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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
120/254

竜の神様、色々言われてる。


薄暗い洞窟に落ちて、まさかの蛇に取り囲まれているんだけど!!


こ、ここは一体どこなんだ!?

シューシューと音を出す蛇達に足が震えつつ、なんとか高い所へ逃げようと周囲を見渡すけど‥


何にもない!!!


蛇達は、チロチロと舌を出しながらこちらへジリジリと近付いてくると、



「‥ルディオミ様の婚約者か!」


「っへ?」



しゃ、喋った??

私は目を丸くして蛇を見ると、蛇達は口々に「ルディオミ様と別れろ」「とにかく頷いておけ」「いいから言う事を聞け」「ひとまずでいいから」って言うんだけど、ちょっと待って!!あちこちから話されて、もはや何を言っているのか分からないんだけど!!


私がパニックになりかけていると、



「貴方達、このお方をどなたと心得る〜〜〜〜!!!!!」



あれ?何か時代劇の世界に来た??

思わず声のしたカバンを見ると、真っ赤なセキさんがなんか更に顔を赤くして、ギロギロと蛇達を睨み‥、



「我々を助けて下さったルディオミ様の青葉様にそのような口の聞き方をするなど、こんの無礼者ぉおおお!!!!」



セキさんが後半ぶっ壊れている。

しかしセキさんの怒りは収まらない。「狼藉者!礼を欠いてこのような行為!!それでも誇り高き蛇族かぁああ!」と止まらない。



驚いた顔の蛇達は、お互い顔を見合わせて‥、


「だってエトラ様が別れさせろって」

「怖がらせれば、人間の女なんてすぐ別れるって言うって」

「でも、俺は反対したんだよ」

「あ、てめ!!俺だって嫌だって言ったぞ」

「自分だけ逃げる気か!?」


‥なんか内輪揉めし始めたな。



だけど、これで分かった。

エトラさんは私をここへ連れて来て、蛇達を使って脅そうとしたのか‥。なんというか随分とお粗末な感じだけど。



遠い目をして、黙った私をセキさんが心配そうに見上げる。



「青葉様!!どうぞ、どうぞルディオミ様を捨てないで下さい!」

「え?そんな感じ??」


「ルディオミ様は確かにポンコツで女心の分からぬ粗忽者ですが、愛情と優しさは不器用ながらも人一倍お持ちの方でして!!!平に!平に〜〜〜〜!!!」



なんかテンパってくると、言語が時代劇風になるんだなぁ。

私はちょっとおかしくなって小さく笑う。



「‥優しいのも愛情があるのも分かってますよ」

「青葉様ぁああああ!!!!」

「でも、エトラさんの妹さんと結婚の予定があるんですよね?」

「え、いや、それは‥」

「‥‥それが、その、」



言いかけて、気持ちがズンと暗くなる。

そりゃ、そんな事知らなかったから仕方ないけどさ‥。ジクジクと胸が痛くなって、気を抜くと涙が出そうになるので慌てて口を引き結ぶ。



‥オミさん、その人とも結婚するのかなぁ。



俯いて、黙ってしまう私を他の蛇達が口々に「やばい!」「泣いちゃうかも!」「俺、脅かすのちょっとだけにしておこうって言ったのに!」って言い出すので、うっかり落ち込めない。ちょっと笑っちゃうんだけど…。



「あら、こんな所にいたのね」



不意に声が聞こえて、顔を上げると小さな女の子が立っている?



水色の長い髪をさらりと流して、真っ白なワンピース。でも裸足だ‥。水色の色素の薄い瞳は薄暗い中なのにほんのり光っているようにも見える。私の前にスタスタと歩いてくるとにっこり笑って、



「初めまして、水竜の王の娘リリアと申します」

「小都森 青葉と申します‥」



思わず名乗ったけど、水竜の王の娘???

それって、もしかして‥、



「えっと、もしかしてエトラさんの妹さん??」



リリアと名乗った少女はコクリと頷く。

と、いう事はエトラさんが結婚しろってオミさんに勧めているのは、この10歳くらいの少女って事???



リリアちゃんは大きくため息を吐いて、



「愚兄が本当にご迷惑をお掛けしました。ひとまずここでは何ですから、我が砦にご案内しますのでどうぞこちらへ」


「は、はい!」



10歳くらいの女の子なのにしっかりしているなぁと感心していると、リリアちゃんは蛇達をジロリと見て、



「‥貴方達、後で見てなさいよ?」



低い地を這うような声で、言い放つと蛇達は「ぴええええ!!」「だってだってエトラ様がぁああ」「ほらぁ!!だからリリア様にまず相談しようって言ったじゃんかぁああ」と、一斉に話し出す。



‥なんか、蛇さん可愛いな。

思わず笑うと、セキさんは小さく「恥ずかしい!!ああ恥ずかしい!!」と嘆くので、私はそっと頭を撫でておいた。



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