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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第5章:「大国の終焉・上」
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5-8:新型艦と強化とバケツパフェ②

バケツパフェ。オッサンには食べれません。

 場所は自室から変わり、此処はシミュレータールームに併設された喫茶スペース。4人掛けのテーブルを挟み、対面にはヘイスァとバイスァが巨大なツインバケツパフェの影に隠れる様に座っている。いや、パフェを一心不乱にかっ込んでいると表現すべきか。凄まじい速度でパフェが消費されていきます。


 で、オッサンの横には何故か2人に同行してきたシャンインの姿が。まぁ、彼女達の上司であり監督者的な立場でもあるから、別におかしい事ではないんだけどね。そんな彼女は紅茶を片手にパフェにがっつく2人の補佐を呆れた様な目で見ている。


 「本当に、一体この身体の何処にあれだけの量が入り切るんですの?」

 「何処か、別の空間にでも繋がっているんじゃないか?」

 「あり得ますわ。むしろ、その方が自然とすら思えますもの」

 「あはは……」


 まぁ、確かにアレだけの巨大なパフェがみるみる内に減っていく様を見せつけられると、そんなアホな考えも強ち間違いとも言えない。それ位、ヘイスァとバイスァが食べる様は凄まじいのだ。って、完全に話が脱線したな。


 「それで、ヘイスァとバイスァ。実際のところ、用件は何だ?」

 「んー?」

 「うー?」

 「本当にバケツパフェも食べたかったんだろうが、別に用件があったんだろ?」

 「「あぁー!?」」


 どうやら、2人の表情を見る限り完全にバケツパフェに夢中になっていて、そっちは完全に頭から抜けていた様だ。……まぁ、彼女達らしいと言えばらしいけれども、その辺はもう少しちゃんとして欲しいところ。


 「はぁ……。貴女達、一馬様の時間を頂いておいて、何ですのその様は!?」

 「めんご」

 「めんこ」

 「たらこ」

 「めんたいこ」


 早速始まる、ヘイスァとバイスァによる不思議ちゃんワールド。これが彼女達の個性だってのは分かるものの、このまま放置していると確実に方向性を失うので、軌道修正しましょうね。


 「それで?」

 「かずー」

 「まー」

 「エー」

 「スー」


 オッサンがエース? 大した戦果も挙げてないですけどね? エースってのは、もっとこう何て言うか凄腕!って感じの人達の事でしょ!


 「いや、俺はエースと呼ばれるには程遠いだろ」

 「「「……ジー」」」

 「いや、マジでさ」

 「「「……はぁ」」」


 ヘイスァとバイスァに加え、シャンインにまで特大の溜め息を吐かれた。地味にダメージが入るので、止めて下さい。オッサンのHPは、たったの1那由他ですよ?


 「……色々と良いたい事あるけど、それは置いておこう。それで、何か頼み事かな?」

 「特訓!」

 「ブートキャンプ!」

 「「たのもー!」」

 「えっと、専用機の訓練相手になってくれって事かな?」

 「「ザッツラーイ!」」

 「なるほど」


 ヘイスァとバイスァの願いは、専用機の訓練相手を務めて欲しいって事ですか。先の戦いで初陣を経験して、色々と思うところがあったのだろう。向上心がある事は良いことだし、この先も彼女達が生き残っていく為には腕を上げるのが一番良い。それの手伝いをする事に、オッサンとしては不満などありませんよ。

 「シャンインもー」

 「特訓!」

 「へっ? いえ、私は結構ですわ? そもそも、パイロットでは無いですもの!」

 「シャンイン、ビビッてるー?」

 「ビビり?」

 「貴女達!?」


 ヘイスァとバイスァは、シャンインも特訓に引き込むつもりの様だ。まぁ、2人でも3人でも大して変わらないとは思うので別に良いんだけど。流石に、シャンインにパイロットとしての特訓はいらないと思うのだけれどもね。かといって、やっておいて全くの無駄って事にもならないのが悩ましいところ……。


