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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1.5章:要塞での日常
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1.5-1:ランドロッサ要塞の日常①

第1.5章スタート。日常編ですかね。

 さて、あれから幾ばくかの日数が経過した。正確に言えば、今日はフォルトリア星系歴524年6月4日だ。

 その間、何をしていたかって? 要塞司令官として戦後処理に追われていたのさ。管理者からプレゼントされた艦艇から巡洋艦1隻と駆逐艦4隻で第4艦隊を編成して、コロニー宙域へ派遣。代わりに警戒監視を続けていた第1~3分艦隊は降伏した共和国の艦艇やらを一部だけだが曳航してランドロッサ要塞へと帰投させた。損傷した4隻の駆逐艦の内でより被害の大きい艦から修理ドックへ入渠。合わせて第1~3分艦隊は解体して、新造艦を含めた艦隊の再編成を行った。編成図は以下の通り。


 第1艦隊

    カンターク級巡洋艦1隻、改アスローン級駆逐艦4隻

    ※何れも既存艦

    ※要塞内、軍港にて即応待機中

 第2艦隊

    カンターク級巡洋艦1隻、改アスローン級駆逐艦4隻

    ※何れも新造艦

    ※要塞内、軍港にて即応待機中

 第3艦隊

    カンターク級巡洋艦1隻、改アスローン級駆逐艦4隻

    ※何れも新造艦

    ※現在、第16コロニー~ランドロッサ要塞間にて資源の曳航任務に従事中

 第4艦隊

    カンターク級巡洋艦1隻、改アスローン級駆逐艦4隻

    ※何れも新造艦

    ※現在、第16コロニーガルメデアへ派遣中


 今回から、分艦隊ではなく正式な艦隊として命名を行った。順次追加艦艇を建造し拡充する予定でいるからだ。一方でイースキーや機動砲等の兵器群は一旦、全てを要塞の守備隊として再編成している。今回の戦闘でイースキーは推進剤が枯渇寸前だったからな。空母なり兵器への補給が可能な艦艇が随伴しないと運用が厳しい。


 資源に関しては大幅に改善された。まぁ、コロニーへの拠出や艦隊の修理で幾ばくかは使用したが、それでも余裕が出来た事は純粋に嬉しい。数値が見たいって? 見て、驚くなよ? もう資源貧乏要塞とか言わせない!


 金属60,940t、非金属22,004t、推進剤8,695ℓ、弾薬5,485t


 うん、推進剤は相変わらず大した事は無いんだ。金属とか一気に増えたけどさ。肝心な推進剤が資源回収で結構な量を消費するお陰でまだ余裕とまでは言えない水準で止まっている。早期に生産プラントの強化が必要だな。

 ちなみに、共和国との戦闘で獲得した艦艇やら破片やらはまだ資源に出来てない。要塞付近で一旦集積をして、状況を確認しつつ要塞内の生産プラントで金属等へ加工していくらしい。その辺はソフィーに一任してある。頼れる僕らの補佐官、ソフィー様々だわ。


 「さてと、要塞内の強化をしたいから、2人に相談に乗って貰いたい」

 「了解しました」

 「了解ですわ」


 ここで、保有するシステムポイントを確認する。コロニー攻防戦以前は3SPだった。そこに管理者から10SPが加わる13SPとなる。更に、≪共和国艦隊への勝利①≫≪初撃沈≫≪初爆沈≫≪初轟沈≫≪初鹵獲≫≪初降伏≫≪友軍損害ゼロ達成≫≪敵艦合計5隻撃破達成≫≪敵駆逐艦合計5隻撃破≫≪システムポイント10消費≫の10項目の任務を達成した事で10SPを入手し、合計23SPとなった。ちなみに、撃破ってのは大破以上に相手艦を追い込んだ場合の事の様だ。≪初降伏≫に関しては、何故かディーシー号の時にはカウントされていなかった。後から追加されたのかね?


 「現時点で23ポイントか。修理ドックの拡張、推進剤生産プラントの拡張、まずはこの2つかな?」

 「そうですね。何れも要塞の継戦能力に影響する施設ですので、強化は必須かと」

 「とは言え、消費するポイントが気になりますわね」

 「えっと……、推進剤生産プラントは次は日産2,500リットルか。消費SPは4……多いな」


 今が1,000だから、2.5倍になるとは言え1度に4ポイントか。でも、最初の500から1,000に上げるのに合計で3ポイント消費した事を考えれば得ではあるな。


 「背に腹は代えられないな。一先ず4ポイントの消費は決定だ。後は修理ドックの強化か」

 「解放に2ポイント、拡張で3ポイントを既に消費してますね。次は4ポイント消費でしょうか?」

 「確かに、パターンからするとその可能性が高そうですわね?」

 「ソフィーの予想通りだな。同時修理数を+1するのに4ポイント必要になる。でも、1度に+2隻分拡張する場合は7ポイントでいけるみたいだね?」


 4ポイントで1隻分だけ増やすか、7ポイントを投じて2隻分増やすか……。結構難しい所だな。確かに同時に修理出来る艦艇数が増える方が、より継戦能力が向上するのは事実。一方で、今の要塞にとって、他の部分の強化も今後を考えると後回しには出来ないよな。艦艇も兵器もより上位の物に置き換えていく必要があるだろうし、設備投資も疎かには出来ない。


