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交流31

 『AIさん?〇△ちゃんのラーメン?それって、自分が住む県内の企業だと思うんですけど……しかも、県内でしか売ってないような話を聞いた覚えがあるんですが……東海地方って書いてましたけど、もしかして……同県民でしょうか?』


「えっ、うそっ」


 知らなかった。スーパーで売っているものに対して、県内でしか売ってないものがあるなんて、愛美は考えたこともなかったのだ。〇△ちゃんのラーメンが県内にしかないなんて、全然知らなかったし、これじゃ同じ県民だってバレバレだ。


 でも、愛美はいつかはどこかでそれには触れようと思ってもいた。


 同じ県内にいること。そのくらいの距離でいることをMASATOが知れば、AIとの距離が、グンと近く感じてもらえるような気がした。けれど、自分が誰なのかを知られるわけにはいかない。そこだけは注意をしなければいけないと心した。


 『あの……そうかもしれません。実はあの山からの景色を見たとき、あれ?と思ったんです。言おうかどうか悩んでました(笑)〇△ラーメン、お好きですか?ところで、もうこんな時間ですが大丈夫ですか?』


 いつの間にか23:30分をとっくに過ぎている。


 こんな、早く切り上げたい感じをこの話の途中で出すと、知られたことを困っているように思われないかと、少し不安にもなったが、同じ県内にいることをいつか知ってもらおうと思っていたけれど、こんなに早くになるとは想像もしておらず、多少心に動揺を覚えていた。


 『ごめんなさい、遅くまで付き合わせちゃいましたね。ありがとうございました。ちょっと嫌なことがあったんですけど、おかげで気持ちよく寝られそうです。おやすみなさい』


 『私のほうこそ、お話しできて嬉しかったです。ありがとうございました。おやすみなさい』


 同県民だと知られたときに感じた胸の高揚もようやく落ち着いてきたが、MASATOのよく寝られそうという言葉とは反対に、愛美はまだ眠れそうもないと思った。が、自分も明日は早かったんだと、急いで用を済ませベットに入った。


 ベットの中では、直前までのやり取りを思い浮かべながら、顔のニヤケが止まらないでいた。


 明日、どこかで真崎先生を見かけることができるだろうか?


 その時、自分は普通に、学校にいるときのいつもの自分でいられるか心配だった。そう考えているだけで胸の鼓動はいつもよりテンポよく鳴り始め、思い浮かぶのは階段で見た真崎先生のその顔で、ああ、今夜はラーメンだったんだなと、なんだか考えていることがちぐはぐな気がして、しばらくドキドキが止まらないでいた。



 

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