2.5-2:見据える先②
前回の時は章の最後にやった総括回です。
誤字報告、ありがとうございます。助かります。
「では、前回同様に私が代読させて頂きますね?」
「宜しく、ソフィー」
前回と同様、A4サイズの紙が茶封筒から出てくる。何て言うか、暇なんだろうね管理者。
「では……。香月司令官、悔しいだろー? 悔しいだろー? ボロ負けして、悔しいだろー?」
「管理者、殴って良いかな?」
「同感ですが、今は落ち着いて下さい。続きを読みますね?」
「変な部分は飛ばして良いからね!?」
「では、改めて……。まぁ、冗談はこれ位にしておこう。後、私を殴るのは禁止だからね? これでも管理者だしさ。また脱線してしまった。取り合えず、言いたい事は1つだよ。今回の事で君は学んだ筈だ。何事も思い通りに上手く行く事ばかりでは無いと言う事を。今回の経験は必ず君を強くするものだと私は確信している。それと、君は負けた事を気にしている様だが、私からすれば些細な事さ。だって、生まれてこの方、1度だって失敗や負けを経験した事が無い人間なんていると思うかい? いる訳ないよね? だって、人は最初から失敗する様に出来ているのだから。そして、そこから人は学び成長していくんだ。だから、君の今回の負けは私から言わせて貰えば、予定通りの結果に過ぎないんだよ。だから、その事で君をマイナス評価する心算は無いから安心してくれ」
どうやら、管理者的には今回の結果は悪い方に捉えている訳では無い様だ。勿論、今回の事からオッサンが何も学ばず活かせないのであれば、次は厳しい評価が待っているだろうけどな。どこか、天狗になりかけていたのかもしれない。今回の負けによって、その伸び掛けていた鼻を綺麗に折られたって事だろうか。
「さて、長々と手紙を書くのも面倒だから、後は以前と同じように報酬の目録を君達の端末宛てに送っておいた。確認して欲しい。以前も言ったが、常に君の働きを評価している。どうか頑張って結果を出して欲しい。最後にこの手紙を10人に送らないと不幸になるよ? 以上です」
「前回もそうだったけど、管理者ってやっぱり暇だよね!?」
「何と言う事だ……。10人に送らないと不幸になるのか!?」
「「「「えっ?」」」」
「な、何だ、その目は! 何が可笑しい!」
その反応って前回はソフィーがやってたな。もしかしてサウサンって、意外とポンコツなのかもしれん。ポンコツな潜入工作員ってどうなんだろうか? くっ殺とかならないよね……?
「さ、さて目録を確認しようか」
「最優先は資源ですね」
「戦力強化も欲しいですわ」
さて、何が来ているのやら・前回同様、端末に管理者から送られてきたメールを開封する。わざわざ手紙とメールを分ける辺り、管理者の拘りがあるのだろう。
「1つ目は、資源! ありがたや、ありがたや!」
「枯渇した訳では無いとは言え、艦隊修理と補給でかなり消費しましたからね。今後の建造予定にも大きく貢献してくれるでしょう」
君達に送る1つ目の報酬は前回同様に資源だよ。このタイミングでは最高に嬉しいだろ?
