コント「お花見」
レジャーシートを引き、二人でお花見をする男が二人。
ボケ「いや~、こんなご時世だけど、お花見が出来て良かったな」
ツッコミ「あ、うん……でもさ」
ツッコミの言葉を遮り、ボケが強引に話を進める。
ボケ「俺達さ! もう今年で三十路じゃん?」
ツッコミ「そうだな。それでさ」
なんとか質問したいツッコミを再度ボケが遮る。
ボケ「そう言えば最近!! 好きな人出来たんだよね」
ツッコミ「ああ、そうなん?」
ボケの強引さに諦めたツッコミは、暫く付き合う事に。
ボケ「ほら、俺達もそろそろ結婚とか考える歳だろ?」
ツッコミ「まあな~、一生独身は寂しいもんな」
ボケ「だろ? だから俺、もしその子と付き合えたら結婚しようと思ってる!」
ツッコミ「おお~、凄い意気込みじゃん! 分かった。俺も応援するから頑張れよ!」
ボケ「ありがとな! 持つべきもの友だな!」
ツッコミ「で、どんな人なんだよ?」
興味津々に聞くツッコミに、ボケは照れくさそうに答える。
ボケ「凄く……ラブリーな子」
ツッコミ「ラブリーって、なんだよ! 他には!?」
ボケ「強いて言うなら、丸くてフワフワな感じ。後、俺を見ると嬉しそうに寄って来るんだ」
ボケの説明に、一瞬引っかかりを覚えたツッコミだが、そんな訳はないと首をふる。
ツッコミ「へ~、あれか、ちょっとポッチャリしてて癒し系みたいな感じって事?」
ボケ「そうそう! いつも癒されるんだよな~! こないだなんてさ、俺がオヤツ食べてたら、怒って俺の事噛んでくんのよ」
ツッコミ 「噛む? あっ、もしかして、なんで私のオヤツ食べてるんですか~! みたいな感じで、言葉で噛みついてくるって事? 分かりずらいよ~」
ボケ「いや、マジで噛まれたんだけど。ほら、ここに噛みつかれた後があるじゃん」
右腕の袖をめくり、噛まれた痕を見せるボケ。
それを見た、ツッコミは、ボケから少し距離をとる。
ツッコミ「お前、それって……」
衝撃の事実が判明し、ツッコミは怒涛のツッコミを入れていく。
ツッコミ「お前が好きな人……俺ん家の愛犬ラブリーちゃんだから!! なんか変だと思ったんだよね! 確かに、ラブリーちゃんは丸くてフワフワだよ! 可愛すぎて、いつもオヤツを多めに上げちゃうからね!」
ボケ「そう言うの、良くないと思うぜ? やっぱり、健康の事を考えると、オヤツはほどほどに上げないと」
凄く上から目線のボケに、ツッコミは苛立ちを隠す事なく表す。
ツッコミ「大きなお世話じゃボケ! 第一、お前が噛まれたのは、お前がラブリーちゃんのオヤツを全部食ったからだからな! なんで犬のオヤツを食えるんだお前は!」
ボケ「犬が食べられるなら、人間も食べられるでしょ? 大丈夫お前? 少し落ち着いたら?」
ツッコミ「あー! なんなんお前! なんでそんな偉そうなの!? もしかして、開き直ってる?」
ボケ「うん。だからなに?」
ツッコミ「うわ~、見事な開き直りっぷりにぐうの音も出ねえ……」
ボケ「でさ~、ラブリーちゃんを下さい」
ツッコミ「やる訳ねえだろ! 娘さんを下さい的な感じで攻めて来たって無駄だからな! それによ、そもそも俺達がしてるのは、お花見じゃねえから! ここ、耳鼻科の駐車場! 俺達がしてるのお"鼻"見!」
ボケ「いや、ムリムリ! 俺花粉症だからさ! この時期に外でお花見とか無理に決まってんじゃん」
ツッコミ「いやいや! 今、外だぜ!?」
ボケ「それはさ……診察待ちの間に少しでもお花見気分を味わおうと思って」
ツッコミ「大事な用があるって呼んだのは、暇潰しって事かよ! もう帰る!」
ツッコミが怒って帰ろうとすると、診察の順番が来たことを示すアナウンスが流れる。
ボケ「あっ、呼ばれたからちょっと行って来る! 戻って来たら……お"歯"な見行こうぜ!」
自分の歯を指して颯爽と病院へ入っていくボケ。
ツッコミ「歯医者も行くのかよ! ダメだ、こいつとは縁を切ろう……」
終わり。