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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第6章『大国の終焉・中』
313/336

6-16:補佐官達のお茶会②

最近、本当に筆が進まない。

と言う訳で、次回から漸く話が進みます。

お待たせして、すみません。

 補佐官達のお茶会は続く。


 「次はシャンインと言いたいところだけれども、その前にドクター」

 「何ですかな?」

 「一馬さんの専用機のことです。何ですかアレは?」

 「と言いますと?」


 ランドロッサ要塞のトップたる香月一馬。彼は、司令官と言う立場ながら専用機を駆使して戦場をかけることを是としている。その専用機の開発を、ドクター率いる研究開発ラボが専従して行っている。今回、ソフィーが話題に出したのはつい先日、ドクター以外の補佐官達にも詳細な情報公開がされた次世代の専用機の話であった。


 「あの機体、コンセプトが無茶苦茶では?」

 「確かに、それは私も思いましたわ」

 「……全くだ。過剰なほどの重装甲でありながら、既存機を上回る高機動性。それと、兵装から見て近接戦闘から超長距離戦闘まで兵装交換せずに対応が可能。カズマは何処を目指しているんだか」

 「香月司令官も、中々の注文をされますからな。全てを落とし込んで形にするだけで、かなり時間が掛かりましたぞ」


 補佐官である彼ら彼女らは当然のことゆえに気が付かないが、他の勢力であったならばそもそも一馬の望むコンセプトを設計図に落とし込む時点で非常に困難なレベルを要求する機体である。それと、そもそもの話だが、その様なイカレタ機体を自身の手足として乗りこなせるパイロットなど宙は広しと言えど、そうはいない。


 「まぁ、一馬さんにはその位の機体が必要なのでしょうが……」

 「あの娘達も、新しい専用機との模擬戦を楽しみにしてましたわ」

 「そう言えば、後輩2人の専用機も完成したと聞いたな」

 「えぇ、既に連日のように乗り回してますぞ。その度に、シャンイン嬢が呼び戻しに来ておられますがな」

 「……あの娘達。訓練するなとは言いませんけど、限度ってものがありますの!」


 どうやら、外務を担当するシャンインの補佐官である愉快系アイドルグループの少女達は、本来の仕事をこなしつつも自分達の専用機にのめり込んでいるとのこと。特に、後から加わったサウサンが言う後輩2人ことランスァとホンスァは、先に専用機を与えられているヘイスァとバイスァに追いつけ追いこせとばかりに訓練に熱が入っており、その都度シャンインが呼び戻しにいく事態が起きているようだ。


 「これからの戦闘を考えると、戦力強化は喜ぶことです。……まぁ、ヘイスァ達の手綱はシャンインがしっかり握りなさいね」

 「身内相手に疲れるのは勘弁して欲しいですの……」

 「まぁ、私としては良いデータが得られるから問題はありませんな。ランスァ嬢とホンスァ嬢も、それなりに素質がある様ですからな」

 「ヘイスァ達の時もそうだが、シャンインが手を出すと余計な方向に成長するな?」

 「うるさいですの!」


 ヘイスァ達の時の失敗を、シャンインがランスァ達にもやらかしたのは今更の話である。勿論、外務担当である彼女の補佐として十分な能力を有しているのは言うまでもないことだが。普段の言動から勘違いされがちではあるが、ベースとして設定された能力は極めて高いのだ。あくまで、余計な手出しをしたせいで言動にイカレタ影響が出ただけである。


 「そう言えば、シャンイン嬢。次の大戦、4人は香月司令官に付いていく心積もりの様ですぞ?」

 「……はぁ!?」

 「その様子だと、聞いて無かったみたいね?」

 「当然ですの! ヘイスァとバイスァは未だしも、ランスァとホンスァまで……」

 「まぁ、今更2人だけはダメと言っても聞かないだろうな?」

 「最悪ですわ……」


 そう言って、テーブルにグッタリと突っ伏すシャンイン。ヘイスァとバイスァについては既に彼女の中でも諦めが付いているようだが、そのカバーとして生み出されたランスァとホンスァまでが前線に出たがるのは勘弁して欲しい様子。とは言え、専用機での訓練を経験してしまえば、前へと出たがるのは避けようがないのだが。


 「一馬さんの護衛と言う意味では、彼女達がベストな選択ね。シャンインは、……頑張りなさい」

 「ソフィー。テトラかヤヴァナのどちらかを貸して下さいですの!」

 「無理よ。内務も人員に余裕は無いもの」

 「……サウサン!」

 「無理だな」

 「……ドクター!」

 「手一杯ですな」

 「終わりましたわ……」


 再び、テーブルへと突っ伏すシャンイン。幾ら、補佐官として超が付く程に優秀な彼女でも、暫く前から対応すべき仕事量はヘイスァ達による補佐が必須となっていた。その状況で、ランスァとホンスァまでいなくなるとなれば、彼女の心情は推して察するべきだろう。


 「まぁ、連邦を下せば外務の仕事も少しは減るだろう。それまでの我慢だな」

 「……はぁ。まぁ、前線でも仕事はさせられますわ。と言うか、やらせますの!」

 「それがよろしいですな。彼女達もそれに文句は(・・・)言わないでしょう」

 「私は余り進まない方に、賭けるわ」

 「乗った」

 「ですな」

 「絶対に、不成立ですわ!」


 残念ながら、賭けは成立しそうにない。シャンインの苦労は、しばらく続きそうである。南無。


 星系全体から見れば大きな変化を及ぼす話も含めて、補佐官達のお茶会は日付が変わるまで続いたのであった。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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