竜の神様、契約は続行。
オミさんに気持ちを告げようとしたら、先を越された。
いや、いいんだ。
私もちゃんと告白できたし。
しかし、その後が大変だった。
盛り上がる蛇神様に、止めるシキさん。赤い顔で照れ隠しの為に怒鳴るオミさん。
頭に、頭に響く!!そう思っていると、まるさんが私の頭の上にふわさんに乗って静かに現れる。
「お静かになさいませ」
そういって、まるでブルドーザーのように、オミさんや蛇神様、シキさんを部屋から押し出して扉を静かに閉めた。す、すごい‥。びっくりして目を丸くすると、ふわさんに乗ったまるさんが静かにやって来て、私の顔の横にちょこんと降りる。
「この度は、ようやく想いを告げられた事、喜ばしく思います!」
「‥まるさんには、その節には大変お世話になりまして‥」
「いえいえ、このまる、久しぶりの淡い恋のお話にワクワク致しました!」
「そ、そうですか‥」
ちょっと照れくさくて、もじもじしてしまう‥。
大分荒れに荒れてた姿をどこかに投げ飛ばしたい‥。
そんな私に、まるさんはスリッと顔を寄せる。
「言の葉の神様も、とても安心しておられました。あ、新芽の神様はお幸せにとの事です」
「え、待って、早くない???」
「新芽の神様は、言の葉の神様に会うだけと、お約束されたそうで」
「‥もしかして、全部知ってたの??うわぁあああ恥ずかしすぎる!!」
「いえ、楽しかったと申しておりました」
「まるさん〜〜〜!!!もういいからぁ〜!!」
まるさんは、クスクスと小さく笑うと私を見上げる。
「火花の神様は、どうやらルディオミ様の婚約者様に唆されたようでして、それで青葉様の命を奪おうと思ったそうです」
「‥そうだったんですか」
「大変残念な行為です‥火花の神様も、彼女も沙汰が近く下されます」
そうなの??でも婚約が決まっていたのに、私がいるのを邪魔に思う婚約者さんの気持ちもわからなくもなくて‥。思わず顔を曇らせると、まるさんはつぶらな目で私を見つめる。
「青葉様、相手を思うままにしようとするのはもってのほかなのです」
「‥でも、」
「‥人の心を無理矢理手に入れようとするのは、神でも人でも許されません。青葉様も同じようにルディオミ様を慕っておりましたが、貴方はむしろ解放しようとされた。心を人を自分の物のように扱わなかった。その行為や想いが今に繋がったのです。何もご自分を責める必要はありません」
静かな諭すようなまるさんの声に私は小さく頷くと、
まるさんはニコッと笑う。
「火花の神様のお力もそれは強いので、青葉様が龍の力をいかに人よりも持っているとはいえ、やはり力に当てられて弱っております。ルディオミ様が、青葉様の体の気を整えて下さっていたのですが‥まだまだのようですね。呼んで参りますから、無理せずしっかりお休み下さいね」
そ、そうだったんだ。
だからこんなに体が重いのか‥。
私はまるさんとふわさんを、ちょっとだけ顔を動かして見つめた。
「‥まるさん、ふわさん、本当に有難うございます‥。言の葉の神様にも本当にお世話になりましたって伝えて下さい」
そう言うと、ふわさんの頭の上に乗ったまるさんとふわさんがにこりと微笑む。
「もちろんに御座います。今度かき氷を一緒に食べましょうね」
「はい、スペシャルなの作りますね」
私が笑ってそう答えると、まるさんとふわさんが静かに消えた。
少しして、オミさんが照れ臭さそうな顔で静かに部屋に入ってきて、ベッドの横の椅子に座ると私の手を握る。
「‥オミさん、気を整えてくれてった聞きました‥。ありがとうございます」
「おう、元気になったら肉だ、肉!」
相変わらずの答えに、小さく笑う。
熱い手をちょっと握り返して、オミさんの手を見ると‥
私の手の甲にあったはずのトカゲのマークがない!!!
「あ、あれ?!!トカゲがいなくなってる!!」
「あー、課題が終わったからな」
「え?!課題って、何だったんですか?」
目を丸くして、オミさんを見上げるとオミさんはちょっと目を横に逸らす。
「‥‥言わねぇ」
「じゃあ蛇神様に聞きます」
「あーもう!!!お互い好きになったら、解けるんだと!!!」
お互いに?!
オミさんの顔をまじまじと見ると、照れ臭そうにプイッと横に向く。
「えっと、じゃ、契約は解除された‥んですよね?」
「してねぇ」
「え?!!でもそうしたら、オミさん自由が‥」
「俺は!お前といるって言ったろ!!」
つ、つまり???
私は神様の世界の事はわからないんですけど?
不思議そうな顔をした私をオミさんがジトッと見つめて、
「‥お前と、魂で結ばれる仲になりてーんだよ」
えーと、それって‥結婚するって事ですよね?
嬉しいはずなのに、胸がギュッと痛くなって、一瞬、動きが止まった私は「な、なるほどぉ?」て答えると、オミさんは私の顔に勢いよく掛け布団を引っ張り上げる。
「「返事!!!」」
「‥お、同じくです」
そう答えたら、ギュッと握られていた手がさらに強く握られて‥知らず私は顔が緩んだ。




