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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1章:歴史の始まり
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1-2:オッサン、説明を受ける①

今回、次回と説明回が続きます。

文章書くのって本当に難しい。

 なし崩し的に、ランドロッサ要塞の司令官と言う立場にされてしまったオッサン。社内一使えない営業と言われていた俺に、管理者とやらは何を期待したのだろうか。


 「ソフィーさん。1つ気になる事が有るので、質問しても良いですか?」

 「勿論です。それから、敬語は結構ですよ。香月司令官が話しやすい様にして下さい」

 「それは、どうも。えっと、此処に連れて来られた事に対して、何ていうか怒りとか憤りみたいな感情が湧いてこないのが疑問なんだけどね?」

 「それは、香月司令官の感情を抑制する機能が要塞全体で作用しているからですね。司令官と言う立場に立っていただく以上は、いざという時に冷静で居て貰う必要が有りますので。副次的に、此処に同意無しで連れて来ておりますので、余計な衝突を避ける意味合いも含まれます」

 「うわ。身も蓋も無いストレートな説明をどうも」

 「隠し事は、双方に取って不利益を生む場合が多いので、可能な限り情報を開示する様に管理者より命令されております」


 本当なら、怒って罵声でも浴びせている状況なんだろうけれども、そう言った感情が湧いてこない。これが抑制されているって事なんだろうな。人の感情って、こんなに簡単にコントロール出来るって事に妙に感心すらしているわ。元居た世界より遥かに文明が進んでいるって事だろうか。少なくとも、宇宙で資源採掘とかしている訳だしな。


 「香月司令官。他に何か質問は有りますか? 無ければ、この要塞のシステムについてご説明をしたいのですが?」

 「取り敢えず、今は他に無いよ」

 「そうですか。では、此方へどうぞ」


 そう言って、ソフィーは俺に背中を見せると部屋の外へと歩き出した。扉の外から室内に入ってきた以上、室外に別の空間が広がっているのは間違い無い。そこに、要塞のシステムとやらが有るのだろうか。一先ずは、彼女に付いて行くしか選択肢がないな。


 「此方が、香月司令官が全体指揮を取っていただく、司令室となります」


 廊下とか有るのかと思ったら、先ほどまで自分が居た部屋の続き部屋が司令室と呼ばれる部屋の様だ。司令室の奥に寝室(私室?)が有ると言うべきかな。ベッドの有った部屋同様、床と天井、四方の壁全ては無機質な灰色の素材で覆われている。一見すると、窓とかも無い様だ。折角だから、宇宙でも見たかったが、仕方がない。


 目算で5メートル四方程度の室内、その中央辺りにカウンターチェアの様に脚が円柱一本だけの椅子がポツリと設置されている。肘掛けと足置きが備え付けられており、背凭れの部分から左右に自在アームが伸びていて、それぞれ20インチ程の画面が取り付けられている。何ていうか、SFアニメとかに出てくる宇宙船の艦長(船長)用の椅子みたいだな。


 「……思ったより、狭いね」

 「現在は最低限の設備しか用意がありません。後ほど説明する要塞の機能強化を随時行っていただくことで、設備等が追加されていきます」

 「なるほど。ゲームみたいだ」

 「そうですね。戦略ゲームや経営シミュレーション等を想定して頂くと理解し易いかと思います」


 ポイントを消費して要塞機能を強化とかって事だろうか。そうすると、司令官としての仕事って、ゲームをするプレイヤーと似ているのかもしれないな。まぁ、ゲームと違って、リアルでの出来事って事にはなるが。


 「それでは、システムのご説明を致しますので、そちらの席にお掛け下さい」

 「はいよっと……」


 言われるままに、席に腰掛けて背凭れに背中を預ける。うん、自宅で使っていた草臥れたソファとは比べ物にならない程に座り心地が素晴らしい一品だ。オッサン、製作者に表彰状を送りたい気分。まぁ、ボケはこれ位にしてソフィーの話を聞かないとな。


