竜の神様、竜の国でちょっと戦う。
白い龍の攻撃をひらりと避けて、オミさんが私の側へものすごい勢いで降りてくると、ヒョイッとまたも抱き上げる。
「お、オミさん??」
オミさんはちょっとジロッと私を見てから、
水の中にいる3人を見回す。
「お前らも手伝え。様子がおかしい」
「だから言ったじゃんか!!俺ら何もしてねーって」
「あれはどっから現れたんだ」
「水竜の滝から。あそこの水場からいきなり出てきた」
オミさんはちょっと片眉を上げて、
「エトラはどーした?」
「リリアちゃんにめっちゃしばかれて、家から出られない」
「だからからかいに行こうとしたら‥、って、き、来たぁあ!!」
3人は慌てて水の中から飛び出すと、白い龍の攻撃を必死に飛んで避ける。オミさんも急いで空へ飛び上がって行くけど、私を抱き上げていて攻撃なんてできるの??
「お、オミさん、私がいたらマズイんじゃ‥」
「お前、なんかヨークと話してたろ」
「え、ああ‥、あの白い龍みたいなののお腹に黒い影が見えたって話してたんです。あ、ほら、あの辺り」
白い龍から逃げ回るヨークさんを見ながらお腹の辺りを指差すけど、オミさんは眉を潜める。
「‥見えねぇ。もしかしたら幻術を掛けてるのかもな」
「げ、幻術??」
「俺らには見えないけど、お前はこっちの世界の人間じゃないから見えるのかもな」
そんな事あるの??!
目を丸くしてオミさんを見ると、ニヤッと笑う。
「‥青葉、力を一時貸してくれ」
「か、貸す??どうやって?」
「ちょっと顔上げろ」
オミさんの方?
ちょっと顔を上げると、オミさんが私にキスをした。
え??
き、キス??!!!
目を丸くして、顔を離すオミさんのニヤッと笑う顔をまじまじと見てしまった。
その周りで飛ぶ3人の人達が、「あ、なにいちゃついてんだよ!!」「俺も彼女欲しい!!」「ていうか、その前に死ぬからあぁ!!ヨーク、避けろ!!!」って口々に叫ぶので私の顔が一気に真っ赤になる。
「な、な、な‥!!!」
「ん、確かに見えるな」
オミさんは白い龍を見ると、私を船に下ろして
瞬間ものすごい勢いで飛び上がる。
手の平に白い光をボールのように突然浮かび上がらせたかと思うと、白い龍のお腹に当てる。
と、白い龍は目を見開いて、ものすごい悲鳴を上げる。
怖くて思わず耳を抑えると、口から何かが出てきた?!
オミさんが、キラリと光る石のような物を掴むと、白い龍は何度か咳き込むと、途端に目をパチパチと瞬きしてキョロキョロと辺りを見回す。
「‥何か、悪い術を掛けられてたみたいだ。もう大丈夫。しばらく気をつけろよ」
オミさんが、その白い龍に話しかけると、白い龍はお礼をいうかのようにオミさんの体の周りをクルクルと寄り添うように飛ぶと、静かに消えてしまった‥。
「消えた‥」
「なんかわりーもん食ったか、掛けられたか‥」
私の船の側に、ヨークさんが飛びつつ呟く。
掛けられるって術‥だよね。
一体、何の為に??ちょっとドキドキしてしまうけれど、とりあえず白い龍は元に戻ったようでホッとして、胸を撫で下ろした。
緑の髪のヨークさんがそんな私を見て、ちょっと笑うと、
他の二人も船の側に降りてくる。
「なぁなぁ、ところでルディオミとどこで出会ったんだ!?」
「え‥」
「あ、俺も興味あるー!どこが好きなんだ?」
「え、えええ???」
「あいつ、あんな感じだろ〜?強いけど、口悪いしさ!」
「う、うーん???」
口が悪くないとは言えないので、思わず言葉を濁すと、オミさんが私の前にまたもものすごい勢いで降りてきたかと思うと、そのまま私をギュッと抱きしめるので私は驚いて体が跳ねてしまう。
「お、オミさ‥」
「オメーらうるせぇ。あと見るな。減る」
へ、減る!!?
驚いてオミさんを見上げると、ちょっと目元を赤くしたオミさんが私を見て、3人に顔を見られないようにまたもギュウっと抱きしめるので私は顔が真っ赤になった。
本当、ちょっと加減してくれ〜〜!!!




