竜の神様、竜の国でバーベキュー。
オミさんに手を繋がれて、蛇神様とシキさんと一緒に中庭の方へ歩いていくと、見事な庭園が目の前に広がる。
見たこともない色の花や、木々が植えられていて、庭園の真ん中に建っている四阿は、山の上で朝食を食べた場所に似た真っ白な岩のドームのような形をしている。
「に、庭まですごい‥」
「そうか?」
オミさん、ちょっと本当に自分ちがすごいって自覚して。
周囲から花の香りもするけど、その花の匂いに混じってなんか香ばしい匂いもする??
そう思っていると四阿の中を見ると、蛇神様の別荘で使っていたバーベキューコンロでセキさんが美味しそうなお肉を焼いている姿が見えた。クルッとこちらを振り向くと、にっこり笑って、
「あ!蛇神様〜!シキ!このバーベキューコンロ便利ですね〜!」
「うむ、そうじゃろ!そうじゃろ!」
ブンブンとトングを持った手を振って嬉しそうに笑うセキさんの側へ行く。
おお〜〜、美味しそう!!
もしかして、これがオミさんが槍で仕留めたお肉??
セキさんはニコニコ笑って、
「ルディオミ様の狩ってきたお肉、ぜひ食べて下さいね!」
「あ、やっぱりそうなんですね!わ、楽しみ!」
そう言うとすかさずオミさんがドヤ顔になる。
うん、美味しいから食べさせたいって言ってくれてたしね‥。私が小さく笑うと、蛇神様が早速お皿をシキさんから受け取ってお肉を一口食べる。
「うむ!肉はやはり炭火に限る!そして肉は外で食べるに限る!!」
にっこり笑って話す蛇神様をジトッと見るオミさん。
「‥なんでうちで食う必要があるんだよ。てめーだってこっちにも別荘あんだろ」
「わかってないのう〜〜竜の子!皆で肉をつつき合うから美味しいんじゃ!!のう青葉?」
急な意見の同意を求められて、とりあえず頷くとオミさんがちっと舌打ちする。‥まぁ、一緒に食べようじゃないか。私はオミさんの歓待ぶりに結構驚いていたんでいつものメンバーの蛇神様がいると落ち着くしさ‥?
オミさんの顔を見上げて、
「‥オミさんの獲ってくれたお肉、せっかくだし一緒に食べましょう?」
「‥しょうがねぇなぁ」
小さくため息をついて、オミさんはクロスの掛けられたテーブルセッティングしてある所まで一緒に手を繋いで歩いていくと、お皿と箸を渡してくれた。え、箸まで用意してくれてたの?目を丸くして、お皿とお箸を受け取る。
「‥肉、最初塩で食べると美味いから、まずそこの塩使え」
「あ、はい」
「飽きたら蛇神のタレを使え」
「い、頂きます!」
「そこのスパイスも美味い」
「へ〜〜、綺麗な赤い色ですね」
緑や黄色のスパイスが小鉢に入ってるけど、どんな味がするんだろ‥。中を見ていると、蛇神様がこちらを見てニヤニヤしている。な、なに??蛇神様の方へ顔を向けると、
「竜の子が人の世話をしてる‥」
「へ?割と普通の事では?」
「青葉には特別、だな」
「っへ?」
「うるっせぇ!!!黙って食え!!!」
オミさんがすかさず突っ込むけど、ちょっと顔が赤い。
特別って聞いた私の顔も赤い‥。
いや、まぁ、結婚を決めたくらいですし、お互い特別‥だとは思うけど、そう聞くと今更ながら照れてしまう。
これ、お肉の味するかな〜〜?そう思いっているとセキさんがニコニコ笑いつつ、コンロで焼いた良い焼き加減のお肉をお皿に入れてくれる。
「お肉もありますけど、お野菜も用意しておきましたから!そちらは野菜をなかなか食べてくれないお子ちゃまなルディオミ様に食べさせて頂きたく!!」
「あ、はい。そっちは任せてください!」
「おい」
オミさんに突っ込まれつつ、牛に似た魔物のお肉を一口かじる。
ジュワッと甘く感じる油と、香ばしい香りと、そして噛んだ瞬間に口の中で溶けるお肉‥!!こ、これはまさに高級和牛肉と似てる!!でもサッパリしてて美味しい!!
あまりの美味しさに、もぐもぐ食べつつオミさんを見上げると、ニヤッと笑った。
「うめーだろ?」
コクコクと頷くと、ますます片方の口角を上げるオミさん。
自分のお皿に乗っているお肉も私のお皿に乗せて、「もっと食え」と大変ご満悦の様子。
お礼にとばかりに、緑のピーマンに似た野菜をお皿に入れて上げると苦い顔をして、
「それはいらん」
「野菜は私が担当なんで食べましょうね」
そういうと、蛇神様が「青葉、あーんしてやれ!!あーん」とスマホを構えるので、オミさんが無言で自分で食べた。




