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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
108/254

竜の神様、不戦勝。


オミさんと婚約する事になった。


あれから散々からかわれた私とオミさん。

セキさんは号泣し、蛇神様はクラッカーを鳴らしだし、シキさんはそれを高速で片付けつつ、皆にご馳走を振舞ってくれて、私もオミさんも恥ずかしいんだけど美味しいご馳走の前には逃げられなかった。最高に美味しかった。



騒ぎに騒ぎ、蛇神様を引っ張るように連れ帰ったシキさんを見送ると、別荘にまた二人きりになって‥、なんかお互い急に照れ臭くなって黙り込んでいると、オミさんが私をちらっと見て、



「‥至高のかき氷、まだ食ってねぇ」

「あ、そうでした。でも入ります?」

「まだ全然余裕」

「そうでした、オミさんの胃袋はブラックホールだった」

「なんだそれ?ぶっらくほーう?」

「ブラックホールですよ〜」



横文字に弱いオミさんにちょっと笑って、キッチンへ行くとオミさんも後ろから付いてくる。なんかそれだけなのに、嬉しい。オミさんの事を諦めないといけないって思ってたから、まだちょっと夢かな?なんて思うけど。



名付けて至高のかき氷を出すと、オミさんは嬉しそうにかき氷を食べる。



「すっかりこの夏ハマりましたね」

「俺にとっては、長い夏休みになったがな」

「あ、そっか、一年‥」

「それなのに誰かさんは拐われるし、倒れるし、目ぇ覚めたらお見合いだの、結婚だの言うしなぁ」



う‥。

そこは蒸し返さないでくれよ。

ジトッと向かいに座るオミさんを見ると、ニヤッと笑う。



契約の際に組み込まれていた課題の答えは、「お互い好きな気持ちを伝える」だった。なるほど、だから蛇神様はヒントとして「好き」と言ってみよ、そう言ったんだな‥今なら分かるけど、それほぼほぼ答えじゃない?!とも思ったけど、うん、確かにヒントといえばヒントだ。



とにかく、お互いを想い合っていたおかげで私は今現在落ち着いて一緒にかき氷が食べられる幸せを噛み締めている。



セキさんが言うには、「絶対ルディオミ様が好かれる訳がないという竜王様の思惑は大きく外れましたねー!いやぁ本当に目が狂ってる!!」という話だったけど‥。セキさんの竜王様ディスりは本当にすごいな。そんな事も、同時に思い出して、小さく笑ってしまう。



と、オミさんが私の頬を指でふにっと突然掴む。



「??オミはん??」

「‥なに、笑ってんだよ」

「ああ、セキはんの言ってた事を思い出して」



そういうと、オミさんは眉をしかめて「あいつの言葉は思い出さなくていい」って言うけど、なんだかんだでセキさんはオミさんを大事に思ってると思うけどな。


オミさんは私の頬から指を離すと、今度は私の左手を軽く握って

スリッと金の指輪を指で撫でる。



「‥指輪ぴったりだったな」

「そ、そ、そうですね!?」



薬指にはめている指輪をオミさんはニヤニヤしながら見ている。

ううう、ちょっと恥ずかしくなるんですけど。

目を横に逸らすと、すかさず「赤りんご」って言うので、すぐからかってくるオミさんをジトッと見る。



「オミさんだって赤くなるのに‥」

「俺は神だし、そう変わらないな」

「ほほ〜〜??言いましたね?」



かき氷を食べ終えた私はスプーンをお皿に置いて、じっとオミさんを見つめるとオミさんが一瞬体をピクッと揺らす。



「‥愛してるゲームって知ってます?」

「は、はぁああ?!!」

「無表情で愛してるって言うんです。動揺したり、赤くなったら負けです」



オミさんは目を丸くして、私を見る。



「オミさん、あ‥」

「「あああああ!!!!ちょ、やめろ!!馬鹿!!!!」」



まさかの不戦勝。

私はガッツポーズを取ると、赤くならないと言っていたオミさんが私を赤い顔で睨む。



「‥青葉、今日は一緒に同じベッドで寝るぞ」

「え、なんで」

「婚約したろ」

「そ、ソウデスネ」

「じゃ、歯を磨いたら寝るぞ」

「まだ9時ですよ」

「もう9時だな」



私とオミさんは、一瞬目を合わせ、にっこり笑って…



二階へダッシュで逃げた。



無理無理無理〜〜〜!!!想い合った夜に一緒のベッド?!!そんなの無理に決まってる!!寝室の扉を勢いよく閉めたら、向こうでオミさんが大爆笑しているのが聞こえた。く、悔しい!!!



‥そうして、抵抗虚しく抱きかかえられるようにオミさんと同じベッドで寝たけど‥、しっかり爆睡した鋼のメンタルの私だった。



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