竜の神様、増える。
突然我が家にエトラさんと、長谷君が大好きだった黒ずくめの女の子が現れて、私とオミさんは目を丸くする。
そんな私達を置いて、エトラさんは黒ずくめの女の子を見て、
「ラナ、君が好きなんだ!!」
「私は嫌です!!追われるより追う派なんです!!」
「趣旨替えして、俺と付き合おう!!」
「否ぁあああ!!しかもまだ修行中だし無理です!!」
黒ずくめの子はラナちゃんって言うんだ‥。
蛇神様が力をコントロールできるように水竜の里に送ったって言ってたけど‥、まさかエトラさんにこんなに好かれる事態になるとは‥、恋とは難しいものだな。
黒ずくめのラナちゃんは私を見て、
「と、とにかくこいつから助けて!!蛇神様の所へ連絡したんだけど、返事がなくて‥」
‥多分、この時間だとネトゲしてるかも。
それで通じなかったのかもしれない。
「お、オミさん、連絡できる?」
「もうした。さっさと帰れ」
オミさんが冷めた目でしっしと手で払う仕草をすると、ラナちゃんがキッとオミさんを睨む。
「キィ〜〜〜〜!!!他人事だと思って!!執念深く追いかけ回されるって大変なんだからね!!」
‥その言葉、自分にブーメランのように突き刺さりませんかね?
私は思わずそう思っていると、エトラさんがラナちゃんの手首を掴む。
「ラナ、こっちへ」
「や、やだ〜〜〜!!!!離して変態!!」
「あ、ちょ、ちょっと!!」
いくら何でも同意もなしに女の子を掴むのはだめだ!
私は慌てて手を伸ばすと、ラナちゃんが手から光りを出してエトラさんの顔にぶつけようとする。
「危ねぇ!!青葉!!」
オミさんが私をぐいっと後ろに引っ張って、庇ってしまったが為にラナちゃんの手から出た光りがエトラさんと、オミさんの顔にもろにぶつけられてしまった!!
エトラさんは思い切りそのまま床に転がってしまい、
オミさんは顔をゴシゴシと擦ってる。
じょ、丈夫で良かった‥?
「お、オミさん!!大丈夫?!」
「いって‥」
ゴシゴシと顔をこするオミさんが不意にぶれて見える。
ん??
ぶれる??
ぶれて見える‥と、思ったら‥、突然オミさんが二人に分裂した!
「「え???」」
「えええーーーーーーー!!!??」
ラナちゃんも私もびっくりして、目を見開く。
ど、どういう事?!なんでオミさんが二人になったの?!
「おやおや、随分楽しい事になったのう〜」
呑気な声に振り返ると、蛇神様がシャツとショートパンツというラフな姿で面白そうにこちらを見ている。ラナちゃんは、蛇神様の所へ駆け寄って、
「へ、蛇神様!!私、変態を追い払おうとしたら、あの竜の人が!!」
「うむうむ、力がちょっと変な方向に捻じ曲がってしまったんじゃな。エトラがもうちっと面白い事になれば良かったが、こっちは倒れただけか‥」
いやぁ‥そういう場合じゃないかな?
ラナちゃんは必死になって謝ってくれたけど、まぁ今回は完全に事故だし‥主に悪いのはエトラさんかな?蛇神様がエトラさんは別の場所へ連れて行くと話してからニヤニヤ笑ってオミさんを見上げる。
「まぁ〜、ラナの力だから3日くらいで治るだろ。二人分、青葉を大事にしてやればいいさ」
瞬間、私とオミさんの顔が赤くなる。
え、ちょっと待って??ふ、二人分!?
ただでさえ恥ずかしくて話せないのに、二人分って‥。そろっとオミさんズを見上げると、私と視線が合ったオミさんが二人してニヤッと笑う。
「む、無理ーーーーーーーー!!!無理です!蛇神様ぁ!!私も一緒にそっちに行く!!」
「うむうむ、それはそれで楽しそうじゃがな、エトラの事もあるから今日は勘弁じゃ」
そ、そんなぁああああ!!
蛇神様に落ち着いたら、絶対迎えに来て下さいね!!って念を押したけど、ニマニマしていた蛇神様を見る限り、それは絶望的に思われた‥。
謝り倒すラナちゃんとニマニマの蛇神様、そしてゴミ袋のようにポイっと何もない空間に投げ捨てられるように消えたエトラさんを見送ってから、私はそっとオミさんズを見上げる。
「「よし、一緒に寝るぞ」」
「無理ーーーーー!!やっぱり無理!!二人なんてもっと無理ーー!!!」
龍の神様、言の葉の神様、どうにかしてってお願いしたのに増量してますー!!何でですかーー!!真っ赤になった私をオミさんズは私を真ん中にしてベッドで眠るけど‥、し、死ぬ!!メンタルも今日ばかりは絶対死ぬと思う!!




