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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第2章:星女と宙賊と戦艦
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2-2:コンラッドコロニー②

早々トラブルに巻き込まれる一馬。まぁ、しょうがないよね。


※感謝※

昨日、10万PVを達成する事が出来ました。本当にありがとうございます。

今後とも、宜しくお願い致します。

 どうやら、尾行者達は手短に済ませる選択をした様だ。横道を進んだ先の突き当たり、左右の道からそれぞれ2人ずつ覆面をした恐らく男達がナイフや銃らしき武器を手に俺達の進路を塞ぐ。更に来た道からも1人の男が現れた。恐らく尾行していた人間の1人だろう。覆面もせず、顔を晒しているのはバレても問題無いと思っているからだろうか?

 突き当りの住居を背に、左右斜め前に布陣するソフィーとクロシバ。俺はそんな2人に護られる形になっている。さて、彼らの目的は何だろうか?


 「さて、余り面倒を掛けさせないでもっ!? がぁ……」


 はじける様な音がした直後、腹部を抑えて地面へと倒れこむ男。その表情は俺を見て、驚愕に染まっている。獲物を前に無駄話とか馬鹿じゃね? 素人のオッサンでも、ホルスターから拳銃を引き抜き、安全装置を解除して狙いを付けて撃てる時間があったぜ? 実際、私室で夜な夜なコッソリと練習したからな。持たされた頃よりは早くなっている筈。続いて、ナイフらしき武器を手にしている向かって右側の覆面の人物へと、銃口を向ける。


 「ひ、退けっ!!」


 一瞬だけ、倒れた男に視線をやりながらも、手早く撤収の判断を下し、俺達へ背中を向けて逃げていく尾行者改め襲撃者達。流石に、彼らの背中を撃つのは躊躇われたので、拳銃はホルスターへと戻した。オッサン、何気に頑張ったんじゃね!? 値千金の大活躍だと思う。


 「……一馬さん。撃つなら、せめて合図位は下さい」

 「同感だな。いきなりではタイミングが合わせられん」

 「どうも、サーセン」


 大金星だったけれども、ジト目で2人から非難されてしまったので、取り合えず謝った。解せぬ!


 「……ふぅ。取り合えず、今の音を聞いて聖戦師団の構成員が来るでしょうから、此処で動かない方が得策ですね。一馬さんは、彼らに求められたら拳銃は素直に渡して下さい」

 「了解」


 お近づきになりたくないとか述べてたのに、速攻で彼らと縁が出来てしまうオッサンの人徳がなせるわざ。惚れるなよ? いや、冗談だけどさ。自分で言って、気持ち悪いわ。って、思っていたら何やら複数の足跡が近づいてくる。どうやら、例の団体さんのお出ましの様だ。蒼い仮面が次々と現れる。


 「お前達! この辺で銃声の様な音を聞かなかったか!?」

 「あっ、発砲したのは私です。そこの男に襲撃されそうになりまして、止むを得ず自衛の為の正当な発砲をしたまでです」

 「……そうか。詳しい話を聞きたいので我々に動向願おう」

 「それは構いませんが、午後一でバイセル・オルガ支部長殿と面会の予定がありまして。それまでに終わらせて頂けると助かります」

 「っ!?」


 おっ、声を掛けて来た構成員の顔色が変わったな。理由は何であれ、仮にも支部長と会う予定の人間が市内で襲撃されたなんて、治安維持を担う彼らからしたら面目丸潰れだろうからね。幸い、何も無かったから良いものの、怪我でもしてたら大騒ぎになるのは確実だろう。ちなみに、今回はガルメデアコロニーのスキンヘッド紳士から紹介状を貰って、支部長へと面会を申し込んでいた。彼方此方に影響は否応無しに派生するな。


 「……支部長への御客人が市内で襲撃されるなど、あってはならない事態が発生した事に対し、聖戦師団を代表してお詫びする。重ねて迷惑を掛けて済まないが、簡単な聴収にご協力頂けないだろうか?」