 「何事も」

 「経験!」

 「不要ですの!」

 「……まぁ、無駄にはならないかな?」

 「一馬様!?」


 ガーン、裏切られた!とばかりの表情を浮かべながら、オッサンを見るシャンイン。いや、そこまで驚愕の表情を浮かべられてもね? 何事も、知っておいて、あるいは学んでおいて無駄になることってそうそう無いからね。まぁ、外務にどれほど役立つかってのは不明だけど。


 「シャンイン。別に、無理強いするつもりは無いから安心してくれ。ソフィーやサウサンも、パイロットとしての訓練はしてないしね?」

 「そうですわ! だから、私には不要ですの!」

 「逆を言えば、彼女達がやるならシャンインも参加決定だけどね?」

 「あっ……」


 絶望したとばかりに、上半身をグッタリとテーブルに投げ出して絶句するシャンイン。流石に、ソフィー達が参加するとなったら、シャンインにも参加して貰うことになるのは間違いない。補佐官みんな仲良く特訓ですよ! まぁ、そうなった場合ってお話だけどね。


 「取り合えず、ヘイスァとバイスァの実力を確認しようか? 今のレベルが分からないと、アドバイスも出来ないしね」

 「望む」

 「ところー!」

 「かずー」

 「まー」

 「「ボッコボコにしてやんよ!!」」




 「「……」」


 休憩を挟みつつ、合計で1時間半ほどシミュレーターでヘイスァとバイスァを相手に訓練をした訳だが……。当の2人は、テーブルに突っ伏して意識を半分くらい飛ばしている。漫画的な表現をするならば、口から魂が抜けかかっている感じだろうか。それにしても、そんなに疲れたか?


 「終始ボッコボコにされたのは、貴女達の方でしたわね?」

 「「ぐぅ……」」


 ぐうの音が出るので、まだまだ気力はある様だ。実機とは違って肉体への負担は少ないものの、目まぐるしく変化する戦況を絶えず分析しつつ自身の機体を操縦し続けるってのは、自分で思っている以上にくるものがあるからな。


 「取り合えず、休みを挟みつつ何戦かやった訳だけど……」

 「如何でした? ヘイスァとバイスァの腕は?」

 「んー、2人とも機体の特性に引っ張られ過ぎている気がするかな。だから、動きが単調になりがちで先の動きが凄く読みやすいんだよ。まぁ、武装の射程なりである程度は動きが制限されるから、仕方がない部分もあるんだけどさ」


 近接武装オンリーのヘイスァ機と、射撃武装オンリーのバイスァ機。2人とも実戦を経験した事で、良い感じに連携も取れていたが、それでもオッサンからすれば付け入る隙は多かったかな。


 「……それにしても。あの、見た目が射撃特化の機体でヘイスァとゼロ距離戦をされるとは、流石は一馬様と言うべきですわ?」

 「そうかな? 機体の特性さえ掴んでいれば、意外とどうとでもなるものだけどね」

 「一馬様。言うは易く行うは難しですわ?」

 「んー、そうかなぁ?」


 相手の機体の稼働領域と、武装の間合いだけ正確に把握すれば、近接兵装を持たない射撃特化型の機体でもゼロ距離戦は出来るんだよな。勿論、それらを読み違えれば一発で墜とされることになるけどね。その辺の自身の技量を、読み間違えずに戦えるかってことです。


 「まぁ、凡そのところは掴めたから、次回からは見えてきた課題をどう克服するかだな」

 「「……うぇーぃ」」


 未だに、回復はしきれていない様子のヘイスァとバイスァ。まぁ、もう暫く訓練を続ければ息切れすることなく戦える様になるでしょ。少なくとも、オッサンの直掩機を務めるって言うならば、それ位にはなって貰わないとな? 頑張れよ、ヘイスァにバイスァ。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 実際、中将で艦隊司令官なのに戦闘機のパイロット資格取った人もいましたからねえ。 あれだけ敵を叩き落としてエースではないなんて言えないですね。一会戦で戦艦三隻沈めた赤い人並みなのでは?
[良い点] いつも楽しみにしております [気になる点] 「へっ? いえ、私は結構ですわ? そもそも、パイロットでは無いですもの!」  「シャンイン、ビビッてるー?」  「ビビり?」 ビビーってるー…
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