1-9:要塞の強化①
一旦、要塞内部の強化を。
取り合えず、現状で最低限必要な戦力の建造及び生産は行った。まぁ、実際の戦力化はまだ先だけどな。
後は、巡洋艦の開発ツリーをアンロックするのと、ソフィーと相談して要塞の強化だろうか。
「撤退した第1分艦隊が帰投するまで、後どの位かな?」
「そうですね。後30分といった所でしょうか。所属不明艦からの追跡を避ける為の欺瞞ルートを用いていますので、少し時間が余計に掛かっていますね」
「そうか。じゃ、それまでの時間、要塞の強化について相談に乗って貰えるかな?」
「勿論です」
「ありがとう。相談の前にシステムポイントを2つ消費して、巡洋艦の開発ツリーをアンロック……。カンターク級巡洋艦か。この艦も連邦時代の艦なのかな?」
「そうですね。アスローン級駆逐艦同様、銀河連邦の初期を支えた艦艇ですね。バランスの良い兵装と、操艦性の高さで評価の高かった艦艇ですね」
「なるほど」
とは言え、流石に駆逐艦に比べて建造コストが結構高いな。
カンターク級巡洋艦 金属4,800t 非金属850t 推進剤1,200ℓ 弾薬300t
建造で消費される金属が、アスローン級駆逐艦の倍近く。船体がそれだけ大型になっているって事だろうな。弾薬の量が大幅に増えてるのは、駆逐艦よりも兵装が増えている分だろう。特徴としては、対潜爆雷と対空砲だろうか。出来れば建造したいが、推進剤の量が心配だな。資材の所に確か500ℓ/日と有ったが、そのペースだと巡洋艦はまだ厳しそうだ。
「巡洋艦の建造を考えると推進剤が心許無いな」
「そうですね。駆逐艦4隻分の消費を考えると直ぐに巡洋艦建造は厳しいかと」
守備隊用の機動砲も推進剤を消費するし、無理は出来ないな。突発的に資材を必要とする事態も有り得るだろうから、今は我慢我慢。オッサン、我慢は結構得意だ。
「よし。今は要塞の強化を考えようか」
「はい。要塞内で強化出来るのは司令ブロック、生産ブロック、軍事ブロックとなります。それぞれ強化可能な項目が有ります。現状で優先するのは、生産ブロックの推進剤生産プラントと、軍事ブロックの修理ドックでしょうか」
「修理ドッグの強化は、修理時間の短縮に繋がるのかな?」
「いえ。そもそも、現状では修理ドックが解放されていませんので、まずは解放にポイントが必要になります。その後、出来れば同時修理可能艦数の強化でしょうか。修理時間の短縮にポイントを振るのは、暫く先になりますね」
「そうか。推進剤生産も強化したいし、修理ドックも必須だろうし、結構厳しいな」
「残りのポイントは幾つでしょうか?」
「えっと、今は7ポイントだな」
「では、各項目に必要なポイントを確認してから、決めましょうか」
「了解」
えっと、推進剤生産プラントは、500ℓ/日を750ℓ/日にするのに1SPを消費する。その先は、恐らく1000ℓ/日となるのだろう。恐らく必要になるポイントは2SPかな。先の項目で必要となるSPの数値が、直前の項目をアンロックしないと見えないから予想でしかないが。一方の修理ドックは解放に2SPが必要となる。更に同時修理可能艦数を追加するとなると、厳しいな。
「推進剤プラントに1SP、修理ドック解放に2SPは確定として。残りの4ポイントでどっちを優先するべきかな?」
「修理ドックの解放で任務が達成出来る可能性が有ります。もし追加のポイントが手に入れば、選択肢も増えるのでは無いでしょうか?」
「なるほど。確かにそれは有りそうだな。早速試してみよう」
推進剤生産プラントを強化して、生産量を750/ℓへと増強。修理ドックを解放して、艦艇の修理が可能となった。最初の修理可能艦艇数は1隻のみか。これは、せめてもう1隻分は解放しておかないと、厳しいな。此処までで、3SPを消費。さて、任務は達成出来ているだろうか?
「おっ、≪修理ドック解放≫が達成出来たな。ソフィーの予想通りだ」
「これで、残り5ポイントですか。推進剤生産プラントの強化は2SP、修理ドック拡張は3SPですね」
「狙ったかの様な、ポイント消費だな」
「まぁ、そう言った計算が無いとは言えませんね。管理者のやりそうな事です」
「そうか。でも、こっちとしては、有難い」
使えるなら、管理者の思惑でも使ってやろう。それが、後々どの様に影響するかは分からないが、今は要塞の強化を優先したい。
「じゃ、推進剤生産プラント強化に2SP消費、修理ドック拡張に3SP消費と……。これでSPはゼロになった」
「そうですね。ですが、巡洋艦開発ツリーの初期艦はアンロックが終わっていますので、資材さえあれば建造は可能です。流れとしては悪く無いかと」
「そうだな。無い物を強請っても仕方が無い。有る物でやっていかないと」
色々と行動する事で、任務も自然と達成出来るだろう。その為にも、所属不明艦の問題をキッチリと解決しないとな。不安を残したままじゃ、思うような行動も取れない。
「香月司令官。間も無く、第1分艦隊が帰投します」
「了解。外の様子とかって見れる?」
「では、正面のモニターに軍港エリアからの映像を出しましょう」
そう言って、ソフィーは手元の端末を操作した。すると、正面の壁の一部が左右へと開き、その内側から大型のディスプレイがせり出してきた。50型とかそれ位のサイズだろうか。展開が終わったディスプレイに、宇宙港内部から外を映していると思しき映像が表示された。丁度、深緑色のアスローン級駆逐艦がゆっくりと軍港へと帰投してくる所だった。
「凄いな。やっぱ迫力あるわ。これが戦艦とかになったら、もっと凄いのか」
「そうですね。ですが、駆逐艦も多数の艦艇が並ぶ様は見応えが有ると思いますね。戦艦はどうしても少数になりますから」
「確かに。一番の働き者が駆逐艦になるだろうな」
「その次が、巡洋艦ですね。後は空母も馬鹿に出来ない艦艇です」
「空母か……」
まだまだ、戦艦も空母も、巡洋艦すら建造までは至れていない。でも、何時かこの軍港がそれらの艦艇で埋め尽くされる光景をぜひ見たいな。その為にも、生き抜かないと。燃える男の浪漫を目指して、オッサンは頑張る。
お読みいただきありがとうございました。
次回は再び所属不明艦と……。