まだ何もしねぇよ」
「まだ」
「い、いや、その内」
「その内」
「‥‥魂を、その結ぶまでは」
つまり結婚までは清いお付き合い‥と、いう事ですね?
昨日の夜、大いに戸惑って慌てていた私は思わずホッと息を吐くと、赤い顔のオミさんが私をジトッと見る。
「だから、今日もいつも通り一緒に寝るからな!」
「え、えええ、は、恥ずかしいんですけど‥」
「‥それは俺も同じだ」
「じゃあ別々でもいいのでは‥」
「‥一緒がいい」
‥神様、軽率にデレないで下さい。
照れ臭そうに私をチラッと見て、すぐ視線を逸らしたオミさんを見た私は今、確実に朝から死にそうになりましたけど!??ブワッと湯気が出たんじゃないか?ってくらい赤い顔になると、まるでついでとばかりにオミさんに頬にキスされた。やめて!!朝から殺しに掛からないで!!!
オミさんが赤くなった私を見てニヤッと笑うと、体を起こす。
と、扉をノックする音が聞こえてオミさんが返事をすると、扉の向こうから‥
「ルディオミ様、ちょっと‥」
いつも元気なセキさんが言葉を濁すように話すので、私とオミさんは顔を見合わせる。
「ここにいろ。行ってくる」
「あ、はい‥」
何だか胸騒ぎがして、オミさんが出ていった扉を見つめた。‥ひとまず私も着替えた方がいいかな?ベッドから降りて、昨日教えてもらった部屋で着替えてから部屋へ戻る。
昨日は慌ただしくて全然写真を撮れなかったので、今日はポーチにスマホを入れてもう肩に掛けておく。こうすれば何かあっても写真を忘れないかなって。お母さんにも景色見せたいし‥。
すると、セキさんがまた小さく扉をノックして部屋へ入ってくる。
「セキさん?」
「青葉様、ちょっとまずい事になったんで静かにこちらへ来て下さい」
出来る限り、足音を立てずに‥というので、いよいよこれはマズそうだと思ってセキさんとそっと部屋を出る。石の階段を注意して降りて、長い廊下を歩いていく。
「あの、一体何が‥」
私がそう言いかけた時‥、
「ですから、ルディオミ様と婚約者を襲ったのが白竜族の魔物という事は、由々しき事態なのです!」
大きな‥何だか芝居がかった声に思わず足を止める。
ちょうど通り過ぎた扉の中から声が聞こえるけど‥、相当声の大きい人だな??私は扉を見ると、セキさんが私の腕を引っ張るので、また進もうとすると、
「‥俺がいる以上、大丈夫だ」
「いいえ、ここも危険です!ルディオミ様‥どうぞ婚約者様を我々の城で守らせて下さい。‥何が起こるか、今はわからない事態なのですから‥」
優しい言葉のはずなのに、男の人の声を、言葉を聞いて、ここにいては危険だと頭のどこかが叫んだ。あのオミさんに払われる前のお隣さんに似た、ドロリとした怖さに似ている。
まずい。
確かにこれはまずい。
私はセキさんに引っ張られながら、物音を立てずに走っていった。
セキさんが食堂の中へ走っていくと、隠し扉なのだろうか、
棚を引っ張ると、真っ黒い空間が現れて湿っぽい風が顔に当たる。
その中からヨークさんと、その友達2人が灯りを手に持って私を見るとホッとした顔になる。
「あ、昨日の‥」
「覚えてくれてて良かった。すぐ逃げるぞ」
「え‥」
この3人と??
私は思わずセキさんを見ると、ものすごく苦い顔をして‥、
「本来、青葉様をお任せするのは大変不本意な連中なのですが、リリア様が青葉様を保護すると仰ってくれたので、頼むことに致しました。このセキ!!苦渋の決断です!!!」
こんな事態でもいつものセキさんだな‥。
でもそんな姿にちょっと笑って、セキさんの頭を撫でると嬉しそうに微笑んでくれた。




