6-11:要塞史上最大の軍拡
強化からの~良くみる流れですね。
後書きに、本話後の要塞資源生産量等の情報をざっと書き殴っておきます。
さて、愉快系アイドルグループが来た時と同様にワイワイガヤガヤと騒がしく退室していった後の室内には、何時も通りの平穏が戻ってきていた。とは言え、彼女達が来た時とは同じ様でいて全く別の空気感と言っても良いけどな。
何だかんだヘイスァ達の調子に乗せられて、気分も少しばかり晴れた。内容はぶっ飛んでいる様にも思えるが、折角の提案だ。コールマフ連邦には、あのコロニーで流れた血の何十倍、いや何百倍もの血をその代償として払わせてやろうじゃないか。
こっちは、星系に名を轟かせる稀代のテロリストになったからな。今更、相手が白旗を振ろうとも助けてやる義理も無くなった。撃って、撃って、撃ちまくる。向かってくる敵も、背を向けて逃げる敵も、等しく宙に浮かぶデブリに進化して貰おう。いや、退化か?
「……」
先ずは、全ての基礎となる資源生産プラントの強化からだな。現在の生産量は、金属と推進剤が8億強に対し、非金属が2億強で弾薬は1億強となっている。これを50倍って事は、金属・推進剤が400億以上で非金属100億、弾薬が50億か。……念の為、弾薬だけ100倍にしておくか。
で、金属・非金属・推進剤を6段階、弾薬を7段階、建造・修理ドックを3段階、軍港を4段階、生産ラインを5段階と大規模な強化になった訳で。流石にこれだけ一気に強化ともなると消費されるシステムポイントも膨大になるのは自明で、実に945ポイントも消費する羽目になった。……残り244ポイントなり。少なっ!?
艦隊は、今の建造が落ち着いたら一気に進めるとしてだ。急ぎたいのは、諜報部門の人員強化だよな。今の所、諜報部門には800名弱の人員を配置しているが、流石にヘイスァ達が言っていた様な一気に20倍ってのは現実的ではない。アンドロイド達を生産するだけなら特に問題はないし、必要な事前教育も生産と並行して行える。とは言え、配属を振り分ける手間があるし配属先での受け入れ教育もあるからな。
サウサンと調整しつつ、数段階に分けての増員が現実的だろう。彼女を支える幹部クラスもそれなりに育ってきてはいるが、まだまだ彼女自身の仕事量はそこまで減っていないからな。今後は、人員増加と共に負担軽減の為にも幹部クラスか補佐を増やす様に言っておくか。
シャンインならまだしも、サウサンならばヘイスァ達の様な愉快系アイドルグループを生みだす事もあるまい。逆に、もっとヤヴァイ系の補佐が生まれるリスクもあるにはあるが、そこは多分だけど気にしたら負けな気がする。
「資源強化に戦力強化、人員強化と来て……」
次はドクターのラボだろうな。ランスァとホンスァの専用機は今しばらく掛かるだろうが、それ以外にも幾つか新規依頼を頼んでおきたいし、依頼済みの案件についても進捗状況を確認しておきたい。特に、そろそろアイツが形になるんじゃないかなって、思っていたりいなかったり。
「ドクター、少し良いかな?」
「これは、香月司令官。ようこそ、探究の底なし沼へ」
「底なし沼か。言い得て妙かもな」
「えぇ、全くですな。探究すればするほど、出口の見えぬ迷路へと自ら足を踏み入れている感覚に囚われます」
「でも、それが醍醐味なんだろ?」
「ハハハッ、おっしゃる通り。探究者として、尽きぬ未開の道があると言うのは何よりの喜びですからな」
そう言って笑うドクター。彼からすれば、あくなき探究の心を満たし続けてくれる環境は得難いってことなのだろう。そんな彼に、今日もまた色々とお願いすることになる。これでまた暫くは、彼と他のラボ職員達は寝る間も惜しんで研究開発に没頭する事になるのだろうな。事前に、釘だけは刺しておかないと。
「それで、新しい開発依頼する前に進捗を確認しておきたいんだけどさ」
「畏まりました。先ずは、時間が掛かっている推進剤の燃焼効率改善ですな」
「確か、前に聞いた時は基礎理論が形になったって話だったかな」
「はい。現在は、それをベースに基礎開発まで完了しております。具体的な数値としては、現行機関から15%減といったところですな。今後、更に研究が進めば、20から25%低減を目処に新型機関として形に出来るかと」
既存の20~25%消費減に達する可能性が見えてきた、推進剤の燃焼効率改善研究。無論、まだまだ形になるまでには時間が掛かるだろうが、推進剤の消費が減ればそれだけ無補給での長期間行動が可能となる。
「取り合えず、コールマフ連邦戦が終わる頃には形になるかな?」
「そうですな。それ位で、一応の形にはしておきたいところかと」
「さっき、軍拡に向けてアホみたいに資源の生産量を増やしておいたから、取り合えず焦らず進めて欲しいかな」
「無論です。量産体制に入ってから、不具合が見つかる様では意味がありませんからな」
「確かに」
実益のある研究開発だけに、早期の実装が望ましいのは事実。でも、量産体制が確立してから修正を入れるってのは色々と厄介なんだよな。特に、新型機関として各艦への搭載が始まった後に、再交換なんてことになったら目も当てられない事態になる。
「さて、続いてはミディールの市街戦仕様ですな。こちらに関しては、5機の試作機を生産しヘイスァ嬢達の協力の下で各種実証実験を行っております。廃棄コロニーの一部を試験場として再建していたのが、結果として功を奏しましたな。良いデータが得られております」
「一部とは言え、コロニーの再建まで進めてたのか。何て言うか、用意周到なことで」
「基本的にはシミュレーターで問題ありませんが、実機かつ実地でしか得られないデータもありますゆえ。可能な限り、準備しておくに越したことはございません」
先の戦いを想定したミディールの市街戦仕様。既に、ヘイスァ達によって試作機が暴れている様で何より。むしろ、廃棄コロニー内部に試験場が出来上がっている事実に吃驚だわ。まぁ、確かに保有しているコロニー4基の内、2基はレーザーに改造、1基は加速器になって、残り1基はドクターに預けたまま特に指示して無かったからな。……その使い道は、彼次第だ。
「取り合えず、市街戦仕様機はそう時間も掛からずに実戦配備可能って感じかな?」
「はい。このまま問題無く開発が進めば、艦隊戦力が揃う頃には実戦配備可能かと」
「了解」
「それから、兵員輸送ユニットと移動指揮用ユニットに関しては基本設計が完了しております。シミュレーターでのテストが完了次第、試験用の実機の生産に移りますぞ」
「そちらも順調と……」
ミディール市街戦仕様、そして陸戦隊向けの各種ユニット。……何れも開発は順調と、良い事だな。これで一先ず、開発状況の確認は終わりで、新規の依頼にっていきたいところだけれども。もう1つ確認しておくべき依頼済みの案件がある。
「ドクター。『不知火』の開発状況はどうなってる?」
本編で軽く流した部分の補完を少しばかり。
※※要塞内部は不思議パワーによる異空間です(爆※※
金属生産プラント …524億2,880万t/日
非金属生産プラント…131億720万t/日
推進剤生産プラント…524億2,880万t/日
弾薬生産プラント …131億720万t/日
建造ドック …4,194,304隻/同時建造
修理ドック …4,194,304隻/同時修理
軍港 …104,857,600隻収容可
兵器生産ライン …524,288本/各種ライン毎(第1小型・第2小型・中型・大型)
お読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!