 「少し勿体無いけれども、+1で抑えて他の部分へポイントを割り振るべきじゃないかな」

 「そうですね。現状では、特定の部門強化に特化し過ぎるのもリスクです。賢明な判断だと思います」

 「……1ポイント、難しいですわね。逆に他の部分でどの程度のポイント数が必要かで、改めて判断しても良いのではありませんか?」

 「それもそうだな。良し、修理ドックを一旦は保留しよう。後は……」


 悩んで直ぐに結論が出ないなら先送りにする。その場で決めなければならない時ってのも勿論あるけれども、焦って決定して後で後悔するよりは幾分もマシだろう。次は、何を検討すべきかな。


 「推進剤生産プラントに修理ドックと来ると、次は軍港の拡張かな?」

 「軍港は今の時点でも50隻が入港出来る様になっています。ですので、まだ急ぐ必要は無いかと思います」

 「建造ドックの拡張も、今の所は平気そうですわね?」

 「後は、人数的に食料等を生産している食料プラントや食品プラント、日用品のプラントも現状のままで良いかと」

 「ナターシャさんをお迎えするならば、部屋の追加が必要ですわね。司令室直結部屋の空室は私が使わせて頂きますので」


 現時点で要塞が保有している艦艇は巡洋艦4隻と、駆逐艦16隻の合計20隻。艦隊規模が倍になってもまだ余る位か。無理に拡張する必要はないな。建造ドックも、特に急いで建造する予定は無いから現状維持で良さそうだ。食料関係も、3人にナターシャ嬢と世話係の人を加えても大した人数にならないしな。実際、ディーシー号の乗組員を監房エリアに入れている時だって不足はしてなかった様だし。そうなると、生産プラントも問題無しと。最後に出てきたのは、ナターシャ嬢達の生活スペースについてだな。


 「ナターシャ嬢達の部屋は司令ブロックに?」

 「それで、良いと思いますわ。セキュリティの設定をしておけば、司令室に勝手に入る事は出来ませんし」

 「基本的に、ナターシャさん達には司令ブロックの内で自室、食堂、それから気分転換にジムやプールを利用して貰う位だと思います」

 「まぁ、客人としてはその程度しか出来ないな」 


 一応は、軍事基地としての役割が強い要塞だからな、観光地気分で歩かれても困る。まぁ、彼女も自身の立場や立ち位置ってのは理解しているだろうから、問題は無いと思う。暫くは不自由を我慢して貰おう。


 「部屋が5つに、共同食堂の追加で1SPか。これで確定は5ポイントだな」

 「司令官様。私、欲しい物が有りますの!」

 「シャンイン! 我々が司令官に要求する等!」


 珍しく、シャンインからお願いされた。考えたら、ソフィーもシャンインも今まで何かを頼んできた事も無かったよな。何時も俺が、何かをお願いする立場だしね。新鮮だから、出来る限り叶えてあげたいと思う。


 「いや、取り合えず聞かせてよ。聞いてから出来る出来ないを判断するからさ?」

 「やりましたわ!」

 「はぁ……。申し訳ございません、司令官」

 「いや、2人には世話なっているしさ、出来るだけ要望に応えるよ。ソフィーも何か有れば言ってね?」

 「ありがとうございます、司令官」


 満面の笑みを浮かべるシャンインに、申し訳なさそうに頭を下げてくるソフィー。両者の対比が中々に面白い。管理者に創られた彼女達だけども、それぞれの個性がハッキリと存在していて、一緒に居てとても楽しい。1人だけでこの要塞に居たら発狂していただろうな。


 「実は、私達のオペレーター席を設置して頂けないかなと思いまして」

 「なるほど。確かにそれは有ると便利ね」

 「オペレーター席?」

 「司令官様の座っている座席とは別に、私達の様な補佐官が使用する座席の事ですわ」

 「なるほど、確かにそれは必要だ。何時までも2人を簡易椅子で作業させるのも悪いと思ってたからさ」


 そう、何だかんだソフィーもシャンインもずっと簡易の椅子を使って業務をこなしていたんだよな。彼女達用の座席が有るならば、設置するのに躊躇いは無い。むしろ、これまでの彼女たちの貢献に応えるためにも、ぜひ設置させて欲しい。


 「オペレーター席2席で1SPか。何て言うか、狙ったかの様な席数だよな」

 「管理者の考える事ですから……」

 「馬鹿なんですわ……」

 「あはは。……設置と、おおっ!」


 床からニョキニョキと座席が2つ生えてきた。いや、その説明は誤解を生むな。床の一部が左右にスライドして、そこに下から俺の司令官席と似たような座席が出てきて設置されたって感じだな。彼女達用の座席が設置されたのは、俺の座席の後ろ側だな。ソフィーとシャンインはお互いの背凭れが向き合っていると言えば良いだろうか。上から見ると、俺の座席は時計の12時方向を向いていて、ソフィーは3時方向、シャンインは9時方向だな。


 「わぁ! 司令官様、ありがとうございます!」

 「ありがとうございます、司令官」

 「いえいえ、これ位は当然だよ。何時も助けられているからね。これからも宜しく」

 「バリバリ働きますわ」

 「期待に応えてみせます」


 物凄く喜んで貰えた。労働環境の改善は、上司の責務だよな。オッサン、良い上司目指します。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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