表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第6章『大国の終焉・中』
306/336

6-9:愉快系アイドルGの提案①

暫く、シリアス気味なお話が続いたので、此処からは何時もの感じで。

愉快系アイドルGの彼女達が登場します!


 重苦しいミーティングを終えて戻った自室。ベッドに横になりながら、端末でコロニー内の映像を何度も見返している。彼ら彼女らが死ぬべきでは無かった人々と言ったら、恐らく身勝手な主張なのだろう。サウサンには、コールマフ連邦領内で反体制派や今の統治に疑問を持つ者達に対して立つ様に焚き付けさせていたからな。


 広大な領域を有する連邦に取って、各地に余計な火種ができる事は決して座視できるものではない。強大な力を少しでも削ぐためには、そういった手段を選ぶしかなかった。その結果が、この映像となって返ってきた。戦争の犠牲者と言えばそれまでかもしれないが、その一言で纏めるのは忍びない。


 そんな、とりとめのない思考を繰り返していたオッサンを現実に引き戻したのは、何とも緊張感に欠け今の心境からは場違いとも言える明るい呼び声だった。


 『たのもー!』

 「ん? ヘイスァか? ちょっと待て、今あけるから」

 『サンサンクスー!』


 自室の扉に設定されている解除コードを端末へと入力し、扉を開ける。完全に扉が開きかける前から身体を強引にねじ込ませる様にして入ってきたのは、ランドロッサ陣営が誇る愉快系アイドルグループに所属する、ヘイスァ、バイスァ、ランスァ、ホンスァの4人だった。


 4人も人口が増えた事で、一気にわちゃわちゃとし始める室内。ここまで賑やかなのも何時振りか。まぁ、司令官であるオッサンの自室に入り浸るメンバーが基本的には居ないから当たり前ではあるのだが。ソフィー達とお茶をする時はミーティングルームを使うし、何か相談事がある時は各々の拠点へ此方から足を運ぶのが基本だから。


 それぞれの名を表す色である、黒・白・青・赤系統の服を身に纏った彼女達。その役割は外務を担当するシャンインの補佐であり、ヘイスァとバイスァに関してはオッサンが専用機に搭乗する際には直掩として同行する職務もこなしている。


 「それで、今日は全員揃ってどうしたんだ?」

 「かず」

 「まー」

 「凹んで」

 「るー聞いて?」

 「そうか、心配して様子を見に来てくれたと?」

 「「「「ちゃうよ?」」」」

 「おいっ!?」


 シャンインにでも聞いて、心配して来てくれたのかと思ったらどうやら違うらしい。まぁ、彼女達の普段の行動基準から考えると、さもありなんってことになるのだろうが。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ寂しい気もする。


 「それで、どうしたんだ?」

 「要塞」

 「戦力」

 「強化」

 「提案」

 「要塞戦力強化提案?」

 「「「「夜明けぜよ!!」」」」


 いや、それだと意味がかなり違うものになりそうと言うか、意味不明だけどね? まぁ、ヘイスァ達なりに何か考えがあるってことなのだろう。彼女達も、一見すると普段の姿がこんな感じだから適当にやっている様に思われるかもしれないが、補佐官補佐として過不足無い能力を持っているのも事実。


 今回のことも踏まえ、彼女達なりの提案を持ってきたということだと思う。それに、戦力強化自体はオッサンとしても確定事項であるからな。あの様な映像を見た以上、早期に対連邦戦を終わらせる必要がある。


 「主力艦隊!」

 「10倍!」

 「通商破壊艦隊」

 「10倍!」

 「資源!」

 「50倍!」

 「人員!」

 「20倍!」

 「「「「ナウッ!」」」」

 「なるほど」


 ヘイスァ達の要求その1。主力艦隊を10倍に増やす。現状では後5日程の予定で既に実行済みの増強計画が完了し、10個艦隊で312万隻になる。これを更に10倍にするってことは、単純に3,120万隻になるってことだよな。……これだと、連邦の所有する艦艇数を上回る計算になるか。


 「数で勝れと?」

 「数は正義!」

 「勝てば」

 「官軍!」

 「負ければ」

 「賊軍!」

 「総じて」

 「「「磨り潰せば良し!」」」


 またもや意味不明なこと言いだす自由過ぎる面々。勝てば云々とか、何処から元ネタを仕入れているのやら。とは言え、彼女達の言うことは正しい。結局のところ、戦争を始めてしまった以上は勝つしか道はない。負ければ、敗者として勝者によって創られた歴史に支配されることになる。


 オッサン達は、勝つしかないわな。少なくとも連邦だけには負ける訳にはいかない。一先ず、主力艦隊の増強は艦隊数はそのままで、構成する艦艇数を増やす方向で行くとしよう。資源は勿論、軍港の拡張も必須だな。


 「なら、主力艦隊の増強は決定と」

 「「「「ウーラー!」」」」

 「で、次が通商破壊艦隊の増強か……」


 こちらは通常戦力による艦隊が18個で36,180隻。潜航艦による艦隊が60個で8,100隻。何れも相手方とガッツリ組んでの戦闘を想定していない分、小回りの効く艦隊規模になっている。主力艦隊とは運用方法が大きく異なる以上、これを単純に10倍してしまうと運用面への影響はどう出る?


 「通常ー」

 「解散!」

 「潜航」

 「マシマシ!」


 なるほど。隠密性に欠ける通常戦力による艦隊は解体して、その代わりに潜航艦による艦隊を増強すると。確かに、それは理に適っている様にも思える。ただ、それぞれ役割があっての編成だし、片方だけに偏るってのはどうなんだろうな。


 主力艦隊と同様に戦力強化自体はするべきだと思うが、通常戦力を削ってしまって問題ないのかその辺はサウサンとも要相談すべき案件だな。一先ず、ヘイスァ達には悪いが要検討としよう。


 「通商破壊艦隊に関しては、運用を担ってるサウサンと相談だな」

 「サウサンー」

 「了承ー」

 「済みー」

 「先手必勝!」

 「……さいですか」


 どうやら、既にサウサンを相手に事前のネゴシエーションを完了済みの様子。後で、念のため確認だけしておくけど、多分ちゃんと了承済みなんだろうな。ヘイスァ達って自由奔放に見えて、その辺は抜かり無いからさ。仕事も言動は別としてそつなくこなしているとの報告をシャンインから受けているし、普段の様子からもそれはうかがい知れる。


 「通常」

 「解散」

 「「バンザーイ!」」

 「潜航」

 「再編」

 「「カンターイ!」」


 いや、本当に彼女達は優秀な補佐官補佐なんですよ? その言動に騙され易いってだけでね? って、オッサンは誰に対して言い訳しているのやら。取り合えず、通常戦力の艦隊は全て解体して一旦は要塞の守備隊に編入だな。潜航艦による艦隊に関しては、主力艦隊と同様に10個艦隊程度を1つに纏めて識別名を付けるとしよう。


 ……固有名称は思い付かないから、暫定案として第1通商破壊艦隊とかで良いかな? 隷下にの10個前後の既設艦隊を再編成すれば形としては問題ないだろう。後は、それぞれの艦隊の艦艇数を10倍を目標にして増やせば良い。細かい所は、サウサンと改めて調整すれば良いしな。


 さて、次は資源と人員か。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