竜の神様、ダブルからシングルに。
オミさんズと私、黒猫の猫又さんと一緒に時計塔近くまで走って行く。
走りつつ猫又さんに話しを聞くと、どうやら写真を撮りに来る人達が多くて‥中には悪い気を持っている人もいたらしく、それが溜まりに溜まって暴れだしたらしい。時計塔さんは時計塔の側を離れられないので猫又さんが今まで追い払っていたらしいけど、力をつけ過ぎて限界だったそうだ。
「ったく人間の気は悪いのも多いからな‥」
「そうなんですか‥」
「お前のは大丈夫だぞ」
「え、そうだったんですか??」
自分の気なんて分からないから、驚いたけど‥悪い気じゃないなら嬉しい。そんな事を思っていると、パン!!と何かが割れた音がして、足を止める。
「あれか‥」
オミさんズの声と視線を追うと、背中がゾクリとする。
街灯の上に真っ黒い塊が乗っているのが見えた。け、結構大きくない??!3mくらいある大きな黒い塊はあちこち黒いヘドロのような塊を店の壁や人に投げつけている。と、投げつけられた場所や人の部分が黒くただれたようになって‥、それを見ただけで鳥肌が立つ。
「「んの野郎!!やめねーか!!」」
オミさんズは、手の平から槍を出して刃先に炎を纏わせると、同時に飛び上がって黒い塊に斬り込んでいく。
黒い塊は大きな低い声で咆哮するけれど、周囲の人は聞こえないのか誰一人足を止めない。私の前を猫又さんが守るように立っていてくれるけど、その声を聞いただけで足が竦みそうになる。
赤い炎の槍で黒い塊をザックリと斬り込むが、二人になっているからか十分力が出せないようで苦戦しているようだ。
それでもオミさんは黒い塊の大きな腕が拳を振り上げても、難なく避ける。だ、大丈夫かな‥。蛇神様か言の葉の神様が来てくれないかな‥ハラハラしてオミさんを見上げていると、黒い塊が黒いヘドロを私と猫又さん目掛けて投げてくる。
「「青葉!!」」
オミさんズが同時に叫び、猫又さんが私を守ろうとするけど‥だ、ダメ!!あれを猫又さんが浴びたら絶対危ない!!
そう思った瞬間、丸い白い大きな膜が私と猫又さんの前に出てきて黒いヘドロを跳ね返す。
「え‥」
「お久しぶりです〜。青葉様お元気でしたか?」
白い丸いお饅頭のようなまるさんが私の肩からひょこっと出てくる。
「ま、まるさん!!」
「言の葉の神様が、お手伝いをして来いと仰いまして‥、猫又さん遅くなってしまってすみません」
猫又さんは嬉しそうに喉をゴロゴロ鳴らして「嬉しいです〜!」と言うので可愛い‥。まるさんがオミさんズを見上げて、
「さて、まずはルディオミ様を治しておきましょうね」
「へ??」
そう言うや否や、オミさんズの前に水の塊が現れる。も、もしかしてぺたさん??お水はオミさんズの体を包んだかと思うと、二人が忽然と消えてしまう。
「え、き、消えた??!」
「ああ、大丈夫です。ルディオミ様はあそこへ‥」
まるさんのつぶらな目が黒い塊の上に向けられたので、私もそちらを見ると、黒い塊の上に水が思い切り掛かったと同時にオミさんが一人になって炎の槍を真上から黒い塊に突き刺した!!
黒い塊はそのまま縦に真っ二つになったかと思うと、霧のように消えてしまった‥。
「す、すごい‥」
「はい!ルディオミ様の修行の成果ですね!本当にあのキツイ修行をよく頑張られました!」
「そ、そうなんですね‥」
修行をしてきたけど、まるさんにそんな風に言われるなんて‥オミさん本当に頑張ったんだなぁっと思って、なんだか自分の事のように嬉しかった。ニコッと微笑むまるさんに私も微笑んだ。
「まるさん、ありがとうございます」
「いいえ〜、私はお手伝いしただけですよ。頑張ったのは猫又さんとルディオミ様です」
そう話していると、水の塊のぺたさんも私の前に降りてくる。
「ぺたさんもありがとうございます。オミさんを戻してくれて‥」
「ふふふ、ちょっと面白かったです!」
うーん、言の葉の神様のお使いは本当に可愛い‥。
まるさんは私と猫又さん、私の側へやってきたオミさんを見上げて、
「言の葉の神様が、周囲の建物や人は元に戻しておくとの事です。定期的に周囲を綺麗に出来るように、今回頑張った猫又さんには払うお力をお渡ししますね。どうぞ今後はこちらの地を守って下さい」
おお、それってなんか昇格みたいだな?
そう思っていると猫又さんは「いいんですかぁ??」って言いつつ、喉をゴロゴロ鳴らす‥。うう、か、可愛い。思わず猫又さんの喉を撫でてしまった‥。




