4.5-19:束の間の平穏⑲
以前、間章が短くなると言ったな?
嘘を言って、どうもスミマセンでした!!(土下座
普通に、過去最長の間章になる事が既に確定しました。
ちなみに…
1.5章は10話構成。
2.5章は13話構成。
3.5章は20話構成。
現在の4.5章は…21話以上が確定しております。
本当にサーセン(反省の色ゼロ
引き続き、4.5章をよろしくお願いいたします!(開き直り
暫くぶりのパルメニア教、コンラッド支部。パメラ嬢の事を先に告げない限り門前払いされるかと思ったが、その様な事も無く受付の女性はオッサン達を奥へと通してくれた。どうやら、既に此方の到着についての連絡がいっていた様だな。受付でひと悶着を起こさずに済んだ事にホッとした。
「直ぐに支部長が参りますので、お掛けになってお待ちください」
「ありがとうございます」
「失礼いたします」
案内をしてくれた女性が部屋を去り、室内にはオッサンとパメラ嬢のみ。この部屋は、初めて此処を訪れた時にオルガ支部長と話をした場所だな。何て言うか、随分と昔のことの様で懐かしくすら感じる。実際には1年にも満たない月日しか過ぎていないんだけどね。時の流れは、とても早いです。
「さて、支部長は君に直ぐに気が付くかな?」
「どうかな? 教団の幹部って言っても、彼とはそこまで顔を合わせる機会も多くは無かったしな」
「そうなのか? 支部長って事は、仮にも教団内で幹部クラスだろ?」
「幹部クラスって言っても、教団全体で言えばそれなりの数がいるからな。後は、派閥とかもあるしさ」
「あー、人が3人集まれば派閥が出来るだったかな」
人が集まれば、自然に派閥が形成される。勿論、派閥が出来たからと言って直ぐに対立が始まる訳ではないだろう。だが、組織が大きくなればなるほど、その関係は複雑化する。そこに内外での利害も絡んでくれば、残念ながらドロドロとしたモノになることは予想しやすい。
「パルメニア教傘下のコロニー間でも、信徒達の無意味なライバル意識があるからな。それぞれの支部を預かる支部長も、当然ながらその影響を受けるんだよ」
「うへぇ……」
「例えば、私が何回どのコロニーを訪れたとかさ、そういうくだらない事も火種になるらしい。だから、その辺は教団上層部でかなり慎重に調整していたみたいだな」
「……くだらんって言いたいところだけど、当の本人達は真剣なんだろうな」
本音はくだらないの一言だが、小さいとは言え組織を率いる立場になると分かるモノもある。ランドロッサ要塞内には、派閥らしい派閥は存在していない。とは言えだ。例えば、オッサンがソフィーばかりを重用していたら、他の補佐官であるシャンイン達は内心では面白くないと感じるだろう。彼ら、彼女らが幾らあの管理者に創られた存在とは言え、それぞれに確かな個が存在している。
彼ら彼女らの支えが無ければ、ランドロッサ要塞はその能力を十全に発揮する事は出来ない。だからこそ、オッサンとしてはバランス感覚が重要になる。基本的に、補佐官である皆には明確な形での序列は存在していない。でも、補佐官として最先任であるソフィーが、形式だけとはいえ取り纏め役になる事が多いのも事実。あのシャンインも、ソフィーには遠慮がない一方で何処かキッチリと区切っている節があるからな。
「まぁ、今は目の前の話し合いに集中するとしよう。……どうやら来た様だしな」
「あぁ」
控えめなノックの後、扉が開き顔馴染みと言っても良いであろうバイセル・オルガ支部長が姿を現した。色々と心労が絶えないのか、眉間に深い皺が寄っている。全く、誰がそのストレスの原因となっているのやら。えっ? お前だって? 解せぬ。
「……話があるとか? 悪いが、なにぶん多忙な身なのでな。手短に頼む」
「えぇ。此方としても、次の予定がありますからね。さっさと済ませるとしましょう」
テーブルを挟んだ向かい側のソファへとドスッという音を立てながら深く腰掛け溜め息を吐くオルガ支部長。そして、最初から外向けの支部長様モードはかなぐり捨てている様だ。何処からどう見ても、やさぐれた中年のオッサンにしか見えません。酷く、お疲れの様です。理由は分からないが、ご愁傷様です。
「それで?」
「彼女の事についてですよ?」
「彼女? ……何処かで会ったか?」
「以前は、そこそこ会っていたと思いますけどね?」
「……」
そう言うと、目を細めてジッとパメラ嬢をつぶさに観察し始めるオルガ支部長。何だかんだ、この辺のモードの切り替えの速さは流石と言うべきか。まぁ、眉間の皺は消えませんけどね。心労、お察しします。同情はしないけどねー!
