2.5-3:見据える先③
日常編。作者として凄く好き。
少しずつ便利になる要塞。
「さてと、拡張された艦隊の確認と行きたいけど、先ずは2人が要望している施設の設置と弾薬生産プラントの設置からだな」
「ラボ、解体場、再資源化設備、情報分析室、弾薬生産プラントですね。消費されるポイントは幾つになりますか?」
「えっと、ラボ設置に5ポイント、解体場設置で3ポイント、再資源化設備設置で3ポイント、情報分析室で2ポイント、弾薬生産プラントで2ポイント。合計で15ポイントだな。後は各々の強化で幾つか使う感じか。取り合えず、現状のシステムポイントで賄えそうだね」
「迅速に対応して頂き感謝しますぞ、香月司令官」
「助かる」
早速、自分達の要望が叶う事に笑みを浮かべる、ドクターとサウサン。まぁ、これから色々と助けて貰うメンバーな訳だし、出来るだけの事はして上げたいよね。何より、巡り回って自分の所に還って来る訳だしさ。先行投資ってヤツだよ。よし、早速ポイントを消費して実装と。これで、残り26ポイント。弾薬生産プラントは初期段階の設備なので、日産で500tか。強化は必須だろうな。ただ、他の設備も内容確認してから考えよう。
「ドクター。早速で悪いんだけど、ラボ・解体場・再資源化設備について説明して貰えるかな?」
「では、早速。ラボ、正式には研究開発ラボと申しまして、香月司令官が現在使用されているシステムでは賄え無い技術研究及び開発を担う設備となります。具体的に申しますと、例えば通常ではアンロック出来ない、複数の派生型の特徴を持った特殊派生型艦の開発などが出来ますぞ」
「ごめん、ドクター。もう少し具体的に頼む」
「これは失敬。例えば、ウェクスフォード級駆逐艦の派生型である簡易補給型は、通常では推進剤用の200ℓ型タンクを3つ積載しておりますな? これを私が管理するラボで研究開発する事で、例えばタンクの数やサイズ等を変えたり、周囲に防護板を設置したり出来る様になります。或いは、現状では撤去されている武装とタンクの両方を積載するなども可能になりますな。更に、これらの艦艇に駆逐艦用の簡易式電子戦システムを付与する事で、電子戦型兼簡易補給型と言った様なマルチな能力を持つ特殊派生型艦を建造出来る様にもなりますぞ」
「戦況等に応じて今より柔軟に艦載設備を運用出来るって事か」
これは地味に凄い事だと思う。特に、今回の戦いで簡易補給型が4隻中3隻が失われる結果になった。偏に、補給用タンクによって武装が削減されていた事もあるし、タンクが形状的に外部に露出していた事も大きかった。ドクターとラボによって、痒い所に手が届く様になるって事だろう。
「他にも、敵のレーダーから探知されにくくなる特殊塗料の開発や、各種兵器類、サウサン達が使う特殊工作用の装備等も開発出来ますぞ。香月司令官の扱われるシステム上では出来ない事を、要塞独自に研究開発し実戦投入出来る様にする施設と思って下されば結構ですな。ちなみに、システムポイントによる設備強化はございません。その代わり、適宜資源を消費して拡張していく必要がありますので、ご協力をお願い致します」
「正に、縁の下の力持ちって事か。助かるよ。資源については、言ってくれれば手配するから」
「感謝しますぞ。全ては、香月司令官がお役目を果たす為の助力です。何か欲しい物がある時は遠慮なさらず、何なりとお申し付け下され」
いや、マジでドクター凄いよ。ソフィーとシャンインも勿論凄いけどさ、これまで不足していた部分が大きく改善される訳だからね。うん、凄すぎる。ドクターとラボは直ぐにフル稼働する事になりそうだ。
「さて、ラボで可能な事等の細かいことは追々その都度説明するとしまして、次は解体場と再資源化設備ですな。解体場は読んで字の如く、艦艇及び兵器類を解体する為の場所となりますぞ。そして、再資源化設備は解体したそれらを金属や非金属にリサイクルする設備となります。大破した艦艇や兵器類などは修理するにしても、新造と大差ない程に資源と時間を必要とする欠点がある事はご理解頂けているかと思います。そこで登場するのが解体場と再資源化設備ですな」
「つまり、この2つの設備は両方あって初めて意味を成す訳か」
「左様ですな。解体しただけでは資源にはなりません。かと言って、解体せねば資源にも出来ぬと。双方が揃って初めて意味を成す設備です」
「あれ? って事は、以前のガルメデアコロニー攻防戦で回収した共和国の艦艇って、ドクターが来るまでは修理するか放置するしか無かったって事かな、ソフィー?」
「はい。一馬さんのご指摘の通りです。あの時点ではドクターや設置可能となる設備に付いて、情報公開は出来ませんでしたので、あの様な説明を取らせて頂きました」
「成る程ね」
だから、ずっと要塞周辺宙域に放置されてた訳ね。将来的に資源に出来る事を見越して回収した訳か。或いは、今回の様に修理して潜り込ませる役割を与える為でもあったのかな。何れにせよ、あの時のソフィーからしたら、説明出来る範囲に制約があったと。まぁ、その原因は管理者だろうけどさ。条件を満たすと、色々と情報公開されたりってのは正にゲームだよな。管理者め、暇か?
「ちなみに、再資源化の回収効率ってどの位なのかな? 100%では無いでしょ?」
「ほぉ、流石は香月司令官。鋭いご指摘ですな。仰る通り、初期段階の設備では100%の再資源化は出来ませぬ。初期段階での回収効率は25%となっております。強化する事で50%、75%、90%、100%となりますな。一方、解体場も強化して頂く事で解体に掛かる時間の減少や、同時に解体出来る艦艇や兵器類の数が増加しますぞ。まぁ、先ずは再資源化設備の強化を優先された方が良いかと思いますな」
「確かに。貴重な資源の回収率は優先して上げておきたい所だよ」
解体場の強化は、解体に回す艦艇や兵器類が増えるタイミングになってからで十分だろう。逆に、資源の回収率に直結する再資源化設備の強化は早めにしておきたい。旧式になる艦艇も、資源にして次世代艦の建造に回したいしね。
「私からの説明は以上ですな。後はその都度、ご説明致しますのでお聞きになって下され」
「ありがとう、ドクター」
再資源化設備の最初の強化に必要なポイントは4ポイントか。弾薬生産プラントの最初の強化に2ポイント。此処までで合計6ポイントなら、現状のポイント数から見て実行しても問題は無いだろう。後は、サウサンの情報分析室について聞き次第、割り振りを決めるとしよう。
お読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。