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第62話 魂移し

トーマス達がララの元へ向かうと、そこではベリアルが不気味な笑みを浮かべていた。

「魔王ベリアル!今度こそララを返してもらうぞ!」

「ふふふっ。これはこれは、なんちゃって勇者さんじゃあーりませんか?

やっぱり生きてましたか?運が良いですね。面倒くさいですね。さすがゴキブリ並みにしぶとい勇者の血縁ですね。

それにしても、さっきの力はなかなかのモノでしたよ。そちらの方に力を借りたんですかね?」

ベリアルはレオナルドをチラリと見た。

「ガルルルルッ!!!」

「貴様に話す必要は無い!いくぞ!!!」

宝剣ティオネを抜き放ったトーマスは魔法を詠唱しながらベリアルの懐に飛び込んだ。

神風流星剣カザカミーティアブレード!!!」

『ズドォォォォォォンンン!!!』

トーマスと宝剣ティオネがまるで1つの巨大な流星となり、ベリアルもろとも会場の一角を吹き飛ばした。

会場に砂埃が巻き上がる中、トーマスはソファーに横たわるララの元へ向かうと優しく抱き上げた。

「ララ、もう大丈夫だよ。マクグラン王国へ帰ろう…。」

虚ろな表情を浮かべるララに優しく微笑み掛けていたトーマスの左胸に突然激痛が走る。

「ぐはっ!?」

その左胸にはララの握るナイフが突き刺さっていた。

薄れゆく意識の中でトーマスは優しくララを床に寝かせると、その上に覆いかぶさるように倒れた。

「あ、あああ……トーマ…ス…。」

虚ろな表情のララの瞳から大粒の涙が零れおちる。

「だ、大丈夫…だよ…。ララ…愛し…てる…よ……。」

トーマスは血に染まったララの手にそっと触れるとそのまま気を失った。

「ガルルルル!?」

その異変に気付いたレオナルドとアリエルがトーマス達の元へ向かうと、辺りにベリアルの笑い声が響き渡った。

レオナルド達が空を見上げるとそこには全身血だらけになったベリアルがいた。

「ふわはははははっ!いやぁー、今のは危なかったですね。でも油断禁物ですね。媚薬の効果が切れる前に操れて良かったです。ギリギリですね。ナイスですね。愛する妻に刺されるなんて悲しいですね。ふわははははは!!!」

そんなベリアルを無視してアリエルはレオナルドから飛び降りるとトーマスを仰向けにしてナイフを引き抜き回復魔法をかけた。

「おやっ!?意外と傷口は浅かったようですね。貴方が力を貸してあげていたおかげですかね?惜しかったですね。」

「ガルルルルルッ!ガオオオオッ!!!」

レオナルドの全身が七色の光に包まれベリアルへと襲いかかる。

しかし、ベリアルは連続で繰り出される鋭い爪をフニャフニャした動きでかわすと、レオナルドから距離をとった。

「おおっと!?危ないですね。怖いですね。当たったら死んじゃいますね。

おやっ……?オグニイーナはもうダメみたいですね。それに貴方がそちらについているのでは分身体のワタクシでは勝ち目はありませんね。だいぶ計画とは違いますがこれ使っちゃいますかね。」

ベリアルはウィルとオグニイーナの闘いが決着した事に気付くと、どこからともなく黒曜石の鏡を取り出し頭上へと掲げた。

次の瞬間、鏡から天へと紫色の光が放たれ会場の上空に巨大な魔法陣が出現した。

「テスカ、あの魔法陣は!?」

「あれは魂移しの魔法陣さねぇ。でもオグニイーナの魂移しをするには魂が足りないはずさねぇ!一体、何を…!?」


『ゴゴゴゴゴゴォォォッッ!!!!』

その時、突然凄まじい地響きと共に会場の地面が大きく裂け、体長100メートルはあろうかという骨龍スカルドラゴンが現れた。

しかし、骨龍は動く事なくその場に佇んでいる。

「ふふふっ!本当はオグニイーナの魂を骨龍に移して天地界をめちゃくちゃにする計画だったんですが、まぁ仕方ないですね。

魂は先の皇帝派と神聖派との衝突で集める事の出来た分だけなので、かなり少ないですがこのクズの魂を移すくらいなら丁度良いでしょう。」

すると、ベリアルは近くに転がっていたマイセンの身体を魔法陣の中央へと浮かび上がらせ魔法の詠唱を始めた。

「マイセン王子の魂をあの骨龍に移すつもりか!?そうはさせるか!」

ウィルは瞬間移動でベリアルのすぐ前まで飛ぶと銀震刃を振り下ろした。

『ギィィィン!!』

しかし、銀震刃はベリアルに届く事無く突如現れた黒いローブを目深に被ったラウヌの持つ大鎌によって弾かれた。

「くっ!?でやぁぁぁっ!」

ウィルは咄嗟に銀撃をかけた蹴りを繰り出すが、ラウヌはそれを片手で受け止めると大鎌を翻しウィルの首を跳ね飛ばそうとする。

「やらせないよ!」

しかし、今度はそこにテスカが割って入り黒曜石の槍で大鎌を弾いた。

ウィル達がラウヌを惹きつけている隙にレオナルドは無防備になったベリアルを止めに入ろうとするが、そこに白い炎を纏ったクラスティが立ちはだかった。

その手にはミカエルが落とした宝剣プロメテウスが握られている。

「ヒャハハハハハ!せっかく面白いモノが見れそうなのに邪魔しちゃダメじゃないですか!僕が相手になりますよ!」

「ガオオオッ!」

そうこうしている内にベリアルは魔法の詠唱を終えると叫んだ。

「幾千年の時を眠りし天と地を束ねる偉大な龍よ!今こそこの哀れな魂の叫びと共に蘇れ!ふわはははははは!!!」

ベリアルの笑い声と共に魔法陣が紫色の光を放ちマイセンへと集約していく。

すると、マイセンの身体から魂が浮かび上がり、骨龍の中へと移動した。

「グオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」

そして、その瞳が赤く光り輝くと、骨龍は大気を震わせるような咆哮を上げながら黒い覇気を放つのだった。


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