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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第2章:星女と宙賊と戦艦
56/336

2-15:専用機も漢の浪漫

可変機も専用機も漢の浪漫(私的見解



※お知らせ※

作品の舞台感に沿う様に、艦種の名称を変更しました。

潜水艦→潜航艦となります。

アドバイスして下さった方、ありがとうございました。

特に話の内容に変更はございません。


また、各勢力圏までの距離について以前コメント頂きましたが、共和国迄は現状維持、連邦及び帝国に関しては距離を伸ばす方向で考えております。此方も決まり次第反映させます。

 頭上には、放棄された資源衛星を改築した要塞の正面側が見えている。パッと見だとハンバーガーの様な形だろうか? 中央の具材部分辺りに軍港が設けられており、目視出来る範囲で十数隻が係留されている。後は周辺宙域で警戒にあたっているか、軍港の奥にあるスペースで係留されている。現在の軍港レベルだと外部係留スペースで30隻、内部係留スペースで20隻が係留出来る様になっているそうだ。艦隊規模を考えると、そろそろ軍港を拡張する時期だな。


 「如何ですか?」

 「ん? あぁ、最っ高だよ!」

 「それは何よりです。気分が悪くなったら、直ぐに言って下さいね?」

 「了解」


 俺の好みに合わせて、深紫色の特別塗装を施された可変戦闘機『オグマ』指揮官仕様機。操縦は前部座席に座ったソフィーが行い、俺は後部座席で外の景色を楽しませて貰っている。右斜め下部には早期警戒仕様機、逆側には電子戦仕様機、後方には2機の通常仕様機が専属護衛として編隊飛行を行っている。更に、周囲には4隻のウェクスフォード級駆逐艦と、電子戦仕様のカンターク級巡洋艦が1隻それぞれ護衛艦隊として展開している。止めとして、軍港では16機の通常仕様の『オグマ』が、即応態勢で待機していると言う過剰なオマケもあります。そこまで、するかい?


 「まだ速度は上げられますが、どうされますか?」

 「ガンガン上げて良いよ? 特に体調には問題無いしさ」

 「了解です。加速します」


 ソフィーがペダルを踏み込んだ事で、機体は更なる加速を始める。耐Gスーツを着ているとは言え、先ほどよりかは若干の息苦しさの様なものを感じるようになった。でも、視界一杯に広がる宇宙の美しさに圧倒され続けてしまっていて、余り気にならない。要塞周辺のデブリ帯内をアクロバット飛行しながら駆け抜ける、俺とソフィーの乗った『オグマ』。目まぐるしく変化していく視界。でも、気持ち悪いって感じにはならない。地球に居た頃は結構乗り物酔いに苦しめられたオッサンだけど、宇宙空間では平気らしい。


 「ソフィー」

 「何でしょうか?」

 「……操縦させて?」

 「駄目です」

 「即答ですか!?」


 くっ、やはり駄目か……。まぁ、ソフィーかシャンインの操縦でって条件で、オッサン専用機の生産許可が出た訳だしね。でも、諦めません。何時か必ず専用機の操縦チャンスをもぎ取ってやる。


 「……せめてシミュレーターで操縦訓練を受けてからにして下さい。後はシャンインの説得ですね」

 「シャンインの説得って、何気に難易度高くない!?」

 「操縦をされたいのなら、それ位は乗り越えるべきです」

 「……善処します」


 シミュレーターでの操縦訓練は時間をみて早速今日からでも取り掛かろう。ただ、問題はシャンインの説得だな。何だかんだで、ソフィーは比較的オッサンに甘い所があるのだよ。でも、逆にシャンインは結構厳しかったりする。まぁ、それでバランスを取っている部分もあるのかな。とは言え、シャンインの説得ってのは、中々に骨の折れる仕事だ。


 「さて、要塞を出て1時間近くになりますので、そろそろ戻りますか?」

 「もうそんなに経ったのか……。もう少し飛びたい気もするけれども、ソフィーの時間をこれ以上取るのも悪いな。よし、戻ろうか」

 「では、戻りますね。シャンイン、これから帰投するわ」

 『了解ですの。護衛艦隊も併せて帰投させますわ』

 「お願いね」

 『お任せですわ』


 ソフィーとシャンインの会話に聞き耳を立てつつ、流れていく光景を目に焼き付けていく。次の機会が何時になるか分からないからな。少なくとも、パルメニア教団と宙賊の一件が解決するまでは厳しそうだ。待ってろ、宇宙。あいしゃるりたーんだぜ!




