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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第4章:マーク・トゥウェイン要塞攻略戦
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4-43:バカ襲来①

漸く、本章の終わりが見えた。

 「さて、僕の時間って事で良いかな?」

 「……お前、最早メールするのが面倒になっただけだろ?」

 「いや、違うんだけどね? それは、そうとさ……」


 サウサンによる星女救出戦についてのグダグダ報告が終わった直後、ミーティングルームへ音も無く現れた管理者(バカ)。ただ、既にソフィー達も慣れたもので、即座にその胴体へと幾つもの赤い光点が合わせられる。赤い光点ってのは、所謂レーザーポインターと呼ばれるヤツだな。彼女達が手にしている、護身用の拳銃に照準器として装着されているものだ。


 「全く迷う素振りも無く狙いを付ける辺り、君の教育の賜物かな?」

 「即座に撃たれないだけマシだろ?」

 「いやはや、物騒な事で」

 「あらゆるセキュリティを平然と突破してくるヤツに言われたくは無いな」


 当たり前の話だが、オッサン達がいるミーティングルームを始め、生活の拠点になっているこのエリアのセキュリティは要塞で最も固い言っても過言では無い。だが、この管理者(バカ)にはそれらが一切通用しない。好きな時に好きな所へ出入り出来る訳だ。セキュリティなど意味が無い。


 まぁ、元々この廃棄された資源衛星を要塞へと改造した張本人だから、その辺は楽にスルー出来るのだろうがな。とは言え、ホイホイ中に入られる事にいい気はしない。ある種、雇用主と言えなくも無い相手だが、底が見えず、得体の知れない相手ともあれば対応も厳しくなると言うものだ。


 なお、銃器で相手を狙う場合は頭では無く、胴体を狙いましょう。被弾面積がより広い胴体は、銃に不慣れな者でも頭部に比べれば中てやすいからね。防弾チョッキなりを装着していようとも、至近距離から連続で叩き込めばダメージはそこそこ通ります。


 「さて、前回ですっかりと味を占めたお前が、今度は何を企んでいる?」

 「君さ、もう少し僕に優しくしようとか思わない訳?」

 「冗談は顔だけにしておけよ?」

 「いや、真顔で言われると僕でも傷つくんだけどね!?」

 「そうか。ソフィー、真顔で言うのが効果的だそうだ」

 「記録しておきます」

 「君達ね!?」


 信じられないよとばかりに、我々に向けて驚嘆の表情を浮かべる管理者(バカ)。敢えて言わせて貰うならば、その表情は極めて胡散臭いとしか言いようが無い。この程度の事で、コイツが傷つく事など有り得ないだろうし、何より作られた表情ってのは非常に見分けが付きやすい。


 「まぁ、良い。それで、さっさと要件を言って貰ってお帰り願おうか?」

 「はぁ……。本当に君は、君達は愉快だよ」

 「で?」

 「君は何を望む?」

 「……はっ?」


 何を望むとは、また訳の分からん事を言いだしたな。唐突過ぎるだろうが。主語を言え、主語を。


 「あぁ、難しく考えなくて良いよ? 今回の君達の活躍に対する報酬について、何を望むか聞きたいだけだからね」

 「報酬内容を此方に任せると?」

 「勿論、何でも望む物を好きなだけあげるって訳じゃないよ?」

 「それ位は、言われなくても分かる。だが、疑問があるな。どうして、今回は此方に選ばせる?」

 「そんなに気になるのかい?」

 「当然だろう。前回と言う多少特殊な例もあったが、これまでの3回は基本的にお前の決めた報酬だったろ。それなのに、今回は報酬を与えるということ以外は此方に丸投げとも言える。それが、気にならない訳が無いだろう?」


 前回も、特殊だったとは言えあくまで管理者(バカ)が用意した選択肢から選んだだけだ。それまでのルーレットだって運の要素が強いとは言え、倍率等はコイツが決めている。これまでの3回は、どうあってもコイツの決めた報酬範囲内で多少の差異が出る程度でしかない。


