竜の神様、ダブルで駆けつける。
我が家へ心配して見にきてくれた蛇神様。
早速お茶を出すと、ニヤニヤしながらお茶を飲む。ある意味器用ですね‥。
「それで?ラナから薬を貰ったんじゃろ?」
「あ、はい…。オミさん達にって」
「まぁーないよりはあった方がいいだろな。一応食後30分以内に服用しておけ」
何という手厚い薬剤師のような説明。
オミさんズはブスッとしつつも同時に頷いた。
「あ、そういえば蛇神様、竜族の匂いってどんな風に付けるか知ってます?」
私は一番安全な相手であろう蛇神様に聞いてみると、両脇に座っていたオミさんズが同時に飲んでいたお茶を吹いた。え、ええ!!??交互にオミさんズを見て、私は慌てて背中をさすると蛇神様が大爆笑した。
「りゅ、竜の子!!お、お前…サイッコーじゃな!!」
「「うるせぇ!!黙ってろ!!」」
咳き込んでても、同じタイミングで話すオミさんズにびっくりする!
蛇神様はニヤニヤ笑いつつ私を見て、
「竜の子が元に戻ったらもう一度聞いてみるがいいさ。結果も教えてくれ!じゃあ、ひとまず大丈夫そうじゃし、わしは帰るな!竜の子しっかりな〜〜!」
「「うるせぇ!!さっさと帰れ!!」」
蛇神様はニヤニヤしながら帰って行ったけど‥。
一緒に私も行きたかったかも。
そう思ってオミさんズを見上げると、私を見て二人ともまた体が固まった。静かになったのでこれ幸いとばかりに私はお昼ご飯を作って、二人に出すとなんか無言で食べるんで不気味だった。
「お、美味しくないですか?」
「「美味い」」
「あ、良かったです。夕飯はお魚にしようかなぁ」
「「肉がいい」」
「二人になっても同じでしたね‥」
私がそう言って笑うと、二人してまた同時に固まって、静かに俯くので何が何やら‥。
昼食後、ラナちゃんが作ってくれた薬を渡すと早速二人して飲んで、お互いを睨み合うように見ていたけれど元に戻らない‥。まあ、そう上手くはいかないか。
「‥今日のバイトは私一人で行きますね」
「「何言ってるんだ!何かあったらどうするんだ!!」」
「とは言っても、流石に葉月さんも二人一緒に行ったら驚いちゃいますよ」
「「‥じゃあ、消えてる」」
「え?いいんですか??」
「「‥なんかあったらマズイだろ」」
「それはまぁそうですけど‥」
こっちの悪食には狙われる可能性は捨てきれないしなぁ。
私は頷いて、バイトへは私一人で行くと葉月さんに連絡してから支度をする。
「じゃあ、すみませんけどよろしくお願いします」
オミさんズを見上げてお願いすると、ニヤッと笑って二人は手を差し出す。
え、ええ〜〜、手を繋がないとダメな感じ???
二人の大きな手を見るだけで落ち着かなくなるんだけど‥。とはいえまた喧嘩されても困るので、私は二人の手をそっと繋ぐとギュッと握られて‥、私の心臓はそれだけで苦しくなる。
‥本当、こんなんで結婚‥できるのか??
3人で葉月さんのお店まで歩いて行くと、オミさんズは店の奥の椅子に二人してどかっと座る。葉月さんはそんな事態を知らないはずなのに周囲を見て、
「なんか今日、ルディオミ君の気配がする〜」
「‥葉月さん、本当にギリギリ人間ですね」
「え〜〜?人間だよ〜〜」
うん、ギリギリね。
そんなことを思いつつ、いつものように仕事をしていると、タッタッタと何かがこちらへ走ってくる音がする。
顔を上げると、大きな黒猫の尻尾が2つに別れた猫又さんがこちらへ走ってくる??!ふわっと私の前まで飛んでくると、目をウルウルさせている。
「ね、猫又さん!??」
「良かった!いたぁ〜〜!!助けて欲しいんだ!時計塔さんの近くで悪い霊みたいのが暴れてるんだよ!!」
悪い霊??!
私が目を丸くすると、後ろで話を聞いていたオミさんズが「「行ってくる」」って言うけど‥、分裂してるのに大丈夫なの?
するとのんびりした声で葉月さんが伝票を持ってきて、
「あ、青葉ちゃん配達行ってきてくれる〜?時計塔の側の雑貨屋さん〜」
「行きます!!」
すかさず言う私にオミさんズがギョッとして私を見る。
「「あ、おい!!」」
「だって、何かあったら心配だし‥」
小声で話しつつ、オミさんズを見上げると二人してグッと口を引き結ぶ。
「「‥ちゃんと離れてろよ」」
「はい!」
そう返事をして葉月さんからお花を受け取ると、猫又さんとオミさんズと一緒に時計塔近くまで走って行った。




