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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1.5章:要塞での日常
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1.5-3:ランドロッサ要塞の日常③

日常回、好きです(真顔

 さてと、残り15ポイントか。修理ドック2隻分アンロックで7ポイント使ったとしたら、残り8ポイントになるな。無理に今回使わずに今後の事を考えて残しておくか。もしくは、2人なら他に良さそうな使い道を思い付くだろうか?


 「ソフィー、シャンイン。修理ドックを除いて、他に今の状況で強化しておいた部分は有るかな?」

 「……そうですね」

 「……他ですか」

 「「う~ん……」」


 腕を組み、悩み始める2人。容姿も性格もまるで違うのにも関わらず、意外な所でシンクロしているその姿に微笑ましさを感じる。オッサン的に、悩める系女子は有りだと思うのです!


 「特に無ければ、今後に備えて残す心算なんだけどさ」

 「急ぎでは無いですが、要塞守備隊用の防衛兵器の開発でしょうか?」

 「或いは、更に推進剤生産プラントを強化する手も有りますわ」

 「なるほど。どっちも、地道に進めていくべきものだよな……」


 要塞守備か。最低、1艦隊は要塞の守備に回しておきたいとは思っているものの、この先の状況次第ではそれも難しくなるかもしれない。そうなると、要塞を護る戦力が不安では有るな。今直ぐにどうこうって訳では無いけれども、頭の片隅に置いておくか。推進剤は……、どうしようか。今回の戦闘で結構な量を消費したからな。あれって、消費減らす改造とかって出来ないのだろうか?


 「ちなみに、推進剤の消費を抑える改造とかって存在しないのかな?」

 「基本的に、年代が後の新鋭艦ほど推進剤の燃費効率は改善されていきます。ですので、次代の艦艇開発を進める事が、結果的に推進剤の節約にも繋がりますね」

 「そうか……」


 各種開発ツリーのアンロックも考えると、ポイントに余裕が無くなるな。現状での修理ドックに7ポイントは厳しいか?


 「何だか、悩めば悩むほど混乱してきたわ。効率の良い人はパパっと決められるんだろうけどさ」

 「焦る必要は無いと思いますわ。少なくとも今回の戦闘を踏まえた最低限の強化は出来ていますもの」

 「シャンインの言う通りです。一旦、時間をおいて考えてみては如何でしょうか? 私達も何か無いか検討してみますので」

 「……そうだな。焦って後で後悔する位なら、一旦気持ちを落ち着けてみるよ」

 「良いと思いますわ」

 「えぇ、そろそろ時間ですし、食事にしませんか? 共同食堂の使い勝手を試すのも兼ねてどうでしょうか?」


 そう言えば、此処の要塞に来て未だに彼女達と食事をした回数って、片手で数えられる程度でしか無いんだよな。避けているって事は無いんだけど、お互いの業務ペースがどうしてもズレているって方が大きいかな。折角、3人揃った訳だし、互いの交流を深める為にもランチとしますか!


 「よし、それなら食事でもしながら暫し仕事を忘れてノンビリしようか。心のゆとりは大事だからな」

 「賛成ですわ」

 「えぇ、私もです」


 ソフィーからの提案にのって、食事を含めて寛ぐ時間を思い切って設けてみる。何気無い会話から良いアイディアが生まれるかもしれないしね。




 結局、昼食を挟んで3時間余りお喋りに興じる事になった。ソフィーも普段は真面目さが目立つが、シャンインが絡むと意外と愉快なキャラになる事が分かった。シャンインは、良い意味で何時も通りって感じだったな。俺? 俺は特に変わらないと思うけどな。表裏の無い人間だからね!