今回は、特別に日付が変わるタイミングで資源を送るから有効活用して欲しい。
内容としては、今後の艦隊規模を考えて金属12万t、非金属4万t、弾薬2万tを送ろう。
「続いて……」
2つ目は、弾薬生産プラントの設置が可能になったよ。システムからポイントを消費して設置して欲しい。中々、最近は弾薬の消費が増えて悩んでいたところだと思うから、此方も有効活用して欲しい。これに合わせて、システムポイントを30ばかしプレゼントさせて貰うよ。新参の2人の為にも、有効活用して欲しい。
「これも、有難い。最近の弾薬消費は結構激しくなってたからね。艦艇数が今後も増える事を考えると、生産プラントの設置は必須だ。ポイントは、前回で一気に消費したからな。有難く貰っておこう」
「弾薬生産プラント、ラボ、解体場、再資源化設備、情報分析室。これだけでも相当にポイントを消費しそうですわ。確実に、あの馬鹿はタイミングを計ってますわね……」
「まぁ、助かるのは事実だからね?」
これで、前回までの残りと15日に受け取った3ポイントも合わせて合計で41ポイントだな。やはり、ポイントもまた貴重な資源の1つだわ。
3つ目は、戦力拡充だ。今回の事で痛感しただろうけど、性能差だけでは覆せない事なんて幾らでもあるのが現実だ。だから、この機会に君には戦力を強化して欲しい。とは言え、簡単に大量の戦力をあげて調子にのられても困るからね。前回同様にルーレットを用意したよ? 今回は、10倍から100倍までの10段階だ。さぁ、君の運を見せてくれ(笑) 軍港については、艦隊規模に合わせてポイント消費無しで拡張してあげるから安心して良いよ。ちなみに、着任したばかりの彼らが持ってきた艦は対象外だから注意してね?
「10倍から90倍までは1マスずつ。100倍が3マスか……」
「前回は確か最低倍率でしたか……」
「き、きっと大丈夫ですわ!」
「流石に、また最低倍率は無いっしょ……、無いよね?」
前回の時と同様、スタートボタンを押すとルーレットが回転を始める。100倍とは言わないが、せめて50倍位は当たって欲しいと思う。ちなみに今回は虚しくなるかもしれないから、期待値の計算はしない。
「「「「「……」」」」」
左右から画面を覗き込んでくるソフィーとシャンインだけで無く、正面側からドクターとサウサンもオッサンの持つ端末の画面に注目している。凄い圧を感じる……。
「止まった……」
→10倍
「俺は、知ってた。そして、あの馬鹿から煽りが来るのも分かってる」
おめでとう。
まさか、再び最低倍率を引くとは思わなかった。君は、素晴らしい程に運が無いな(笑)
まぁ、獲得した艦隊でこれから先も頑張ってくれたまえ。
「前回から微妙に文面が変わっているって事は、やっぱりその場で入力しているのか」
「暇人なんですわ」
「ただの馬鹿ですね」
「ノーコメントですな」
「馬鹿とは聞いていたが、馬鹿だな」
ドクターはまだしも、サウサンは最初から手厳しい。管理者、強く生きろよ?
そして、最後の4つ目の報酬だ。これは正直なところ、今の君に何を送るべきか悩んだけれども今後の事を見据え、長期的に有効な仕組みをプレゼントしようと思う。何かって? 現時点から君が保有する全ての艦艇の、燃料消費効率を改善してあげようじゃないか。勿論、今後開発ツリーから解放して建造される後継艦や、新艦種の艦も同様の措置を自動的に与えるよ。具体的には、リッター当たりの航行距離が倍になる。これで、より長距離での軍事行動も取りやすくなるだろう?
「おぉ、凄く実用性が高いのが来た。補給艦の少なさもあったけど、コンラッドへの往路分だけで補給艦のタンクが空になってたからな。消費量が純粋に減るってのは助かるわ」
「航行距離、推進剤消費量、補給回数。何れもメリットはあれど、デメリットはありませんもの。あの馬鹿でも偶には役に立つ事あるとわ……」
シャンインさんや。少しは認めてあげようぜ? 馬鹿にも馬鹿なりに知能はあるって事だよ。まぁ、オッサンも馬鹿って呼んじゃっている時点でどうかと思いますがね。
では、今回の褒賞は此処までだ。この目録は10秒後に爆破処理されるから、気を付ける様に!
「やっぱ、メール消すんだな」
「そこは、やはり馬鹿ですから」
「馬鹿のやる事ですわ」
「ノーコメントですな」
「馬鹿の1つ覚えだ」
ソフィーとシャンインだけでなく、サウサンも呆れた様な表情を見せている。管理者、いや馬鹿。もっと頑張ってくれ。お前の送り出した彼女達からの評価が最低だぞ! ドクターも何気に関わりを避けているしさ……。
お読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。