表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第2章:星女と宙賊と戦艦
52/336

2-11:要塞は我が家です②

浪漫だよ!

 「「ダメです(わ)!」」

 「えぇー」


 2人から、提案を即座に却下されたオッサンであります。何故だ? 解せぬわ! 要塞司令官として、司令官専用機が欲しいって言っただけなのに……。可変戦闘機だよ? 漢の浪漫だよ? 派生型に指揮官機仕様ってのがあるんだよ? これは、生産するしか無いよね? って、言ったら、冒頭の却下だよ。なすすべなく却下だよ。


 「指揮官仕様(単座・複座)に、電子戦仕様、早期警戒仕様、爆装仕様、複座仕様まであるんだぜ?」

 「だとしても、一馬さん専用機を用意する必要性はありません」

 「ソフィーの言う通りですわ? 一馬様が前線に出る必要は無いですもの」

 「いや、そもそも宙を飛んでみたいなーって……」

 「「……」」


 うわっ、メッチャジト目で見られてます。この目はオッサンの言い分を絶対に信じては無いな。2人からの鋭い視線が刺さりまくる。視線に殺傷力があったら、今頃は穴だらけになっていそうだよ。でも、オッサンとしても譲れない部分があるのです。漢の浪漫は譲れません! 取り合えず、別の方角からそれらしい理由で攻めてみようじゃないか。


 「要塞司令官として、前線での感覚ってのを身に着けておくべきだと思うんだよ。要塞で指揮を取っていると、どうしても戦いをしているって感覚が鈍いからさ」

 「仰りたい事は理解出来ますが、万が一を考えると賛同は出来ません」

 「私もですわ。どうしてもと仰るのでしたら、戦闘機用のシミュレーターを設置して、その中で思う存分操縦して下さいな」


 ぐっ、否定だけでなく安全な選択肢を用意してくるとは……。で、でもオッサンは負けないぜ!


 「でも、遠出せずに要塞付近なら安全確保出来るでしょ? 護衛も出せば、リスクは最小限まで抑えられるんじゃない?」

 「資源が無駄です(わ)」

 「おぅっ……」


 情け容赦が無いな! 確かに、護衛の分の推進剤なり消費するけどさ、今の生産量ならその位はカバー出来るよね!? な、何か手は無いか……。今、オッサンは人生で1番と言って良い程に頭をフル回転させてプランを練っている! 量子コンピューターすら凌駕出来るぜ?


 「……はぁ。一馬さんがどうしてもと言うならば、複座型で私かシャンインが操縦するのでは如何でしょうか? 一馬さんはただ乗っているだけです。これならば、私達の判断で即座に飛行を中止して戻れますから」

 「……そうですわね。要塞周辺で、護衛機だけで無く護衛艦隊も出せば早々に懐に入られる事も無いでしょう」

 「……良いの?」


 起死回生の一手を探していたら、まさか2人から救いの手が差し伸べられようとは! 君達は女神か! いや、金属生命体だった! とにかく、これで可変戦闘機で宙を飛ぶという漢の浪漫は叶う!!


 「一馬さんのやる気に繋がるのならば、多少の譲歩はします。ですが、絶対に私達の判断に従って頂きますからね?」

 「ですわ。もし、万が一にも拒否した場合は……」

 「……場合は?」


 ごくりっ。此方へと一歩近づいたシャンインから表情が消え、瞳からハイライトも消えた。いやいや、怖過ぎますけど!


 「一馬様の四肢を切り落として、身体は司令室の椅子に一生縛り付けておきますわ。勿論、食事を始め身の回りのお世話はお任せ下さいな?」

 「……」


 orz


 ……シャンインはヤンデレ要素をお持ちの様です。しかも、それを実行出来るだけの力もありそうです。オッサン、肉食獣の檻に放り込まれる草食動物でしょうか?


 「まぁ、流石に冗談ですわ? そうですね、精々が当面外出禁止とかですわ」

 「そうね。それ位が妥当でしょう。まぁ、繰り返す様ならば、四肢を……」


 おっと、ソフィーからも瞳のハイライトが消えかかりましたよ? 何時もにこやかな2人から、これまでに感じた事の無いヤバい雰囲気がします。オッサン、知っています。これは、ガチでヤバいやつ。絶対に彼女達を怒らせてはいけません。白と言われたら黒だったとしても、白と言いましょう! オッサンと、皆との約束な!


 「取り合えず、宙を飛べるのなら2人の指示に従います。逆らいません!」

 「ご理解頂けて何よりです」

 「ですわね。では、複座型の指揮官仕様を1機と、専属護衛機として早期警戒仕様1機と電子戦仕様1機、通常型を2機程生産して下さいな?」

 「あっ、はい」


 システム管理端末を起動し、言われた通りに各種派生型をアンロックした上で生産を指示します。立場が逆転してるって? オッサン、本能的に彼女達に逆らうのは危険と判断しました。勿論、今回の件についてだけだけどさ……。じゃないと、要塞司令官が不要になっちゃうからね。まぁ、今までも彼女達にだいぶ助けられているから、どこまで司令官として貢献出来ているかは不安ですが。


 「よし、明日の朝には生産完了するよ。取り合えず、要塞の守備隊に配備すれば良いかな?」

 「そうですね。あくまで要塞周辺宙域での飛行がメインですので、守備隊配備で良いと思います」

 「護衛艦隊は、要塞待機の艦隊からその都度、必要数を抽出しますわ」

 「了解。宜しく頼むよ」


 宙を飛びたいって要望が、何だかスケールの大きい出来事になってしまった。過保護な気もするが、司令官として代えがきかない以上は仕方が無い事だろう。前線に飛び出して撃墜されましたじゃ、お話にならないもんな。自重しましょう、自由に飛びたい思いは消えないけど自重しましょう。ハイライトが消えるのは勘弁ですからね。


 「後は、艦艇の建造を計画的に進めたいな。今後の事を考えると戦力強化は必須だろうし。ただ、さっき言っていた軍港の拡張とも絡むから、大まかにでも方針が必要かな?」

 「そうですね。艦種による役割の違いもありますし、派生型も含めた総合的な建造方針は必要かと思います」

 「過激派宙賊の排除、そしてその後のフォラフ自治国家解放を見据えた艦隊強化ですわね。フォラフ自治国家周辺に駐留する共和国戦力の正確な情報も必要になりますわ」


 過激派宙賊の排除と、そこから繋がるフォラフ自治国家解放に向けての戦力強化。先は長い訳だし、しっかりと考える必要があるだろう。いざって時に不足してましたじゃ話にならないしな。実際には余りました位にはしておきたい。艦隊強化に情報収集、教団や宙賊との交渉等、やるべき事は沢山ある。でも、オッサンは確信しています。何とかなると!(ドヤ顔

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