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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第6章『大国の終焉・中』
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6-10:愉快系アイドルGの提案②

前回の続き。後半にはいよいよ彼女達用の…。

 「それで、次は資源だけど……。50倍?」

 「そー」

 「50」

 「倍」

 「マスト」

 「そうか」


 主力艦隊と通商破壊艦隊をそれぞれ10倍規模にするとなると、その運用に掛かる資源の量も当然ながら大幅に増大する。現状でも大量建造が続くと減少気味なので、更に大幅な戦力増加となれば急転直下でマイナスに振り切るのは確実だろう。


 これまでは資源推移を見つつ必要分の強化をしていることが多かったのだが、ヘイスァ達としては予めそこまでは増やしておく必要があるという認識の様だ。不足は影響が大きいが、過剰にあったとしても問題はないからな。あのバカがいったい何処から資源を入手しているのかは不明だが、もう無理ですと言われない限り強化して問題はないだろう。


 「システムポイントとの兼ね合いもあるけど、前向きに検討するよ」

 「よろ」

 「しく!」

 「しく」

 「よろ!」


 良くある社交辞令的な検討しますではなく、これはマジな方。メンバーからのこの手の助言は、本当にありがたい。自分だけだと、どうしても視点が偏ったり見落としがあったりするからな。何れ、自分でもやることになるのだとしても、アドバイスには真摯に耳を傾ける姿勢が大事。


  さてと、各種資源生産プラントの強化か。50倍ともなると、相応にポイントを消費することになるよな。それに、艦隊の強化絡みで建造・修理ドックの強化も必要だし、それらを配備しておく軍港の拡張も必須。かなりのポイント消費になりそうだが、手持ちのシステムポイントが1,189あるから恐らく足りるはず。


 通商破壊戦で、ジリジリと撃沈スコアも増えているし後で任務の達成状況も見ておくか。ここまで大きな軍備増強ともなるとポイントは幾らあっても困らないからな。それに、連邦戦の次は共和国と帝国も控えている。どの様な形で決着を付けるせよ、戦力の維持は当面は避けられない。


 「さて、残りは人員の増員か。要望は?」

 「内務、ヘイコー!」

 「外務、ヘイコー!」

 「諜報、アゲアゲ!」

 「研開、ヘイコー!」

 「なるほど」


 内務と外務に関しては、先日それぞれ事務方を増員している。今のところは、それで十分と言うことなのだろう。研究開発ラボに関しても、抱えている新規の依頼は少ないから人手は足りている様だな。一方で、諜報に関しては、先日のコロニー襲撃の件もあり人員増が必要と判断したか。


 まぁ、人員を増やしたからと言って同様の惨事を未然に防げるかと言われれば難しいところなのだが、サウサンとしては可能な限り敵の取り得る策を潰したいということの様だ。それに、共和国はまだしも帝国という強敵も控えていることだし、情報収集に関しては引き続き強化が避けられないな。


 「他に何か要望は?」

 「ランスァとホンスァの専用機」

 「もう直ぐ完成!」

 「たのー」

 「しみー?」

 「……そうか。各々のコンセプトは?」


 それは、要望では無く報告だな。まぁ、楽しそうに手に持った端末画面を競う様に見せてくる彼女達に対して、それを指摘するのは無粋だろう。ていうか、ヘイスァとバイスァの機体も更に改修されてないか? 見なかったことにしよう。シャンインの叫び声が聞こえてきそうな気もするが……。


 ヘイスァとバイスァに関しては、各々の専用機で既に何度も戦果を挙げている。一方で、ランスァとホンスァに関しては、前線に出てしまう彼女達の穴埋めという意味もあり、シャンインの補佐が主となっていた。まぁ、結局この2人用の専用機もドクターのラボで開発されている訳なのだが。シャンインの苦労は、今後も続くらしい。


 で、実際の機体はと言うと。


 「豆鉄砲」

 「集めて受けても」

 「豆鉄砲」

 「無駄弾かな?」

 「あー。超重装甲型かな?」

 「「「「ザッツラー」」」」


 ランスァの機体は、鉄壁の守りに重きを置いた装甲マシマシの機体になる様だ。各部への追加装甲に加え、腕部それぞれに大型のシールドを装備。それらを左右組み合わせる事で、機体の大部分を覆い隠せるほどの巨大なシールドが出来上がると。更に、背面に補助アームが取り付けられており、それらにもシールドが確認出来る。


 「武装は?」

 「ビーム?」

 「ハンドガン2丁だぜよー?」

 「マガジンゴテゴテ!」

 「盾裏、ゴッソゴソ!」


 なるほど。武装に関しては、自衛用の物が最低限ってことだな。とは言え、艦載機やミサイル程度ならそれで問題なく対処出来るだろうし、重装甲も相まって継戦能力はそれなりに高い。前線に突入すると言うよりかは、艦隊の直掩として迎撃を主とするタイプだろうか?


 「ランスァの機体は分かった。ホンスァのは、どんなコンセプトだ?」

 「宙に隠れて」

 「悪を討つ!」

 「星に照らされ」

 「友を護る!」

 「……ん?」

 「「「「かずまー、分からん?」」」」

 「分からん」


 ホンスァに見せられている端末の画面に映っている機体は、他のメンバーの機体に比べて非常にシンプルだ。ベースとなっているランドグリーズの面影が良く残っている。背面の兵装ユニット兼ブースターが無くなり、円錐状のパーツが3本その代わりとばかりに存在を主張しているだのが。何だろうね、コレ?


 「ステルス?」

 「残影?」

 「電子戦?」

 「シュッ! バッ! ザシュッ! ドカーン!」

 「えぇ……??」


 ステルスは分かる。既に既存の技術だ。電子戦も同じく分かる。最後のは、恐らく擬音で戦闘描写をしているのだろう。問題となるのは、残影だな。まぁ、それ自体の意味は何となく分かるのだが、それがどう専用機と結びつくんだ?


 「電子の目」

 「欺く」

 「現実の目」

 「欺く」

 「「「「かっくいー!」」」」


 電子の目を欺くってのは、電子戦の基本とも言える手段だわな。現実の目を欺くってのは、何か別のモノに意識を向けさせるってことか? だとすると、デコイだったり閃光弾なんかが思い付くが。だが、そんなものを戦場で使用していたら直ぐに手持ちが枯渇する気がするが。


 「かずまー」

 「先読み得意ー」

 「ホンスァ」

 「させないー」

 「……先読みをさせない?」


 彼女達の言う先読みだが、恐らく偏差射撃のことだろう。相手の機動を読み、その進む先に弾やビームを置くって言えば良いだろうか。動体目標を攻撃するには、必須の技術だ。ホンスァの機体は、それをさせないとなると……なるほど。


 「残影ってそういう意味か。本来の機体位置よりも後方に姿だけが残ると」

 「凄いっしょー?」

 「ヤバいっしょー?」

 「電子も」

 「現実も」

 「グッバーイ!!」


 背面の搭載される3本の円錐状の装備。アレが、この機体の肝となる訳だ。電子の目は先に潰され、現実の目は事実と異なった現状を強制的に見せられる。恐らく、熱量なんかに対する欺瞞も施しているのだろうな。とは言え、流石に質量だけはどうにでもならないだろうけどな。質量を持った残影なんて、人描くSFの世界だけのお話だ。


 「完成が楽しみだな?」

 「かずー」

 「まー」

 「ボッコ」

 「ボコに」

 「「「「してやんぜ!!」」」」


 4対1は卑怯じゃありませんかね? 

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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