 だが、今回は報酬を与えると言うこと以外は、全て此方に投げた。まぁ、その場合に此方が何を望むのかについて凡そではるが、コイツには見当が付いているとも言えなく無いか。そう考えると、結局はコイツの思い通りって事になるな。


 「なるほどね。まぁ、君の言いたい事も分かるけど、もっと単純に受け止めて欲しいね」

 「……」

 「今、このタイミングだからこそ、君が僕に願うモノ(・・)があるんじゃないかな?」

 「……はぁ。お前、本当に性格悪いな」

 「心外だな!? 君ほどでは無いと思うけどね?」


 これまで通りだったら、艦艇数が何倍かに増えて、それに加え資源やシステムポイントが貰えるってのが定石だろう。或いは、新しい補佐官が着任するって事もあり得るな。ただ、このタイミングで望むモノをと言われれば、どうしても脳裏にチラつく願いがある。


 目の前でニヤニヤと此方を見ている管理者(バカ)には、それが何か分かっている、いや分かっていたのだろう。もし、向こうから言い出さなければ、此方から言い出した事も。ムカつく位に、良く理解していやがる。


 「報酬を望む前に、確認しておきたい事がある」

 「何かな? 答えられる範囲でなら何でも答えるよ」

 「アレを破壊した場合、ランドロッサ要塞への影響はあるのか?」

 「んー、無いよ? 恐らく、君が予想していたモノとは別だからね。安心して良いよ。アレを破壊しても、ランドロッサ要塞及びソフィー君たち関係者には一切の影響は無い。勿論、君にもね。だから、安心してそれを願って良いよ。そして、その代わりにこれからも僕の期待に応えて欲しいね?」

 「……そうか」


 アレを破壊しても最悪の事態は、避けられる。それが分かっただけで十分だろう。まぁ、コイツの事だから、分かっていて敢えて口にしていない内容も多々あるだろうがな。それでも、最低限のラインが確保出来ると言うのならば、手に取るしか無いだろう。


 「みんな。悪いが、今回の報酬は俺の我が儘で決めさせて貰うぞ?」

 「一馬さん。私達、補佐官に異論はございません。貴方が思うままに、望むがままに選択をなさって下さい」

 「ソフィーの言う通りですわ! 此処の司令官は、一馬様ですもの。何処までもお供しますの!」

 「左様。香月司令官は、好きになされば良いのです。それを支えるのも、我々補佐官の役目と言うものですからな?」

 「あぁ、一馬は一馬らしくあればいい。それを支える為に我々がいる。好きなだけ頼って良いのだぞ?」


 ソフィー、シャンイン、ドクター、サウサン。ありがとう。


 「好き」

 「勝手」

 「かず」

 「まー」

 「「の」」

 「「特権!!」」

 「「ザ・天上天下唯我独尊!!」」


 ヘイスァとバイスァ。流石のオッサンでも、そこまで酷くは無いからな? そして、何処でその言葉を覚えたのか、後でシャンインにしっかりと聞くとしよう。


 「司令官様の御心のままに」

 「我々も、ソフィー様と共に司令官様をお支え致します」


 テトラとヤヴァナ。まだ共に過ごす様になって日が浅い彼女達であるが、ソフィーの補佐として申し分の無い働きをしてくれている。何処となくだが、出会ったばかりの頃のソフィーの面影が、チラホラと見え隠れしているんだよな。ソフィーが3人に増える……、アレ? ちょっと、嫌な予感もするなぁ。


 「ふふっ。本当に君達は面白いね? それで、決まったかな?」

 「……あぁ」

 「では、改めて問おう。君は何を望む?」

 「……『ルーフェス』を破壊しろ。塵一つ残さないレベルにな。二度と、星女なんていう民衆の奴隷が生まれぬように。徹底的に破壊しろ。俺が望むのは、それだけだ」

お読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 管理者は、余りバカやってると、ミ〇ルニルで丁寧にのし烏賊にされたり グン〇ニルをぶっ刺されて、オデンの具にする 怖い上司が居る様な、北欧神話の愉快犯な気がするんだけど……。 偶に本質を突い…
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