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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第2章:星女と宙賊と戦艦
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2-20:会談①

宙賊の扱いが酷いって? そんなものでしょ!

 2度目のパルメニア教コンラッド支部訪問。前回と同様、受付で名前を告げて案内を依頼する。直ぐに、奥から前回も案内してくれた女性が現れ、建物の奥へと案内される。どうやら、前回とは違う場所に通される様だ。


 「此方の部屋でお待ち下さい。支部長は直ぐに参ります」

 「ありがとうございます」

 「お飲み物をお持ちしますので、お掛けになってお待ち下さい」

 「分かりました」


 ここも応接室なのだろうか? 前回の場所よりも気持ち広くなった様に感じる。それから、装飾品もワンランク上の物が置かれているみたいだな。オッサンが、この部屋に通す価値があると見られているのか、或いはそれだけの人物が後々姿を見せるのか。個人的な予想では、後者かな?


 「さて、どんな条件を出してくるかな?」

 「一馬さん。少しお待ち下さい」

 「ん?」


 ソフィーは、何やら上着のポケットに手を入れてゴニョゴニョしている。何か操作している様な動きかな? 飴ちゃん探しているとか、ミントタブレットでも探しているのか、或いは?


 「此処に入れているのは防諜用の装置です。念の為、我々の会話が外部に漏れない様に起動させました」

 「なるほど。確かに、要塞の外だもんな。その辺を今まで意識してなかった……」

 「その辺のフォローも私達の仕事ですから、気にしないで下さい。とは言え、口から出てしまった情報を止める事は出来ません。流石に記憶操作は……、無理ですので。発言には十分注意をお願いします」

 「了解」


 折角、ソフィーが気を配ってくれているのに、オッサンがポロってバラしたら意味が無くなるもんね。それにしても、記憶操作の所で微妙に間があったよね? まぁ、流石のソフィー達でも記憶操作は無理だよね。無理だと言ってよ、ソフィー!


 「では、話を戻しましょう。教団側が出してくる条件として、最も可能性が高いのは監視役の派遣でしょうか?」

 「それは確かにあり得そうな展開だな。でも、下手に内情を見せるのは避けたい所だな」

 「確かに、香月殿の率いる無人艦隊は余り公にはしない方が良いだろうな?」

 「色々と五月蠅くなるって事かな?」

 「無人艦自体は共和国を始め各勢力下で多用されてはいる。しかし、完全無人化された大規模艦隊など何れの勢力も保有はしていないのだよ」


 そう言えば、以前シャンインがその様な事を言っていたのを思い出す。確か、オッサンとソフィーで模擬艦隊戦をしていた時の話。何となく、他の勢力での無人艦運用について聞いたんだった。




 「各勢力でも無人艦自体は珍しく無くなりましたが、依然として艦隊指揮を執るコントロール艦を一定距離内に配置しておく必要がありますの。彼らの技術では超長距離の通信を介して、無人艦への指揮を執る事が出来ないからですわ」

 「なるほど。ちなみに、コントロール艦が撃沈された場合に無人艦ってどうなるのかな?」

 「コントロール艦が撃沈された場合、事前設定に従ってスタンドアローン状態へ移行しますわ。或いは、他のコントロール艦が居れば其方に指揮権が移りますわね」

 「事前設定って事は、その状況に則した設定が事前に為されて無ければ何の意味も無いよね?」

 「一馬様の仰る通りですの。ですので、どの勢力もコントロール艦が撃沈された状況に置いて、周囲に指揮を引き継げる艦が居ない場合に備え、無人艦に集結ポイントまで即時帰還する様に設定してありますわ」

 「なるほど。つまり、敵勢力の無人艦と遭遇したら頭を端から潰せば良い訳か……」

 「そこが、この要塞の無人艦隊との大きな差ですわね。独立行動を取る完全無人化された艦隊。頭脳となる艦が居ない以上、全艦撃沈する以外に止める方法が在りませんもの」




 「教団の監視役は断る方向で行こう。偽装したコントロール艦を用意するのも面倒だし、乗組員役として誰かが乗り込む必要も出てくるしね」

 「そうですね。人材の少ない我々に取って、余計な役割が増えるのは遠慮したいところです」

 「まぁ、今この場でどうこう言っても仕方が無いね。教団の出方を見よう」


 さて、教団が何を条件として提示してくるかだな。出来るだけ早く再会談をしたいと言っていたが、何か教団内で動きがあったと見るべきだろうか。宙賊が反応を見せたし、恐らく教団側でも反応が出たのは間違い無いと思う。それと、今日の会談がどの様に繋がるか。オッサン、読めません。


 「……来た様だな。人数は全部で5人。内3人は匂いに覚えがある。残り2人は不明だ」

 「分かるの!?」

 「ふむ。種族的に匂いには敏感でな? 1度嗅いだ匂いは記憶している」

 「流石、シーバ族」


 シーバ族、恐るべし! まぁ、ご先祖様を考えればおかしくは無いのだろうけれども……。それにしても、全部で5人ね。3人は匂いに覚えがあるって事は、誰だ? 支部長と飲み物を持って来てくれる案内の女性の2人は確定だよな。後1人、嗅いだ事のある匂いの持ち主か。聖戦師団の人間とかか? でも、今回の会談に関係するとは考えにくいよな。


 「さて、鬼が出るか蛇が出るか。上手く行く事を祈ろうじゃないの」

 「えぇ。祈りましょう。あの馬鹿以外に」

 「相変わらず、ブレないね!?」

 「当然です」


 あはは……。可哀そうに管理者君。まぁ、俺も3発か4発殴る予定だから仕方が無いか。ソフィーとシャンインの折檻終わっても無事だったら殴らせて貰うとしよう。っと、ノックがあったね。いよいよ、ご対面だ。さて、誰が来るかね? 星女とか来たら少しだけ驚こう。彼女の行動力にね?


 「皆様、大変お待たせして申し訳ございませんでした」


 そう言って、頭を下げながら入室してきたのは、コンラッド支部のトップを務めるバイセル・オルガ支部長。そして、飲み物を持ってきてくれた案内係の女性。その後に続くのは、支部長と同じカンドゥーラに似た衣装を身に着けている、見知らぬ男女2人。そして、まさかの再会となる人物だった。行動力あり過ぎませんか?


 「まさか、またお会い出来るとは思ってもいませんでした。星女(・・)様」

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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