 「お帰りなさいませ、一馬様! 如何でしたか?」

 「最高だったよ? また時間作って飛びたいね」

 「それは何よりですの。でも、一馬様自らの操縦は駄目ですわ?」

 「……ぐはっ」


 要塞に帰投した直後、シャンインからの先制攻撃で致命傷を受けたオッサンは司令室の床に倒れた。どうやら、シャンインは先ほどの会話をちゃんと聞いていた様だ。でも、オッサンは諦めません。諦めない限り、負けは無いと思いたいです……。試合時間とかは言っちゃ駄目だぜ、オッサンとの約束だ。


 「まぁ、その辺は後々お話させて頂くとして。本題は別ですわ?」

 「何かあったのかしら?」

 「ガルメダのサントスさんから連絡がありましたて、教団側が私達を受け入れるそうですわ」

 「そうか。ちなみに無条件で?」

 「その辺りについて、再度話し合いの場を設けたいそうですの。ですので、再度コンラッドコロニーに来て欲しいとの事ですわ。しかも、出来るだけ早くにとの事」


 話し合いの場か。またコンラッドコロニーまで赴くのは面倒だけど、仕方が無いか。流石にガルメデアコロニーに来てくれとも言えないしね。しかし、タイミングが悪いと言うか。出来るだけ早くって言われも、今朝ディーシー号はガルメデアコロニーに向かって出航したばかりじゃないか。今から、アイザフ大佐に連絡を入れて呼び戻すか?


 「僭越ながら、アイザフ大佐に連絡してディーシー号には此方へ戻る様に依頼しておきましたわ」

 「流石、シャンイン! 優秀な補佐官には頭が上がらないよ」

 「褒めても、操縦は駄目ですの」

 「……おぅ」


 流石はシャンイン。ソフィーもそうだけど、彼女達は本当に優秀です。でも、褒めても優しくはしてくれません。オッサン、涙目になりそうですが需要無いっすね。まぁ、今はその事より教団との再会談についてだな。シャンインに宙賊をやって貰う関係で、会談に赴くのは前回と同じメンバーになる。


 「てっきり、星女への返事を保留しているから、教団には渋られるかと思ってたよ」

 「そうですね。それに、過激派と繋がっている関係者に取っても本来ならば都合が悪いですね」

 「何か裏があると思って、現地へと赴かれるのが良いかと思いますわ?」

 「そうしよう」

 「それと、サントスさんから道中で立ち寄って欲しいとの事ですわ」

 「スキンヘッド紳士が? 何だろうか……」


 紹介状のお礼でも寄越せって話かな? 念の為に、ウイスキーとか、ワインでも積んでおこうか。パルメニア教団への寄進は今回は必要なんだろうか? 前回、結構な量を送ってるからな、今回は見送るか。下手に、都合の良い金蔓みたいに思われるのも不快だしさ。


 「今回は、コロニー上陸中はアイザフ大佐から部下を何人か借りよう。また前回みたいなトラブルは避けたいからね」

 「そうですね。或いは教団側が受け入れるならば、戦闘アンドロイドを連れて行くのも良いと思いますよ?」

 「あぁ、確かに。彼らに来てもらえれば安心だな」

 「では、その辺も日程調整と共にサントスさんに依頼しておきますわ」

 「宜しく頼む、シャンイン」

 「了解ですわ」


 交渉はシャンインに一任して、俺はクロシバに話をしにいこう。昨日帰ってきたばかりで申し訳無いが、客将として頑張って貰いましょう。働かざる者、食うべからずの精神ですよ!

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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