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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第6章『大国の終焉・中』
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6-28:オペレーション・サジタリウス⑪

ここ最近、寒い日が続きますね。

コタツが欲しくなる今日この頃。


ランドロッサ陣営は、今日も平常運転です。

 さて、無事(?)にコールマフ連邦のトンボビーム(仮称)を鹵獲出来た訳だが。技術的な解析及び搭乗員への尋問は、念のため戦闘艦ではなく、輸送艦である改ミルタウン級の船内で行うことになった。万が一、自爆なんかされても被害は最小限に抑えられるからな。


 事前に旗艦である『スレイプニル』から派遣された陸戦隊1個小隊が、先ほどから搭乗員の拘束に取り掛かっていた。聞こえてくる通信内容を聞く限り、タイミング悪く搭乗員達が意識を取り戻したのか暴れ出したようだ。とは言え、人以上の力を有する彼ら相手では分が悪いだろうな。


 「かずー」

 「まー」

 「通信」

 「ナウ!」

 「繋いでくれ」

 「あいー」

 「さー」

 「きゃん」

 「ふらーい」


 突っ込まないぞ。オッサンは学習した。決して、ヘイスァ達のボケには突っ込まないと。アレは、突っ込んだら永遠に続くタイプのボケだ。今は、スルーするのが最適解です。


 「……香月だ。搭乗員の拘束は完了したか?」

 『ハッ! 先ほど、8名全員を無力化し拘束をいたしました』

 「そうか、こちらの被害は?」

 『負傷者なしであります』

 「よし、分かった。諜報部門の人員と共に尋問を開始してくれ。決して、死なせるなよ?」

 『了解であります!』


 抵抗はされたが、陸戦隊を振り払えるほどの力は持ち合わせていなかったようだ。一先ず、安心と言うべきか。これが拮抗あるいは彼らを上回るようなヤヴァイやつだったら、手を焼くからな。後は素直に自白すれば楽だが、無理なら薬で強制的に喋らせるだけだ。人権がーとか言われるかもしれんが、暴力的な拷問をするよりも遥かに安全で短時間で済むからな。


 さて、後はドクターのラボから派遣されている面々による、謎のトンボビーム(仮称)の解析結果を待つだけだな。独自技術による代物か、或いはリバースエンジニアリングによる賜物か。その辺は、おいおい分かるだろう。


 「で、バイスァ。実際に、目の前にしてどうだった? 例の兵器は」

 「んー。見掛け倒し」

 「敵としての脅威度は低いと?」

 「狙い丸分かり」

 「まぁ、宙飛ぶ砲身だからな……」

 「後、動きがトロトロ」

 「確かに、ミディールに比べて機動性はかなり低いようだったが」


 実際にトンボビーム(仮称)と対峙したバイスァの率直な意見は、今後のことを考えると貴重だ。今回で最後の遭遇とも限らないしな。むしろ、今後も同型機か下手をすれば改良機に遭遇する可能性も十分にあり得る。


 とは言え、バイスァの言う通り狙いは丸分かりだな。これに関しては、ヘイスァ達の専用機やミディールが装備しているビーム兵器類も同様なのだが、機体性能と連射性、何よりパイロットの腕がそれを十分にカバーしている。


 それから致命的なのは、バイスァの言う通り機動性の低さだろう。これまで戦場で相対してきた、ボルジア共和国軍や連邦軍の艦載機よりも足はかなり遅いと言わざるを得ない。メイン武装の取り回しの悪さに加え、機動性の低さも相まって通常使用の兵器としてはとてもでは無いが及第点にも遠く及ばない。敢えて用いるなら、待ち伏せによる一撃必殺だが……。


 「……そう言えば、バイスァは撃たれる直前に何か来るって言ってたよな?」

 「んー。こう、ビビッときた!」

 「なるほど。狙われている気配みたいなものかな」

 「多分? 真っ直ぐ、こっちに来る感じだった」

 「……経験を重ねたことで、ある種の感覚が研ぎ澄まされたのかもな」

 「進化? 退化?」

 「大火?」

 「火事ボーボー!」

 「パーピーポー!」

 「「「「イエーイィ!!」」」」


 火の用心。パーピーポーって、パリピフォーって感じかな? 愉快系アイドルグループには、凄くお似合いな場所な気がする。パーティとかプールとか。まぁ、あのテンションで周辺の空気を汚染しまくりそうだけど。


 それにしても、バイスァがある意味で進化と言うか、ステップを上がったと言うべきなのか。パイロットとしての素質をワンランク上げたようだ。自身を狙う攻撃に対する、一種の感知能力とでも言うべきか。オッサン自身もその辺を何となく感じて機体制御を行っているけど、どうやらバイスァも同じようなことが出来る段階にきたようだ。


 経験からしてヘイスァもバイスァと同様に、攻撃を読めるようになっているかもしれないな。味方にとっては頼もしい限りだけど、相手からしたら悪夢でしかない。狙いを付けた瞬間に、外されるからな。勿論、それを外させないのも技術な訳だが。大抵の兵士にそれが出来るとは思えない。


 「かずー」

 「まー」

 「後で、シミュレーション」

 「やろうぜー」

 「良いぞ? まぁ、先ずは目の前のコロニーと惑星を片付けてからだけどな」

 「「「「ボッコボコにしてやんよー!!」」」」


 フフフ……。少しばかり成長したからと言って、そうそう簡単にやらせはせんよ。こっちも、いい加減そろそろ専用機で暴れたいところだし、手応えのある敵でも出てきてくれないかな。……これでフラグ立ちませんか? 立ってください、お願いします!




 結局、コロニー側の攻撃は先ほどのトンボビームが反抗の切り札だったらしく、その後は抵抗らしい抵抗は無かった。まぁ、ミディール隊がコロニーの外壁に取り付いてしまった時点で、相手には取れる策は既に無かったんだけどな。こちらが破壊する気が無いなんて、向こうには分かり様がないし。


 コロニーの管理責任者らしき人物から降伏する旨の連絡を受けたので、全ての武装を放棄することと引き換えに、これまでの通りの運営を許可しておいた。降伏させたコロニーの管理なんぞ、こちらとしては最初からやる気が無いからな。彼らが生活するに必要な分は、自分達で考えて好きに生産してくれれば良い。とは言え、通商破壊の影響により色々と不足しているようだが、それに関してはどうこうする心算は無い。


 「かずー」

 「『ウエレン』」

 「攻撃」

 「ハジマター」

 「了解。やり過ぎにならない様に、監視は怠らないでくれ」

 「「「「あいあい!」」」」


 敵の艦隊戦力が存在しない以上、衛星軌道上からの攻撃は止めるには地上からのミサイル等の誘導兵器による攻撃しか手立てが無い。まぁ、それは対地攻撃砲の周辺に展開しているミディール隊を前に叩き墜とされるだけなんだが。取り合えず、インフラ設備等を破壊して再度の降伏勧告だな。


 他の惑星に比べて、年間を通して平均気温が低いこの惑星では、特にエネルギーインフラの重要度は極めて高い。それらが失われれば、文字通り死活問題になるからな。彼らが迅速に考えを改めてくれることを願うばかりだ。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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