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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
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竜の神様、夕陽の色。


そうめん対決は蛇神様の圧勝だった。

悔しがるオミさんだったけど、美味しい天ぷらにすっかり機嫌が良くなり、なんやかんやで盛り沢山のお土産まで頂いて、ようやく我が家に帰った。



久しぶり‥なんだけど、実は私が火花の神様に捕まって倒れてからというもの、別荘とこちらの時間の流れを蛇神様が調節したらしく、バイトを終えた日の翌日らしい‥。



もう1週間くらい経っているのに、一日しか経ってないの?!すごいな!!と、感動したけれど‥、これも魂を結ぶ仮契約をしたからできる事らしい。人間だと、体が時間の流れについていけないそうな。神様の世界って、まだまだ謎が多い‥。



ベランダの窓を開けると、暑いけれどちょっと風が入ってきて気持ちいい。



「わ、やっぱり部屋が暑くなってますね〜」

「‥おう」

「ちょっと換気してからクーラー掛けた方がいいかな?」



荷物を片付けるのを先にした方がいいかな?

そう思って、オミさんの方へ振り向くとビーズクッションに座っていて、夕陽の光に当たったオミさんの髪が同じような色でキラッと光る。



あ、綺麗だなぁ‥。



それだけなのに、なんだか嬉しくて小さく笑うと、オミさんの顔が少し固まる。



「オミさん?」

「‥なんでもねぇ」



そうなの?

その割には、ちょっと顔が赤いような‥。

あ、暑いのかな?そう思ってクーラーを入れると涼しい風がすぐに出てきて、少しずつ過ごしやすくなる。


オミさんの隣に座ると、オミさんはちょっとビクッと体を跳ねさせて私を見る。



「オミさん、夕飯は蛇神様から頂いたの食べましょっか」

「あ、ああ」

「そういえば明日から私は大学ですけど、オミさんどうします?」

「どうするって‥」

「え、だって、私もう狙われないし、守る必要ないんですよね?」



私がそう言うと、オミさんはニマッと笑う。

な、なぜ笑う???



「‥確かに仮とはいえお前と俺は、魂を半分結んであるから狙われない」

「はい」


「だけど、全く狙われない訳じゃない」

「そ、そういえば、そんな事言ってましたね‥」


「お前の気を心地いいとか、食べたいっていう人間界に住む悪食にはお前は格好の餌だ」



な、な、なんだって〜〜〜!!!?

もうてっきり神様みたいなのには狙われないと思ったのに、人間界に住む悪食には餌!??目を丸くしてオミさんを見上げると、視線だけ私を見て、



「‥まぁ、その辺は言の葉の神様も、蛇神も、俺もしっかり守るから大丈夫だ。まぁ、他にも方法はなくは、その、ねぇけど‥」



オミさんはちょっと照れ臭そうに私に言うと、完全に横を向いた。

なるほど‥、つまりまだ油断はできないのかぁ。



「じゃあ、オミさん‥姿を消して明日も一緒に大学に?」

「いや、編入する」

「っへ?」


「留学生として大学に行く」

「「「ええええ!!!!??」」」



驚いて、オミさんを見上げるとニヤッと笑って、



「歴史と神話、古典言語が結構面白くてな」

「え、なんか意外!!」

「あと学食食ってみたい」

「落差ぁ!!!」

「お前、時々講義中寝そうになるし」

「‥うっ、そ、そんな事は‥」

「ノートに寝こけて、縦に線を書いたやつは?」



私でーす。

思わず横目になると、大きなオミさんの手がずしっと私の頭の上に置かれてわしわしとそのまま撫でられる。っていうか、シェイクかな??



「‥そ、そばにいたいしな」



ボソッとオミさんが呟いて、目を丸くする。

なんか‥顔が見たいのに、急に照れ臭くなって‥、思わず俯いてしまう。


な、なんだよ!!

急にそんな事を言ったら、照れてしまうじゃないか!!



部屋の中、クーラーのゴォーっと冷気を出す音と、時計の秒針の音、外で誰かの話し声や、自転車のベルの鳴る音がいやに大きく聞こえて‥黙っていると、隣に座っているオミさんの熱いくらいの手が私の指輪をはめた手にそっと重なる。



なんか心臓がバクバクいってるけど‥。これ多分、赤い夕陽が射し込む部屋で、二人して夕陽のような色の顔になっていると思う。




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