 「勿論。我々としても、襲われた理由が気になります。何なりとお聞き下さい」

 「忝い。近くに詰め所があるので、其処で伺いたい」

 「分かりました。2人共、行こう」


 最初に声を掛けた構成員とは別の人間から謝罪を受け、聴取に同意する。ぶっちゃけ、断る理由も無いしね。此方としても、今後の方針を決める上で襲撃者の身元位は知っておきたい。なお、オッサンに腹部を撃たれた襲撃側のオッサンは、聖戦師団の構成員達に左右から持ち上げられ引きずられる様に俺達の後を付いて来ている。地面に血の跡が続いているけれども、大丈夫だろうか? 撃った側の人間がほざくな、白々しいって? いや、オッサン的に正当防衛だし。




 襲撃現場から歩いて5分程の場所に在る、雑居ビルの1階が聖戦師団の詰め所の様だ。内装は、オフィスと大差無い様に感じる。少なくとも、武器がその辺に転がっていたりとかは無いな。ちゃんと整理整頓がなされていて、オッサン的に高評価。聴取は、手前の応接室らしき場所で行われる様だ。


 「さて、手短に済ませるのでご協力をお願いする」

 「分かりました」

 「あの男に襲撃されたとの事だが、襲われた理由に心当たりは?」

 「先ほども言いましたが、むしろ我々が知りたい位ですね」

 「そうか、男の顔に見覚えは?」

 「初見ですね」

 「ふむ……」


 手元の書類に聴取した内容を記載していく構成員。パソコンとかタブレット的な物で調書作成するのかと思ったが、何気にアナログなんだな。ちなみに、尾行されていた事や要件を聞く前に容赦なく撃った事は黙っておく。尾行云々とか言うと、何故通報しなかったとか言われそうだしな。襲撃者に関しては、あのまま喋らせておけば、襲撃理由について口を滑らせたかも知れないけれども、もう過ぎた事だ。オッサンは、過去を振り返らない。オッサンは、過去を振り返らない。大事な事だから……。


 「発砲したとの事なので、確認の為に使用した銃と持ち込み許可証を出して欲しい」

 「分かりました。……銃と、許可証です」

 「確認の為、1度預からせて貰う」

 「どうぞ」


 拳銃と許可証を持って、1度部屋から退席する構成員の男。構成員って言い辛いな。仮面Aとかにしておこうか。仮面Aが居なくなり、残されたのは俺達3人だけ。見張り役みたいなのすら置かないんだな。支部長の客ってネームバリューが効いているのだろうか?


 「一馬さん。結構、躊躇われずに撃たれましたね?」

 「いや、獲物を前にダラダラ話す奴って撃つしか無くない?」

 「……若干、あの男に同情を覚えるな」

 「そうか? 襲撃者側だって、俺らに反撃される覚悟位あっただろうに」

 「それは、どうでしょうか? あれだけで背を向けて逃げるなど、余りに不自然です」

 「ソフィー殿は、今回の事態が相手に取っても、予期せぬ事だったと思われているのか?」

 「そこまでは分かりません。あくまで、違和感を覚えただけですから」


 ふむふむ、ソフィーは何かに引っ掛かりを覚えているのか。まぁ、確かに1人が撃たれただけで皆逃げ出すってのは拍子抜けではあったな。少なくとも相手は最初は5人居たわけだし、此方が銃を持っているとは言え、向こうも武装していたし一斉に掛かればチャンスもあったよな。


 「とは言え、あの様な暴挙に出た以上、平和的な解決は困難だったかと」

 「我々に何か用があるのならば、正面から来るべきだしな」

 「何れにせよ、相手の意図が不明じゃ動きようが無いな。支部長との面会に備えるとしよう」


 漠然としない思いが残るが、今は当初の目的をしっかりと完遂しないとな。もし、あの襲撃者達が俺達に何か用があるというのならば、再度アクションを見せてくるだろう。その時に、また考えよう。ただ、間違ってもコロニー内で戦闘状態になる事だけは避けたいけどな。シャンイン、頼むから落ち着いてくれ。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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