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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第5章:「大国の終焉・上」
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5-6:始まりはいつも此処から⑥

打ち合わせ編は終わり。次は建造ラッシュの前の一コマ(あっ

戦闘はまだ先なんだな、これが!


※誤字報告ありがとうございます。

 「では、時間も有限ですので手短に参りますぞ。先ず、光学兵器に対する防御兵装について。艦艇用と兵器用、それぞれの先行試作品が完成しましたが、試験運用はどうされますかな?」

 「んー、今のところ光学兵器を運用しているのはウチだけだし、前線では実用性の面で無用の長物になりそうだよな。一先ず、兵器用を俺の専用機に載せてもらえるかな? データ収集だけは進めておこう」

 「承知しました。では艦艇用は、要塞守備隊の艦に搭載し、データ収集に当たるとしましょう」

 「よろしく」


 光学兵器に対する防御兵装ないし防衛装備。ウチで光学兵器を実戦投入するに辺り、盾となるそれらも並行して研究開発を進めた訳だけど、漸く形になった。ただ、現状では他勢力で光学兵器を運用しているところが無いので、万が一って以外には実用性が無いのが何とも……。まぁ、無駄にはならないんだけどね。


 「続いて、コロニーを用いた加速器ですな。此方も、本体工事が完了し、現在ラボ指揮下の艦艇による実証運用を開始しております。もう暫くデータ収集を進めれば、本格運用に移行出来るかと?」

 「おぉ、いよいよか。例え数%だろうと、推進剤が節約出来れば大きいからな。……可能ならば、連邦戦から本格的に使えれば助かる」

 「現在の予定で進めば、開戦までには問題ないかと思いますぞ」

 「頼むよ」


 お次は、艦艇加速器。コロニーそのものを巨大な砲身に見立てて、弾代わりの艦艇を一気に最大戦速まで加速させて打ち出す代物。期待通りの性能を発揮してくれれば、最高速まで加速するのに必要な推進剤を大幅に節約出来る様になる。そうなれば、より長時間の航行が可能となり作戦行動範囲は広くなる。地味だけど、期待度は非常に高い依頼品だ。


 「次は、光学兵器類ですな。既に実証運用が行われておりましたが、収集されたデータに問題点も見つかりませんでしたので、正式に本運用に向けた量産体制を構築しております。早ければ、再来週頭には艦艇用および兵器用の、初期ロットが生産開始されますぞ」

 「了解。取り合えず、兵器用を優先で良いかな。必要数が絶対的に多いし、火力の向上による恩恵もデカい。まぁ、実弾兵装も並行運用するけどさ」

 「では、その様に進めましょう」


 光学兵器……、要はビーム兵器ですね。ロボット物では、定番と言っても良い兵器。既に『ランドグリーズ』では、実戦投入がされた兵装だが、これで本格運用が始まる。まぁ、だからといって実弾兵器・兵装が不要になるって訳では無いけれどもね。


 「さて、艦艇類は一纏めに後でご説明するとして、問題の推進剤関連ですな」

 「あぁ……、あのバカの壁にぶつかって方向転換したヤツか」

 「はい。現状、基礎理論は概ね形にはなりました。とは言え、まだ暫くは時間が掛かりそうですな。一先ず、あの者からの制止も掛からぬ様ですので、進むべき方向性としては正しいと判断してもよろしいかと?」

 「そうか。まぁ、気長に進めてくれれば良いよ。方向性が正しいならば、自ずと結果は付いて来るしね」

 「ですな。……さて、最後が艦艇類を纏めてお伝えして終わるとしましょう」


 推進剤燃焼効率の改善。車で言うところの、リッター当たりの走行可能距離を伸ばす為の取り組み。既に初期の頃からみれば半分にはなっているものの、今後を考えれば可能な限り改善していきたい。まぁ、無理をせずゆっくりと進めるのが吉かな。


 「最後に、艦艇類に関してです。病院船に関しては、艤装が完了し試験航行も問題無く終わっております。運用要員及び運営スタッフとなる医療アンドロイドも手配して頂きましたので、シャンイン嬢の外務に合わせて試験派遣をされるのがよろしいかと」

 「了解。シャンイン、頼める?」

 「お任せ下さいですの。たっーぷりと、データ収集してきますわ。特に、ガルメデアは未だに医療体制が貧弱ですので、有益なデータ収集が出来るはずですわ」

 「……ふぅ。くれぐれも、程々に頼むぞ? 折角、支配体制を変えたんだから、余計な芽は出させないに限るからな」

 「腕の見せ所ですわ!」


 ……凄く、不安だ。シャンインの意気込む様子を見て、ドクターとオッサンの心の声がきっと一致した事だろう。スキンヘッド紳士の時代なら、病院船と言う一種の麻薬を上手く活用したところだが、今は代表も交代したしね。穏やかに、病院船の恩恵を受けて貰いましょうよ。


 「さて、締めは新型の拠点艦と潜航母艦ですな。拠点艦に関しては、設計が完了し試作艦の建造を進めております。1番艦は明後日の午後に、2番艦は4日後の昼までには完成する見込みです。その後は、試験運用を経て先ずは『ラーズグリーズ』と『ランドグリーズ』でそれぞれ実証運用ですかな」

 「拠点艦に関しても、出来れば連邦戦までには間に合わせたいね。厳しい戦いになるだろうし……」

 「そうですな。まぁ、現行艦の強化発展型となりますのでデータ収集に関しては、それほど手間取らないですな。それに量産に関しても、要塞の建造能力を持ってすれば、必要数を揃えるのにさほど苦労はされないかと」

 「まぁ、短期間で量産出来るのは要塞の特権だわな。資源には優しくないけどさ……」


 対連邦戦に向け艦隊数が増え、拠点艦の重要性が更に増すのは必須。その為の新型拠点艦であり、多少の資源への負担には目を瞑ってでも建造をガンガン進めるしかない。そもそも、艦隊の大量建造で資源はヤバそうだけどね……。


 「それで、潜航母艦はどう?」

 「サウサン嬢らの意見を取り入れ、最終設計案が完成しました。此方も、間も無く実証運用に向けた1番艦の建造が開始となりますな。今のところ、初期生産で12隻の建造を予定しております」

 「了解。建造枠を優先的に回すから、一気に進めて良いよ」

 「ありがとうございます。では、その様に進めるとしましょう。……さて、私からの報告は以上ですかな。此処までで、何かございますでしょうか?」

 「いや、特に無いよ。ありがとう」


 新型拠点艦に続き、サウサン達の強力な手札になるであろう潜航母艦も実証艦の建造が始まる。通商破壊艦隊での運用にも使えるし、早めに本運用に向けて量産に入りたいところ。とは言え、既存艦とは異なる部分も多いし、その辺の運用データの収集には時間を掛けるべきか。何て言うか、ジレンマだな。


 「さて、取り合えず今のところはこの辺で良いかな?」

 「内務は問題ありません」

 「外務もですわ!」

 「諜報も問題ないぞ?」

 「開発も同じく」


 何だかんだ、長々と打ち合わせに時間を掛けてしまった。皆、それぞれの仕事を中断して来てくれている訳だし、もう少し短く済ませたいところなんだけど……。まぁ、お互いの入念な情報交換・共有はいざって時に救いの手となりえる訳で、疎かにも出来んのよ。次回は時短できるように、少しだけ努力しよう。


 「了解。じゃ、対連邦戦に向けて気楽な準備期間といきますか!」

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 光学兵器は周囲に大量の鏡を浮かべて増幅しないとね。 でも、それをやると連邦の兵士に「あれは光ってはいけない悪魔の光だっ!」と叫ばれるかな?
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