 「向かって右の画面がシステム管理用の端末、左の画面が通信用の端末となります」

 「右がシステム、左が通信と」

 「それぞれ、タッチパネル式となっておりますので、まずは左の通信用の端末画面にタッチして下さい」

 「了解」


 ソフィーに言われるがまま、左側の端末画面に指で触れる。画面が点灯し、何やらリストの様な物が表示された。一番上にはソフィーとあるので、登録された連絡リストの様な物だろうか。


 「通信端末は起動すると、この様に登録された相手が表示されますので、任意の相手を選んで再度タッチをしていただきますと、通信が繋がる様になっています」

 「まるで、スマホかタブレットだな」

 「その通りです。これらの端末は香月司令官の仰るタブレットを再現した物です。馴染み深い端末の方が扱い方を覚えるのにも最適かと思いましたので」


 その配慮は、大変にありがたい。見知らぬ機械と格闘とか勘弁して欲しかったから、本当に助かる。


 「この通信端末は、特殊な暗号回線となっておりますので、外部から傍受される恐れはまず有りません。有効に活用して下さい」

 「OK」

 「続いて、右側のシステム管理用の端末に付いてですが、先ずは画面に触れて下さい」


 右側の端末を手元に寄せ、画面に触れる。通信端末と同様、此方も日本語表記の様だ。画面上に表示されたのは幾つかの項目の様だ。


 「開発、生産、改良、編成、要塞、任務の6項目が表示されているかと思いますが、そこまでは宜しいでしょうか?」

 「そうですね。任務の項目が点滅しているのは?」

 「香月司令官が該当する任務を達成されたので、点滅しています。任務の項目をタッチして開いていただけますか?」

 「了解。おっ、色々と出てきたな」

 「任務は、香月司令官の行動によって達成していただく物となります。ゲームで言うミッションでしょうか」

 「なるほどね。確かにそれなら分かりやすい」


 〇〇を何回クリアしろとか、〇〇を何個集めろとか、そう言ったミッションがこの任務に該当するという事だろう。本当に、ゲームじみてきたな。


 「任務の内容は、達成されると初めて表示される形式になっていますので、色々と試行錯誤しながら行動していただく事をお勧めします」

 「司令官として考えろって事か」

 「そうですね。何事も創意工夫が大事です」


 まぁ、答えが分かっていれば、最短ルートばかり選ぶだろうしな。遠回りも含めて、色々と経験を積めって事なのだろう。まぁ、任務内容によっては、そこから派生する任務が想定出来るから、決して難しい訳では無いか。


 「それでは、達成している任務をそれぞれタッチして頂いて、達成報酬を受け取って下さい」

 「了解。全部で5個か」


 達成されているのは、≪司令官着任≫、≪司令室解放≫、≪補佐官着任≫、≪通信端末を初起動≫、≪システム管理用端末を初起動≫だな。正直、こんなに簡単に達成出来る任務で良いのかと思うが、この後が不明なだけに今は遠慮無く頂くとしよう。


 「えっと、報酬としてSP5を獲得って出たな」

 「無事に報酬を受け取れた様ですね。ちなみにSPとはSystem Pointの略で、管理用端末上で消費していくポイントとなります。画面上の右上に現在のSP所持量が表示されますので、ご確認下さい。それらのポイントを何にどの様に割り振っていくかは、香月司令官が自由に決める事が出来ますが、振り直し等は出来ませんので、十分にご注意下さい」


 これはまたゲーム的な展開。管理者と言う存在が、意図的にそうしていると考えて間違いは無いだろう。此方としても、分かりやすいのは歓迎すべき事だ。オッサン、少しだけワクワクしてきた。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

次回も楽しみにして頂けると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 説明会ですが艦〇れなどのゲーム経験者だとイメージしやすいのでいいですね。 [気になる点] 感情抑制機能は、要塞の外に彼が出たときどうなるんだろうか……。
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