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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第6章『大国の終焉・中』
326/336

6-29:オペレーション・サジタリウス⑫

皆様、クリスマスは如何でしたか?

私は、毎年変わりません!


雪で各地が大変な状況の様ですので、どうか無理はなさらずに。

次回の更新は年明けの1/9を予定しております。


良いお年を。

 惑星『ウエレン』の抵抗は直ぐに終息した。ぶっちゃけ、インフラ設備を幾つかと都市間を結ぶ道路などを少しばかり吹っ飛ばした程度だったんだがな。それでも、惑星の施政者達からすれば悪夢以外の何物でもなかったのだろう。


 中枢に近い惑星ならまだしも、辺境の過酷な環境に置かれた惑星では支援も乏しく、インフラ設備等の損失は命に直結するからな。それに、監視の目も比較的緩いってのもあるだろう。僅かばかりのコールマフ連邦の犬を拘束するなりして排除出来れば、後は自分達の判断で動ける。


 連邦が彼らの行為を自分達の体制に対する反逆と捉えようとも、現状ではそれらの行為に対し懲罰を与えられるだけの戦力が連邦側に無い。実質的に、後で覚えてろよ的なセリフを吐くのが精々だろう。勿論、彼らがそれを知る由も無いだろうが……。


 『……降伏する。どうか、我々の首と引き換えに民達の命だけは見逃して欲しい』

 「首は不要だ。こちらとしては、連邦の五月蠅い番犬だけ排除できれば十分だからな。そちらが反意を抱かない限り、手を出すつもりもない。我々は『ウエレン』を占領統治せず、速やかに立ち去る。もし、連邦が再び占領統治に乗り出してきた場合、その時は貴殿らの判断に一任する。それで異存はないか?」

 『それは……、いや、厚遇に感謝する。元々、我々はこの星だけで生活してきた土着の民だ。ここで生まれ、ここで死ぬ。これまでも、そしてこれからもだ。誰の元でなく、我々は我々の先祖と共にある』

 「そうか。貴殿らの未来に幸運を」

 『感謝する。貴殿らにもとは立場ゆえに言えぬがな』

 「それで良い」


 過酷な環境を生き抜くためか、見るからに屈強な身体つきをした数人の男達がモニター越しに頭を垂れる様は何とも不思議だ。彼らは自らの命と引き換えに民の助命を乞うてきた。勿論、こちらとして無為な殺戮などしない。民間人であろうと殺すべき相手は容赦なく殺すが、少なくとも彼らをここで殺す必要は無い。


 もし、オッサン達が去った後にランドロッサ陣営に対し何らかの形で具体的な目に見える反抗をするというならば、その時は適当に放置で良いだろう。基本的には、連邦の犬だけ排除すればこちらの仕事は終わりだからな。面倒な占領統治など、やるだけ時間と人と金の無駄にしかならない。


 今後の、彼の命運は彼ら自身に託される。オッサン達が連邦に負ければ、連邦が再度統治を試みるかもしれないし、反逆行為と見做し他者への見せしめとして徹底的な破壊を行うかもしれない。どうなるかは、不明だ。もしかしたら、ワルシャス帝国やボルジア共和国辺りが触手を伸ばしてくるかもしれんが、如何せん環境がな。


 「通信」

 「終了」

 「離脱」

 「準備」

 「……念の為、置き土産は忘れずにな?」

 「「「「あいあい!」」」」


 『ウエレン』の衛星軌道上に幾ばくかの対地攻撃兵器と機動爆雷、後はドクター謹製の衛星群を密かに展開させておく。まぁ、連邦にオッサン達のことを報告する位なら別に構わない。それで、連邦軍がこちらに引き寄せられるっていうならば結果的に悪くないからな。


 逆に、彼らが静かに何もせずに元通りの暮らしを送るのであれば、これらは無用の長物と化す。それはそれで構わない。保険なんてものは、払うだけで終わるのが理想だからな。それに頼る事態が起こるってのは、望ましくはない。


 「さて、凡そ予定通りとは言え時間は有限だ。次の攻略目標に向かうぞ!」

 「あい」

 「こぴー」

 「ぺーすと」

 「かっつ!」

 「突っ込まないからな?」

 「「「「わくわく!」」」」

 「知らん!」


 キラキラとした目で訴えられても無視する意向であります! 毎回、彼女達のボケにツッコミいれてたら、マジで日が暮れる。艦隊自体は、AIのお陰で出発さえ指示すれば勝手に指定の航路を進んでくれるが、こちらの体力が持ちません。


 誰だよ彼女達の同行を許したのはって、他の誰でもないオッサンでしたってオチね。いや、自分で言っておいてなんだけど、そもそもオチにすらなってない。つまり、何が言いたいかと言うならば自業自得と言うしかない訳でして。それでも、退屈しない道中って考えれば悪くは無いか。


 「次の目的地まで、暫く掛かる。仕事を熟しつつ、シミュレーターで練度上げるぞ?」

 「おー」

 「ついに」

 「ついに」

 「かずまー」

 「「「「ボッコボコたいむー!!」」」」

 「やれるもんなら、やってみろ!」

 「「「「やってやんよー!!」」」」


 士気が高いことは実に結構。ただ、それが何処まで続くかは見ものだけどね? オッサンも、ちゃんと地道にレベルアップしてますから。部下に戦いを任せて、自分は後ろでノンビリなんて性に合わないものでして。せっかくの専用機、活かさないとね?




 「「「「……納得できなぁー!!」」」」

 「いや、現実を見ろや?」

 「かずー」

 「まー」

 「変態」

 「すぎっしょー」

 「うるせー!」


 専用機で容赦なくヘイスァ達をボッコボコにしてやったら、これだよ。少しばかり勘が働くようになった程度で、そう簡単に勝てるなんて思われちゃ立つ瀬もないわけでして。特製バケツパフェをやけ食いしながら愚痴が止まらないヘイスァ達を横目に、オッサンもクリームをたっぷりと乗せたパンケーキを口に運ぶ。シミュレーターで頭を使った後は、過剰な位の糖分補給が欠かせない。


 特に、お互いに相手の先を先をと読み合う様な神経擦り減らす戦いになればなるほど、訓練とは言え脳に掛かる負担は大きい。当然ながら糖分さえとればOKと言う訳でなく、ちゃんとした休養も勿論欠かせない。まぁ、その辺はヘイスァ達もちゃんと理解しているから問題は無いだろう。


 「それなりに、良い動きが出来ていたと思うけどな?」

 「これが」

 「勝者の」

 「余裕」

 「かぁ!!」

 「「「「アットンバスター!!」」」

 「意味不明だよ……」


 何だよ、アットンバスターって。何かの必殺技か? 或いは完全なヘイスァ達の創作語録か。まぁ、今は大して重要じゃないけどな。……実際、勝ててはいるが必ずしも楽勝って訳じゃない。回数を追う毎に、戦闘時間は長くなっているしな。


 ヘイスァ達は1歩ずつ着実に、そして確実に成長している。更に付け加えるならば、かなりのハイペースでだ。……これは、ドクターに次の専用機を用意させた方が良いかもしれないな。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] シミュレーターで一馬さんに勝てるようになったらどんな煽りがくるんでしょうね(*´∀`)♪ワクワク まぁそうならないように一馬さんが意地をみせて勝つでしょうけど。  専用機が仕上がる前から…
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