竜の神様、契約します!!(終)
エグエグと泣くセキさんが可哀想で、私はオミさんの手からセキさんを受け取ると、そっと膝の上に乗せる。
うん、セキさんは怖くない。
そっと指で頭を撫でると、嬉しそうに目を細めて‥
「うう、ルディオミ様の今までの愚行の数々に心に傷を負ったセキの心、今確実に癒されております〜〜」
って言うものだから、オミさんが今度こそ殺す!!みたいな顔で睨む。落ち着いてオミさん、殺気を仕舞って。
「あ、そうでした。それでですね、一番肝心な事をお伝え忘れました」
「一番?」
「はい、ルディオミ様と魂を結ぶ事を了承されたそうで‥」
ブワッと顔が真っ赤になって、隣に座っている蛇神様が「へぇええええ?」と私とオミさんをニヤニヤ笑いながら見るので、もう勘弁して下さい‥。思わず横を向いた。
セキさんはそんな私とオミさんに構う事なく話を続ける。
「契約は解除されましたが、現在青葉様はルディオミ様のお力によって守られている状況ですが、また危害が及ばないとは限りません」
「は、はい‥」
「然るにすぐに魂を結ぶ魂の儀を行うのが最善なのですが、ルディオミ様がそれを止めました」
そ、そうなの?
それはつまり結婚しないって事??
私がオミさんを見上げると、ちょっと照れ臭そうに私を見て、小さくため息をつく。
「‥魂を結んだら、お前は俺と同じで神になる。人間として家族や友達と同じ時を生きられなくなる。‥一人ずっと若いままで、看取るんだ。そんなのすぐに決められねぇだろ」
魂を結ぶのを慎重にって‥、そういう意味もあったのか。
驚いてオミさんを見ると、オミさんはポケットから何かを取り出し、私の手を取ると、その手の上に小さな箱が乗せた。
「‥だから、婚約‥みたいな状態にしておく。そうすれば今よりはお前の力は狙われなくなる。決心ができたら言え。無理だと思ったら、それを返せ」
「返せ‥って」
小箱を見て、そっと蓋を開けると息が止まった。
金色の指輪が入ってる。
内側に一つ、赤い石が埋め込まれてる。
見た瞬間に涙が出てきた。
オミさんの色じゃん‥。
「あ、ちょ、な、なんで泣くんだよ!!」
「竜の子、お前わかってないのう〜〜!そういう時は抱きしめるんじゃ!ほら、横を変わってあげるから、抱きしめよ!!」
「な、ななな‥!!!」
蛇神様が面白そうに笑って、ソファーから立ち上がってオミさんを乱暴に私の隣に座らせる。涙がボロボロ出てくる私をオミさんはオロオロと見て、そっと大きな手で私の背中を優しく撫でる。やめて〜〜!!!もっと泣けるから!!
「‥な、泣くな」
「無理、無理です‥」
あんなに赤い顔して、告白してくれて、一緒にいようって言ったくせに、私がちゃんと覚悟できるまで待っていよう、いざとなったら離れよう。そんな優しさが嬉しくない訳がない。
オミさんが私の背を撫でたり、トントンと叩いたりと忙しい。
膝の上にいたはずのセキさんは、いつの間にかシキさんの肩に乗ってワクワクしている顔で私とオミさんを見ているし、蛇神様なんかニヤニヤしっぱなしだ。
もう恥ずかしい。
恥ずかしくて仕方ない。
でも嬉しくて仕方ない。
オミさんの胸に思い切り抱きつくと、オミさんの体がビクッと大きく跳ねた。
「‥オミさん、大好き」
「お、おう」
「ずっといたいです」
「お、おう」
「‥返せって言っても、返しません‥」
「そ、うか‥」
グスグスと泣いていると、オミさんの手がゆっくり私の背中に回る。
蛇神様と、シキさんの「ヒューヒュー!!」「いいぞ、もっとやれ!!」という声が聞こえて、赤い顔になるけど、オミさんの胸の中に顔を埋めてるから大丈夫。
オミさんが私の耳元で、小さく囁く。
「‥絶対だからな」
小さく呟いて、私は返事の代わりにオミさんの背に回した手をぎゅっと掴んで
絶対です!!と、ばかりに返事をした。
これにて一旦ゴール!!!とにかくゴール!!!
でもまだ続編が書きたくて‥、もうちょっと(?)続きます。だってまだキスしてないし(笑)
いかに手を繋ぐとか、キスしないで二人のゴールを目指せるかを念頭に書いておりまして‥。そんなモダモダな小説をここまで読んで頂いて本当にありがとうございます!ブクマや評価をどうぞ、どうぞお願い致します〜〜。
(ひらに!!ひらに〜〜〜〜!!!(セキさん風)