「……何処かで」
「……」
「っまさか!?」
「おっ、漸く気が付きました?」
2度、3度とパメラ嬢を見ている内に漸く合点がいったらしく、オルガ支部長の表情は面白い程に劇的な変化を遂げた。まぁ、実際には中年のオッサンの百面相とか見ていても、何1つ面白くは無いんだけどね。
「せいっ!?。……何のつもりだ?」
「何のとは?」
「此処に、彼女を連れて来た目的を聞いている!」
へぇ、気が付いただろうに星女とは口にしないんだな。ボルジア共和国によって連れ去られたパメラ嬢が、こうして変装しているとはいえコンラッド支部を訪れたと言うのに、オルガ支部長は敢えてその名を口にしない。
「目的も何も、無事を確認したいだろうと思いましてね?」
「どうやって、彼女を……。いや、凡その見当は付く」
「へぇ? 伊達に星系最大の宗教団体って名乗る訳では無いって事か」
「……やはり、先日の共和国首都近郊への攻撃は貴様達の仕業か」
「はてさて? 何の事やら?」
「ほざくなよ、小僧? ……まぁ、良い。聞きはしないし、知りたくも無い!」
そう言って、拳をテーブルに叩き下ろすオルガ支部長。何やら、酷くご立腹の様子。折角、大事な星女様と再会出来たってのに、どうやら嬉しくは無い様だな。……これは、出発前にサウサンが言ってた情報絡みか?
「既に、水面下で内密に次を探しているって事ですか?」
「えっ?」
「っ!?」
「どうやら、事実の様ですね。まぁ、確かに何時までも星女不在による混乱を教団としても野放しには出来ないでしょうから、非情な決断とは言えそうなるのも仕方が無いでしょうね。とは言え、そう何代も続けて星託なしの星女を選んでは、神威に陰りが生まれそうですがね……」
「貴様!?」
「あぁ、彼女が星女に選ばれた逸話は既に説明済みですよ? 彼女にはそれを知る権利がありますからね」
「くっ……!!」
パメラ嬢から、今後の事で相談を受けた際に、サウサンが収集していた情報を中心に裏が取れている範囲の事を全て話をしてある。隠し通すって選択もあったが、星女という立場によって人生を奪われていた彼女には知る権利があると思ったからだ。
流石に、最初は事実に動揺もしていたが、彼女としても思うところがあったのだろう。納得とはいかなくても、自分なりに折り合いを付けて受け入れた様だ。まぁ、その事もあってか逆に完全に吹っ切れたとも言えるな。
「おい、カズマ。次代の話なんて、私は何も聞いて無いんだが?」
「まだ、完全に裏が取れた情報じゃ無かったからな。でも、今のオルガ支部長の反応で確信ができた」
ジト目でオッサンを睨んでくるパメラ嬢。全然、怖くないのは秘密。
まぁ、要塞を出発する直前にサウサンから未確定の情報って事で耳にだけ入れていたものだからな。こうして、オルガ支部長にカマを掛けて漸く裏が取れたってレベルでしかない。流石に、未確定の情報を彼女に伝える訳にもいかなかたっし、そこは大目に見て欲しいところです。
「さて、情報の裏も取れた事ですし、互いの今後の為にも1つ交渉といきましょうか?」
お読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!