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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第2章:星女と宙賊と戦艦
76/336

2-35:付けたしアレコレ

まったり流れる要塞時間。


※作者より※

日々、誤字脱字のご報告や、内容についてのご指摘等、ありがとうございます。

色々と抜けている部分、不足している部分があるかと思いますので、引き続きお気軽にコメントを頂ければ幸いです。

 『出来れば、事前に説明が欲しかったのだがね?』

 「あくまで、第8コロニー方面へ向かう為に其方を航路として経由したまでの事。わざわざ、事前説明する必要は無いかと思いますが?」

 『ふむ。ソフィー君の言いたい事は理解出来るがね。だが、此方としてもここまで大規模な艦隊など見せられたら、彼方此方で五月蠅く騒ぐ連中も居るのだよ』

 「そちらの懸念は理解してますわ。ですが、僅かにでも情報漏洩が懸念される以上は、止むを得ない判断ですの」

 『ふぅ……。まぁ、お喋りな者がいる事は否定出来ない。ただ、余計な仕事が増えたのは確かだがね?』


 ソフィーとシャンインが、スキンヘッド紳士とモニター越しに言葉の応酬をしている様子を、死角から眺めるオッサン。えっ? 何で、加わらないのかって? ちょっと、ナターシャ嬢とお茶しながら駄弁ってる間に、ガルメデアコロニーから連絡が来ちゃったからなんだよね。序盤っぽかったけど、途中から加わるのもアレだなって思って見物する事にしたんだよ。元々、対応については説明してあったしさ。


 「……何時もお暇な様ですから、丁度良いのでわ?」

 『ははっ。これは手厳しいな、シャンイン君。しかし、残念ながら私は見た目以上には忙しい人間でね? 余り、余計な対応を増やして欲しく無いのだよ』

 「とは言いましても、私達も今回は出し切っているので、不安は出来るだけ取り除きたいのです」

 『ほぅ?』

 「勿論、最低限の備えはありますの。でも、普段よりだいぶ寂しいですわ」

 『……そういった情報を、漏らすべきでは無いと思うがね?』


 うん。スキンヘッド紳士の指摘は正しい。でも、敢えて漏らすのだから気にしないでくれ。むしろ、これで出張って来る連中が居たら、お前さんの身近な所に居るって事だからな? 或いは、スキンヘッド紳士が根源って事になる。逆に、何も動きが無ければ相手に多少の知能があるか、スキンヘッド紳士の周囲には彼を含めて居ないって事になるだろう。まぁ、あくまで素人考えなので穴は幾らでもあるだろうがね。


 「貴方への、信頼と捉えて下さいな?」

 「そうですね。その程度の関係は築けているかと?」

 『やれやれ……。困った女性達だ』


 この角度からだと微妙だが、多分スキンヘッド紳士は苦笑を浮かべているのだろう。恐らく、此方の意図には確実に気が付いていると思う。でも、それ以上は何も言ってない以上、突っ込んでくる心算は無い様だ。まぁ、此方としてはどっちでも良いんだけどさ。


 「そもそも、事実を伝えているだけですもの」

 『まぁ、そういう事にしておこう。では、私はこれで失礼する。香月君にも宜しく伝えておいてくれ』

 「分かりました。必ず」


 通信が終了し、モニターがブラックアウトする。そして、オッサンの方へと振り向くソフィーとシャンイン。オッサンとしては、2人から良い笑顔で此方を見られても困りますが?


 「お疲れ様。取り合えず、スキンヘッド紳士は自分の仕事に戻ったかな?」

 「だと思います。有象無象が彼の元に来ているでしょうから、てんやわんやになっているかもしれませんね」

 「その程度を纏め切れない様ならば、何れ首を挿げ替えるだけですわ」

 「いや、まぁそれは俺も同意見だけどね? でも、代役務められる人間が現状は居ないっしょ……」


 スキンヘッド紳士からしたら、今まで苦労してガルメデアコロニーを纏めて来ただろうに、この位でダメだし喰らって切り捨てられるのは納得出来ないのは間違い無い。いきなり現れたポッとでのオッサン達に勝手に評価されて、邪魔なら挿げ替えられるとかね。でも、世の中は厳しいのです。致し方なし。


 「さてと、追加建造しないと」

 「まだ、増やすのですか? 確かに、戦力強化は重要ですが……」

 「いやさ、考えたら要塞守備隊用の艦艇が無いって事に思い至ってさ?」

 「……あら?」

 「……あららですわ」


 そう、実は要塞守備隊用の艦艇が無いのである。まぁ、実際には要塞で待機している艦隊から引き抜けば良いのだけれども、そちらの戦力を低下させる位ならば新造しようって考えに至った訳だ。まぁ、ぶっちゃけ資源的にそこまで余裕は無いけどね。精々、4隻程度が限度かな。


 「だから、ウェクスフォード級を4隻追加建造する。後、思考爆雷を増やす」

 「了解しました(わ)」

 「で、建造した4隻は戦艦艦隊の改アスローン級5隻と入れ替えて配備。要塞守備隊には入れ替えた、改アスローン級5隻を回そう」

 「思考爆雷はどの程度の数を揃えますか?」


 思考爆雷は、要塞周辺宙域を閉鎖するのに使う予定だ。生産コストも安いし、生産時間も短い、更に言えばサイズ的に同時に100個までなら生産出来るのは大きいよな。それに、爆雷は運用コストも安いし、何より、1度展開させたら半永久的に役立つからな。


 「同時最大生産数の100個生産する。現状の30個と合わせて130個を要塞宙域にばら撒こう」

 「では、機動砲と合わせての要塞周辺への再配備計画を練ります」

 「宜しくね。シャンインの方は調子は?」

 「昨日も2隻の貨物船を護衛しましたわ。是非、次回も利用したいと好評ですの」

 「それは何よりだな。補給は問題無し?」

 「現状、推進剤は心配ありませんし、弾薬の消費も想定より少ないですわ」


 最初は、何処まで上手く行くか不安ではあったが、何だかんだで宙賊家業は順調の様だ。過激派からちょっかいを出してくれるお陰で、勝手に向こうの数が減っているのも地味に嬉しい副次効果だよね。そこそこしっかりとした宙賊拠点を確保出来た事も大きかった様だ。弾薬は、宙賊艦で使用されているものと規格が違うせいで殆どが流用出来ないが、今の消費ペースならば主力艦隊到着まで余裕で持つだろう。


 「過激派は相変わらず五月蠅い?」

 「そうですわね。ちょいちょい、拠点付近で見掛けますわ。でも、流石に学習能力があるのか近付いては来ませんですの」

 「どの宙賊も其処までの戦力がある訳じゃないからな。流石に毎回沈められてたら何れ廃業するしかなくなるからな」

 「なので、暫くは宙賊業に専念出来そうですわ」

 「了解。暫く頼むね」


 宙賊家業は順調。ガルメデアコロニーへの仕込み終了。要塞防衛戦力の強化も順調。資源は結構底が見えているかもしれないが、オッサンは敢えて目を逸らす。現実ってのは時に無視した方が良いんだよ。じゃないと、精神的に辛いからさ。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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