竜の神様、ダブルで睨む。
竜族は大事な人に匂いを付けて「自分の大事な人」と周囲に伝えるらしい。
神様の不思議な情報を知れて私は驚いた。
驚いたと同時に匂いなんてどうやって付けるんだろう‥、不思議に思いつつトイレから出てくるとダブルオミさんが私の方を見てホッとした顔をしている。
何でそんなにホッとしてるんだろ?ただのトイレだよ?
しかし、周囲にはオミさんは見えてないので私は自然に外へ出ていくとオミさんズも一緒に外へと歩き出す。よ、良かった‥。今日という日が無事に終わった‥そう思っていると、
「おい、姿を現わすぞ」
「それは俺だ。お前は消えてろ」
「あぁ?元は俺だろが!」
「うるせーな元は同じだろが!」
早速喧嘩をするな、喧嘩を‥。
しかしこのままでは二人現れかねない‥。どうしようかと思って、また二人の手をギュッと握ると、二人の体がビクッと跳ねる。お、驚かせちゃった?私は二人を交互に見上げて小声で話す。
「あの、力を使って家に帰りましょう!そうすれば姿を現わせるでしょう?ね?」
「「お、おう‥」」
二人が同時に少し赤い顔で頷くので急いで人通りの少ない方へ引っ張って行く。この辺なら大丈夫かな?少し薄暗い路地の中へ入って周囲を見回すと、両手がギュッと握り返される。
「ん?」
「「青葉…」」
オミさんズが私をじっと見つめている。
な、何??
オミさんズは私の手をちょっと見てから、もう一度私を見つめるのでドキドキしてしまう。あ、あのダブルで見つめられると心臓がもう破けそうなんですけど!?なんとかこの甘いような、どこか張り詰めたような空気から抜け出したくて、
「そ、そういえば、さっきラナちゃんってあの昨日の黒ずくめの子から元に戻せる薬を貰ったんですけど!」
「「あぁ?あいつだったのか‥」」
「あ、やっぱり力か何かで分かってはいたんですね」
「「まぁ、それは‥」」
「そっか、だからトイレから出てきてホッとしてたんだ‥」
すごいな〜〜、神様ってそんなのも分かるのか。
何とか自然に、自然に話しつつオミさんズから手を離そうとするけど、すかさずオミさんズは私の手を逃すまいと握り返す!く!!し、死ぬからあぁあああ!!
私は顔を赤くしたまま、
「そ、その時、竜族は匂いを付けるって聞いたんですけど‥」
それを聞いたオミさんズの体がはっきり分かるくらい同時に固まった。
あれ??なんかそんな固まる感じの言葉?
確かに好きな人に‥っていうのは恥ずかしかったから言わなかったけど、なんかもしかしてまずい事‥言っちゃった?
「あ、あの、匂いを付けるって…」
「「知りてぇ??」」
「え?」
オミさんズを見上げると、二人がこっちを熱っぽい目で見つめている。
え、な、なんで??
何がそんな風な顔をさせたの??
に、匂い?匂いに何か理由があるのか?
「え、えーと‥ちょっと?」
なんて答えればいいものか悩んで、そう答えると‥
オミさんズが私の手をそれぞれギュッと握って、少し体を同時に屈める。
と、同時に睨み合うオミさんズ。
「‥テメェ、空気読めよ」
「それはそっちだろ」
「俺が先だ」
「はぁああ!?テメ、ぶっ殺すぞ!」
っだ〜〜〜!!!なんでそこで喧嘩しようとするんだ!!
慌ててオミさん達を交互に見て、
「殺さない!!お互いメンチ切らない!!ほら!!早く帰りますよ!」
私がそういうと二人は睨み合いつつ、同時に舌打ちして、同時に力を使ったのだろう。一瞬で家に戻った。
「た、助かった…??」
はぁっと息を吐くけれど、私の手を握っているオミさんズが睨み合っている…。そうでした何一つ解決していませんでした。遠い目をして二人を見上げると、
「おう!青葉、昨日ぶりじゃな!」
「へ、蛇神様!!」
「「何でテメェがいるんだよ」」
私は蛇神様の姿を見て、心底ホッとして蛇神様に駆け寄ると蛇神様が腕を広げるので迷わず抱きついた。お、落ち着くよ〜〜!!やっと落ち着いたよ〜〜!!
ホッとする傍ら、ニヤニヤと笑う蛇神様にオミさんズがめちゃくちゃ睨んでいるとは…抱きついている間は気が付かなかった…。




