竜の神様、タコ焼きを作る。
タコパでロシアンルーレットをかけた勝負は‥
なんと蛇神様の所にいたラナちゃんの圧勝で終わった。
修行を終えたラナちゃんがこっちにいるのは知ってたけど‥ゲームを始めた頃にジュースをトレイにのせて姿を見せてくれたラナちゃんがゲームする私達を見て、目を輝かせ、
「あ、面白そうですね」
の一言でそういえばつい最近までこっちにいた人じゃないか!一緒にやろうぞ!と言う蛇神様の一言で参加。そして、蛇神様も驚くくらいのゲーム超上級者で‥。
私も蛇神様も、そしてあれだけ張り切っていたオミさんなんてコテンパンだった。ジュースをちびちび飲みつつすっかりいじけている様だ。
「いやぁ〜、すみません!ゲームだけは得意で‥」
「いやいや、すごいぞラナ!!今度わしとサバゲーしよう!」
「あ、いいですね〜!!」
すっかり盛り上がる二人を横に、シキさんが大きな立派な座卓の上にタコ焼きを作るべく早速準備を始めている。
「シキさん、作るのお手伝いしますよ」
「ありがとうございます。では、こちらのタコを入れて頂けますか?」
「はーい。オミさんもやってみます?」
私の声掛けにようやくオミさんは、ちょっと顔を上げる。
「‥やる」
「じゃあ、このシキさんの生地を垂らした中に入れるのを手伝って下さい」
「おう」
「あ、チーズとかベーコンもある!」
「美味いのか?」
「タコは入ってないけど、美味しいですよ!」
どれも美味しいと笑って話すと、オミさんは張り切ってタコを入れてくれた。
うん良かった。元気を取り戻したぞ。
小さく笑って、私は変わり種の方を作っていると、向かいの席に座っている蛇神様がニヤニヤしている。
「すーっかりデレデレじゃなぁ」
「で、デレデレではないですよ」
「青葉じゃなくて、竜の子だ」
蛇神様がニンマリ笑うと、オミさんは「はぁあああ?!」って赤い顔で睨む。
「お主、青葉がいてくれて良かったの〜〜」
早速焼けたタコ焼きをシキさんから受け取りつつニヤニヤ笑っている蛇神様に、オミさんはジロッと睨んで「黙って食え!」と怒鳴ると、またタコを入れ始める。
‥お、おお?
いつもとオミさんが何か違うぞ?
蛇神様が驚いている私を見てニヤニヤするので私も恥ずかしいし照れ臭いしで、変わり種をそっと蛇神様のお皿にのせておいた‥。
そうして、ラナちゃんに負けた我々はロシアンルーレットはおやつで!
という事にして、安心してタコ焼きを食べた。
「はー!!美味しかった!!オミさん初たこ焼きどうでした?」
「タコ結構美味しかった」
「あ、そうか‥タコってこっちにしかないですもんね」
「俺の世界にも似た味があるけど、調理法が違うな」
「なるほど!」
「明日行くし、食ってみるか?」
「あ、そうだった!食べてみたいです!」
明日行くんでした。そうでした。
すっかりゲームとタコパで頭から抜けていた。オミさんがニンマリ笑ったその時‥、
部屋がカタカタと小さく揺れる。
「地震??」
蛇神様の神域でもある神社で地震なんて起きるの?
不思議に思った途端、庭の池が大きく水しぶきを上げる。
「え、えええ!!??」
驚いて池の方を見ると、その池から3人の男の人が投げ出されたのか地面に転がっている。緑や、青、銀色の髪色をした人達は息も絶えだえの様子だ。
蛇神様は、慌てる事なく縁側へ出ると、
「なんじゃ、お主らか。何の用じゃ?」
すると男の人達は顔を上げて、
「ま、魔竜が!!エトラを飲み込んで‥」
「俺達、助けようとしたんですけど‥」
「逆に追いかけられて!!」
まりゅう??
エトラさん‥って、あのエトラさん??
の、飲み込まれたって‥、そして追いかけられてって???
私は驚いて横に座るオミさんを見上げると、オミさんの眉間のシワがものすごく深い。えーと、もしかしてお知り合い?
すると、今度は地響きがした…と、思ったら、
大きな池から水柱が上がった!!
そして、バシャバシャと水が辺りに流れ落ちると大きな池からもう少しではみ出してしまいそうなくらい大きな黒いゴツゴツとした鱗が付いた大蛇が姿を現して‥、男の人達を見ると、ものすごい咆哮を上げた。




