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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第4.5章:揺れる宙
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4.5-5:束の間の平穏⑤

相変わらず、一馬&ドクターのターン。次回で終わるはず。

 ドクターと共に下のファクトリーを後にし、上層にある談話室へと足を運んだ。談話室は、以前は休憩用のスペースとして利用されていた場所だ。そこを更に拡大し、休憩スペースの拡充と充実は勿論のこと、ミーティング等に利用出来る大小様々な会議室が設置された。


 まぁ、ドクターと2人での悪巧みにも恰好の場所って事だな。要塞内だが防諜対策もしっかりと行われており、扉を閉め切ってしまえば室内の様子が外へと漏れる心配も無い。既に、室内のテーブルには各々の飲み物と軽食が用意されていた。


 「さて、何だか下が凄い事になっていたけど……。アレは一旦忘れて、現状の確認と今後の方針を決めていこうか?」

 「承知しました。では、実証運用も兼ねた此度の戦闘の振り返りも多少織り交ぜつつ、纏めるとしましょう」

 「了解。任せるよ」

 「では、先ずはアクティブステルス技術ですな。艦隊、艦載兵器、コロニーレーザー各々に搭載されたソレは問題無く効果を発揮しました。共和国も帝国も探知出来ず、主星『ステッサ』まで潜り込めましたからな?」

 「そうだね。熱探知対策は引き続き進めて貰うとして、正式な量産型へ移行して良いと思うよ? まぁ、既に量産レベルで生産されてはいるけどね」


 アクティブステルス技術に関しては、光学迷彩と共に既に全ての艦艇並びに兵器類への標準搭載装備となっている。まぁ、光学迷彩及びアクティブステルス技術なんて長ったらしいから、一纏めにしてステルス技術で良いな。


 「では、その様に。次は、今も出たコロニーレーザーですな。此方に関しては、結局のところ開戦直後の1射のみでしたので実証データとしては未だ不足しているかと思われます。2号機も含め、暫くはデータ収集を主とした運用態勢を維持するべきかと」

 「それで構わないよ。基本的には1号機を主に運用して、そこで発生した不具合を2号機にフィードバックしていく形が良いかな?」

 「承知いたしました。では、次もコロニー関連ですが、艦艇加速器の開発状況ですな」


 コロニーを利用した大型の艦艇加速器。母艦から発艦する艦載機・艦載兵器がカタパルトで初速を得る様に、出撃する艦隊がこの中を通過する事で、推進剤を大幅に節約し航行速度まで一気に加速出来る。


 「現在、主要なパーツ類の取り付けは完了し、各所で配線作業を進めております。その後、主機関の取り付け、試運転、実証運用の順に進めて参ります」

 「了解。今の所は順調かな?」

 「はい。時間を掛けて基礎開発を進めましたので、此処からはそれほど時間も掛からぬかと」

 「それは何より。まぁ、次の次の戦い辺りからかな」


 各勢力の動き次第ではあるが、恐らくそう間を置かずに次の戦いへとランドロッサは赴く事になるだろう。なので、現在の開発ペースから考えると、次の次辺りからの運用が妥当な線だろう。


 「そうですな。次は少し話がそれまして、陸戦隊の支援兵器に関してですな。此方は既にガルメデアコロニーでの戦闘で実証データの収集を完了し、先ごろ最終的な量産に向けての開発も完了となりました。後は、量産を行うのみとなっております」

 「陸戦隊の拡充と共に、その辺りの準備も進めるとしよう。次の市街地戦も近いだろうしさ」

 「はい。後は、香月司令官の専用機に関しては先ほど見ていただきましたし、病院船も船体建造が終わり現在は内部の艤装を進めております」


 専用機……。何か色々と方向性を激しく間違っている様な気がするけど、今は目を逸らそう。そもそも、あの状態で変形するスラスターがどう機能するのかとか疑問が尽きないが、今は目を逸らそう。そう、今は目を逸らすのだ。決して、先送りではありません。


 「それと光学兵器に関してですが、主星『ステッサ』でのミディール隊による実証データから、正式な量産に向けた開発を進めております。次の戦いまでに、機動兵器向けの光学兵器は間に合うでしょう。また、艦艇用の光学兵器に関しては、少数での生産を開始し順次実証運用を行う予定ですぞ」

 「了解。これで、ある程度は火力を向上させつつ弾薬の消費を減らせるか。まぁ、実弾には実弾のメリットもあるから、その辺はバランスを見ながらかな?」

 「そうですな。何れかに頼り切るよりかは、互いのメリットを活かしつつ併用していくのがよろしいかと」


 何事もバランスです。まぁ、オッサンの専用機はビーム兵装オンリーですが、何か? 要は、片方に頼り切るデメリットを帳消しにする位の結果を叩き出せば良いのだよ。戦いはスコアだよ、ドクター。


 「最後は、機関での推進剤燃焼効率の改善ですな。此方は、引き続き基礎研究を進めておりますが、余り進捗がよろしくはありません」

 「中々に難しい?」

 「はい。元々、艦艇や兵器用の機関は銀河連邦時代に幾度と無く改良が加えられてきましたからな。当然、推進剤の燃焼効率も同様ですぞ。言わば、あの当時の今よりも高い技術でもって極限まで高められたそれらを、更に改良せねばなりませんので。中々に、手強い相手ですな」

 「その割には楽しそうだけどね?」

 「超える壁が高ければ高いほど、我々探究者は燃えるというものですぞ? それを超えた先に何があるのか、何を見る事が叶うのか。興味は尽きぬと言うものですな」


 ドクターの気持ちは良く分かる。とは言え、無理は禁物です。


 「分かった。まぁ、無ければどうにもならないってモノじゃないんだ。くれぐれも無理はしないようにね?」

 「畏まりました。吉報をお待ちくだされ」

 「あぁ、分かった」

 「……さて、現状では開発中のモノは以上ですな」

 「分かった。引き続き、頼む」

 「お任せを。して、後は新規の研究開発についてですな?」

 「そうだね。少しばかり既存の開発が落ち着いただろうから、少しばかり新しいのを頼むよ」

 「実に楽しみですな」


 ドクターの目がキラーンって光った気がする。きっと、木の精。

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新兵器が楽しみです。 足が無くても問題はないですっ [気になる点] >ドクターの目がキラーンって光った気がする。きっと、木の精。 そう、気の所為。 目の奥からキラーンですから。虎やライオ…
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