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第36話 レオナルド

ワシの今の名前はレオナルド。

ワシは元々魔界に6人いる魔王の1人だった。

今から数十年前、ここ天地界に密かに遊びにきたワシはとある天使と出会い恋に落ちた。

その天使の名はエルサ。美しく可憐なエルサにワシは自分が魔王である事も忘れ夢中になり、いつしかエルサも魔王だったワシを受け入れ間もなくアリエルが生まれた。

それからしばらく天地界での幸せな生活は続き、ワシは魔王を辞める事を決意した。

王位継承の為、エルサとアリエルを家に残しワシは魔界へと戻った。

継承の儀は滞りなく終わり家に戻ると、そこには変わり果てたエルサの死体だけが残され、アリエルは死体すら残されていなかった。

ワシは絶望に打ちひしがれ、数日間その場を一歩も動く事が出来なかった。

そしてワシは残されたわずかな手掛かりから犯人が魔族である事に気付き、関わりがありそうな魔族や魔物を片っ端から殺して回った。

多分、人間に神獣と呼ばれ始めたのはその頃だろう。

しばらくして実行犯を殺し、指示を出した黒幕もわかった。

黒幕はワシが魔王の座を継承した新たな魔王だった。すぐにワシはその魔王と家臣を皆殺しにした。

だが結局、アリエルの生死は最後までわからなかった。

復讐は終わり、ワシは親子3人で過ごしたここ天地界のあの家で静かに暮らす事にした。

それからさらに年月は過ぎ、ワシは旅人から風の神カルデにアリエルという名前の大天使が仕えている事を聞き、すぐにマクグラン王国へと向かった。

そこには紛れも無い、愛しの娘アリエルの姿があった。

少し大きくなったアリエルを、すぐにでも抱きしめたかった。

エルサの面影が残るアリエルの温もりを感じたかった。

だが名乗り出れば元魔王の娘として、大天使アリエルの名に傷をつけあの子が手に入れた幸せを壊してしまうかもしれない。

もしかしたら父親として受け入れてもらえないかもしれないと思うと、ワシは名乗り出る事ができず影から見守る日々が続いた。

すると、転機が訪れた。

アリエルが暇をもらい闇の神テスカの旅に同行する事になったのだ。

どうやら闇の神テスカはとある男の生まれ変わりを探す旅をしているらしく、アリエルもその旅の目的に共感したようだ。

ならばワシも今度こそ、愛する我が娘アリエルと離れず一緒にいよう。

たとえ父親としてでなくとも…。

そしてワシは獅子の姿となりアリエルの友達レオナルドとなったのだ。

レオナルドは話が終わると、アリエルには絶対内緒なんだからねと言い残し、大浴場をそそくさと去っていった。

「さてと、あんな話されちゃあアリエルちゃんとレオちゃんが2人で寝るしかないよなぁ。まっソファーならいいか。

んっ?まさか俺にこうやって納得させる為に正体を明かした訳じゃないよな。」

何故、レオナルドが自分に正体を明かしたのかはいまいちよくわからなかったが、ウィルは気分良くフルーツ牛乳片手に大浴場を後にするのだった。


ウィルは部屋に戻る前にカルデへの報告をしようと、人気のない宿屋の中庭にあるベンチに座っていた。

早速、左手の薬指にはめた念話石の指輪に意識を集中すると青白い石が淡く光り始めた。

「もしもーし、カルデ様聞こえますかー?もしもーし。」

この世界にもしもしと言う習慣があるかなど知る由もなく、ウィルが指輪に話しかけるとカルデの声が聞こえてきた。

『…ウィル、待ちくたびれたではないか?』

「おおっ!通じた。カルデ様、お元気ですかー?俺は元気でーす。」

近年、SNSの普及により電話で話す事がめっきり少なくなったおかげで、いざ電話で話すとなると何を話せば良いかわからなくなってしまう若者が増えているらしいが、ウィルはそれ以前に仕事の業務連絡以外の電話自体が苦手だった。

『ああ。我も元気だ。今日は何か問題はなかったか?』

「特に問題はありませんでしたよ。計画通りヒノッコ村でテスカと合流出来て夕方には首都バーナに到着して、今はボルケニア城近くの宿屋です。あっそれとアリエルちゃんも元気ですよー。旅の途中で拾った変なペットを連れてますが害はなさそうです。」

ウィルはまさかテスカに一緒のベッドで寝ようと誘われているとは口が裂けても言える訳もなく、ボロが出ない様に簡潔にまとめ報告をしたつもりだった。

『…今、なんて言った?もう一度言ってみよ。』

カルデの声のトーンが明らかに下り、念話越しでもみるみる機嫌が悪くなるのを感じながらも、まだ自分が致命的なミスを犯した事に気付いてはいなかった。

「えっ?ですからアリエルちゃんが…。」

『そこではない。テスカがなんだ?』

「はい。だからヒノッコ村でテスカと…あっ!?」

ウィルはようやく自分がテスカの事を呼び捨てにしているのに気付く。

だが時既に遅く、念話越しにカルデの嫉妬の炎がメラメラと燃え上がっているのがウィルに伝わってくる。

「ほう?神を呼び捨てにするとは1日も経たない内に随分と仲良くなったようだな?他に報告する事が無いなら切るぞ。我はもう寝る!』

「カ、カルデ様!これには訳が…。」

ウィルが言い訳する間もなくカルデは念話を切ってしまい、ウィルも再び念話でカルデを呼び出す勇気が持てずボルケニア帝国1日目の報告はわずか数十秒で終了した。

そして、ウィルは部屋に戻る気になれずに、そのまま中庭のベンチで眠りこけてしまうのであった。



レオナルド

オス ??歳

元魔王で大天使アリエルの父親。

今は魔物の頂点に君臨する伝説の神獣でアリエルの友達兼ペット。

アリエルには父親である事を隠しており、レオナルドという名はアリエルが付けたもので本当の名は別にあるらしい。

普段は体長2メートルを超える獅子の姿をしているが、ぬいぐるみに憑依したり、金髪ボサボサのオッサンに変身したり出来る。

6属性の魔力を操る事が出来る。覇気を使うと口が臭くなる。



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