竜の神様、竜の国に招待。
ロシアンルーレット用のケーキを食べてくれた3人とエトラさん。
3人とエトラさんは首をいつの間にか縄で繋がれて、例えるなら死刑3秒前の顔をしている‥。
蛇神様はニヤニヤ笑いつつ、
「いや〜〜、これで許してやる訳にはいかないから、ひとまず地竜の王の所へ連れて行くわい。青葉、すまんなぁ、夜まで騒ぎたかったが、竜の国で今度騒ごう!!」
私とオミさんに話すけど‥、あ、やはり来るんだ。
小さく頷くと、オミさんは渋い顔をして
「来なくていい」
「嫌だ!」
「来なくていい!!」
「だが断る!!!」
‥うん、オミさん諦めよう。
蛇神様は一度言ったら、きっと訂正しないから‥。
そっと背中を撫でると、オミさんはブスくれつつも諦めたようだ。
3人とエトラさんは、竜の国に行くと話を聞いて、
「え、ルディオミ帰ってくんの?」
「じゃあ、今度手合わせしようぜー」
「あ、妹に紹介しろって言われてんだけど‥」
「やっぱりラナが好きだ!!」
なんか若干一名まだ違う発言をしてるけど、ちょっとワクワクした顔をしてる‥。もしかして仲良し??オミさんを見上げると、何も言ってないのに「ちげぇ」って言われた‥。そうなの??
早く行け!とばかりに塩を撒くラナちゃんに見送られて(?)、蛇神様が地竜の王様の所へ行ってしまったので、ひとまずお開きだ。まぁ、ゲームもタコパもしたし、十分かな?
「じゃあ、帰りますか」
「おう!」
オミさんは私の言葉にニヤッと笑う。
明日はなにせオミさんのいる竜の国へ行くしねぇ。
すでにそわそわしているオミさんに小さく笑って、シキさんにお礼を言うと、抱えきれないくらいのお土産を貰ってラナちゃんとシキさんに見送られて家に帰った。
家に戻る頃には、もう夕方だ。
頂いたお土産のお菓子を冷蔵庫に仕舞ってから、夕飯の支度をする。
ちょっと疲れたので、今日はもういつもの肉丼だ。
「オミさん、明日何時頃に竜の国に行きます?」
冷蔵庫から作り置きのおかずを出すオミさんに聞くと、
「じゃあ‥早く行こうぜ」
「となると朝食食べてから‥ですかね」
そういうと、オミさんはニヤッと笑う。
嬉しそうな姿を見ると、私も照れ臭いけど‥嬉しいです、はい。
そうしていつものようにお風呂に入って、オミさんの髪を乾かして、当たり前のように抱きしめられて眠った私‥。
翌朝、ちょっと意識が浮上すると‥何か違和感がいる。
シーツがすべすべ??いや、そうでなく‥。
いつも私を抱えるように寝ているオミさんの気配がしない‥??
と、どこからか足音が聞こえる。
ん?もしかしてオミさん、先に起きてる?竜の国に行く準備とかしてる??
そう思ってぱちっと目を開けて、体を起こす。
「お、オミさん?」
慌てて周囲を見回して、私は目を丸くした。
記憶が間違ってなければ、なんでこんな豪華な大きなベッドに寝てるの?
肩からずり落ちた感触のいい毛布に目を見開く。
周りをぐるっと見回すと‥、高い天井が見えて石をくり抜いた部屋なのか白い岩肌の壁に、天井には綺麗なランプがいくつもぶら下がっている。ベッドの前にある大きな窓からは光が燦々と差し込んでいて、その窓の奥にテラスがあって、窓から遠くの山々や滝や湖なんかが見渡せた。
右手には暖炉とソファ、左手には大きなベッドと机と椅子‥と置いてあるけど‥調度品なんか、絶対うん億とかしそう‥。
いや、そうでなくて!!!
「こ、ここどこ!!??」
呆然としていると、豪華な装飾がされている扉からオミさんが入ってきた。
「お、起きたか」
「オミさん!!ここって‥」
言いかけてニヤニヤ笑っているオミさんの格好に違和感を感じる。うちに最初に来た時のような、白いゆったりしたシャツに黒いパンツを履いていて、まるで竜の国に来たような錯覚を覚える。
いや、待てよ??
私はもう一度窓の外の風景をベッドから見た。
見間違えでなければ、あの風景‥エトラさんに送られて竜の国へ来た時の風景じゃないか!!
もう一度オミさんを見ると、ニマッと笑うオミさん‥。
「お、オミさん!!ここって、も、もしかして‥」
「おう!竜の国で、俺の城だ!」
「な、な、なんで〜〜〜〜〜!!!!???」
なんでもう竜の国に来てるの〜〜!!??
驚いて叫んだ私の声が、広い部屋に木霊した‥。