 「さてと、ノンビリ出来たし仕事に戻ろうか」

 「そうですわね。要塞の強化関連は一先ず、置いておいて補給艦の建造でしょうか?」

 「後は、輸送艦も場合によって必要になるかもしれませんね。コロニーと資源や食料のやり取りも出来ますし。特に食料関係は現状では、生産能力を制限している様な状況ですので」

 「折角、生産能力が有るならば活かしたいな」


 当然ながら、コロニーでも食料を生産はしている。競合品のある食品を売り込むのは、生産者達から余計な恨みを買う事もありそうだよな。だとしたら、サントスをはじめとした上位層に嗜好品とかの方が良いかもしれないな。酒とかタバコとかだろうか? いや、タバコはそもそも生産して無さそうだな。


 「売るなら嗜好品が良いかなと思うけど、どうかな?」

 「確かに、辺境のコロニーでは嗜好品類が貴重ですね。酒類や菓子類等ならばライバルも少なく利益が上げられるかと思います」

 「あの手の連中って葉巻とか好きそうなイメージ有るけど、流石に葉巻は生産出来ないよな」

 「出来ますわよ? もし、必要ならば管理者にタバコの種子を請求しますわ」

 「請求って出来るんだ……」

 「勿論、何でも請求が出来る訳ではありませんが、一馬さんが必要とする物は大抵は要請が通ると思います」

 「なるほどね」


 この要塞に放り込んだ事に対する、管理者なりの罪滅ぼしって所なのだろうか。ちなみに、先ほどのお喋り会以降、ソフィーは身内だけの場合限定で俺を一馬さんと呼ぶようになった。シャンインも一馬様って呼んでくれる。女性から下の名前で呼ばれた経験なんぞオッサン、相当昔に遡らなければ無いぜ!


 「取り合えず、候補としては酒・菓子・煙草だな。一応、コロニー側にも確認だけしておこうか。無駄に生産しても仕方が無いだろうしさ。後はコロニー側へ運ぶ手段だけど、ソフィーが言ってた輸送艦が必要か」

 「一馬様。輸送艦に関してですが、建造では無くディーシー号を利用しては如何でしょうか?」

 「ディーシー号を?」

 「はい。元々、あの艦は貨客船ですので相当量の貨物運送が出来ます。武装もしていますから、護衛の艦を付ける必要もありませんわ。それに、ナターシャさん達を此処に迎え入れるならば、定期的に同郷であるアイザフ大佐達と交流出来る機会を設けるのは、彼女に取っても良い効果が有るかと思いますの」


 なるほど、確かにシャンインの言う通りだな。非武装の輸送艦をコロニーへの輸出に使うとなると、どうしても護衛は必要になる。何が起こるか分からないからな。折角、生産した商品が宇宙の藻屑となるのは避けたい。アイザフ大佐達は、現状では身動きが取れずコロニーに留まっている状況だし、ナターシャ嬢の様子を逐一確認出来るなら安心もするだろう。ナターシャ嬢に取っても、同郷の人間と過ごす時間は気分転換にもなるだろうし。


 「その辺も併せてコロニー側と話を付けるか。外貨の獲得にも繋がるしなって、そもそも今の要塞に資金ってあるの?」

 「一応、フォルトリア星系共通貨幣は相応に蓄えが有ります。将来的に、金銭で物資の購入を行うような事も想定しておりますので」

 「でも現状では、要塞内での使い道が一切ありませんわ」

 「まぁ、食事は頼めば出てくるしな。日用品とかも、頼めるし」


 日々の食事から、身近な日用品まで端末から注文すれば直ぐに手元に届くのだ。まぁ、流石にゲームとかは無いけれども。そう言えば、この要塞に来てから遊戯に耽る事も無いな。要塞司令官としてリアルに宇宙戦略シミュレーションをやっている現状において、それ以下のゲームに魅かれる事が無いってのが大きいよな。ソシャゲのガチャ沼にハマっている人も、要塞に司令官として着任すれば卒業出来るんじゃないだろうか。オッサン、おススメします。そこのガチャ沼にハマった君。今日から君も要塞司令官だ! ……どこの3流キャッチコピーだよ。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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