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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1章:歴史の始まり
19/336

1-19:夢でも見たいお年頃

作者は貯金出来る派。最近、怪しいけれども……。

 更に数日が慌ただしく過ぎて行った。そうは言っても、要塞司令官である俺の仕事自体は大した事は無かったけどな。第16コロニーに無事到着したアイザフ大佐からの連絡を受けたり、コロニー内で実権を握っている人物と軽い挨拶を交わしたりと、その程度だ。細々とした事務仕事はソフィーかシャンインがテキパキと片付けてくれた。オッサン、優秀な補佐官が居ないとマジ戦力外候補筆頭。


 「いよいよ残り36時間。艦隊を出撃させようか」

 「準備は完了しています。後は司令のご命令が有れば何時でも」

 「よし、第1分艦隊、第2分艦隊、第3分艦隊。出撃せよ!」

 『指令、受託。第1分艦隊、第2分艦隊、第3分艦隊。戦闘任務に出撃』


 戦闘AIの指揮の元、合計で3個艦隊がランドロッサ要塞軍港から順次出撃をしていく。先頭を行く一際大きい艦影がカンターク級巡洋艦。改アスローン級駆逐艦よりも一回り近くは大型の艦体に、強力な各種兵装を積んだ万能型の戦闘艦。今回は戦闘機であるイースキーとの共同戦線だが、駆逐艦を率いた艦隊旗艦としての姿も早く見てみたいものだな。それにしても、推進剤の消耗を抑える為とは言え、巡洋艦に曳航される戦闘機って犬の散歩みたいで中々乙な光景だわ。ちなみにオッサンは、軍艦の出撃に年甲斐も無く熱く滾っております。敬礼!


 出撃する各艦隊の構成艦と、出撃条件については以下の通りとなる。


 第1分艦隊

 出撃内容:第16コロニー近郊デブリ帯での迎撃任務

 出撃艦隊:第1分艦隊(カンターク級巡洋艦×1、イースキー×4)

 出撃時刻:フォルトリア星系歴524年5月26日06:00

 帰還時刻:帰還条件達成次第

 帰還条件:敵勢力の殲滅

 撤退条件:推進剤20%以下

 追加条件:貨客船ディーシー号の保護。最優先攻撃目標:巡洋艦。


 第2分艦隊

 出撃内容:第16コロニーでの敵上陸部隊支援艦隊への奇襲攻撃及び殲滅任務

 出撃艦隊:第2分艦隊(改アスローン級駆逐艦×2)

 出撃時刻:フォルトリア星系歴524年5月26日06:00

 帰還時刻:帰還条件達成次第

 帰還条件:補給艦を除く敵勢力の殲滅。補給艦の無力化。

 撤退条件:推進剤20%以下

 追加条件:最優先攻撃目標:巡洋艦。補給艦の撃沈不可、武装解除可。


 第3分艦隊

 出撃内容:第16コロニーでの敵遊撃艦隊への奇襲攻撃及び殲滅任務

 出撃艦隊:第3分艦隊(改アスローン級駆逐艦×2)

 出撃時刻:フォルトリア星系歴524年5月26日06:00

 帰還時刻:帰還条件達成次第

 帰還条件:敵勢力の殲滅。

 撤退条件:推進剤20%以下

 追加条件:最優先攻撃目標:巡洋艦。補給艦の撃沈不可、武装解除可


 当初の予定と大きく変化したのは第1分艦隊の展開位置についてだろう。元々は要塞付近での迎撃を考えていたが、コロニー側の襲撃を聞けば追跡を中止して戻る可能性が高い事に思い至った。まぁ、当然と言ってしまえば当然の帰結だった。その為、大幅にコロニー近郊まで進出させ迎撃を行わせる事になったのだ。勿論、その宙域はデブリ帯であるのは言うまでも無い事だがな。おまけ的に、ディーシー号が逃避行する距離も近くなったのは朗報か。


 さて、各艦隊への指示はそこまで細かく条件を設定している訳では無い。実際、戦闘になってみないと判断が付かない部分が多すぎるからだ。相手も人間である以上、臨機応変に動きを変えてくるだろう。だから、此方もそれに合わせて追加の指示を出していく必要がある。

ちなみに機動砲に関しては、色々と検討した結果、今回の戦闘には不向きと判断して要塞周辺の防衛兵器として配備する事になった。

 撤退条件に推進剤の残量を条件に入れたのは万が一に備えてだ。もし、推進剤不足で共和国側に鹵獲でもされたら話にならないからな。既存の艦艇より強力なソレを手に入れたら、確実に共和国は増長するだろう。そうならない為にも、敵に此方の戦力が渡るのは絶対に避けなければならない。言い方は悪いが、第16コロニーやナターシャ嬢達よりも優先度は高い。勿論、その様な事を話してはいないけどね。


 「さて、後は此処から指示を出して上手く行くように祈るだけか……」

 「現状の少ない戦力で何処まで結果を出せるか。今後の方針にも大きく響いて来ます」

 「だよな。各艦毎の戦力比から見れば撃沈される可能性は低いだろうけど、万が一ってのが怖いな」

 「資源から考えて、直ぐに代替艦の建造ともいけない状況です」

 「資源にはこの先もずっと苦しめられそうだわ」


 今朝の時点で保有している資源量は以下の通り。


 金属 3,720t 非金属2,014t 推進剤 4,875ℓ 弾薬 627t


 推進剤は枯渇が危惧されていたが、どうにか間に合っている。まぁ、今回の戦闘後の補給で一気に目減りするのは間違い無いがな。むしろ、最大の懸念は弾薬だろう。補給艦を除いて確実な撃沈を前提としている以上、相応の消費は避けられないからだ。金属とかは撃沈した敵艦のスクラップを回収する事で相応の量が獲得出来るからまだマシだが、弾薬は厳しいな。ソフィーによると、共和国側が使用している弾薬類は、要塞で使用されている弾薬類と規格や火薬成分が異なるので流用する事が出来ないそうだ。そう上手くはいかないと言う事だろう。今後想定される戦闘でも敵艦隊から鹵獲してそのまま使用とはいかないな。補給体制もしっかりと整えろって事の様だ。


 「もう少しで管理者からの補給が受けられる筈です。そうは言え、予断は禁物ですが……」

 「どの程度の資源が貰えるかだなぁ」


 最初の資源補給は金属2万t、非金属5千t、推進剤5千ℓ、弾薬1500tだった。最低限、同等の量が欲しいな。ソフィーの話じゃ、俺の働き次第で増減するって言ってたから、期待しつつ待とう。


 「前回と同程度の補給が受けられるならば、カンターク級巡洋艦1隻に改アスローン級駆逐艦4隻を追加建造したいな。偵察艦隊が2個になるだけで、だいぶ違うだろうし……」

 「同等戦力を現状の倍に出来れば、それだけ選択肢は増えますね。綱渡りをする危険性も減らせますし」

 「まぁ、前回と同等の補給が受けられたらの話だけどね?」

 「ですね。期待し過ぎずに待ちましょう」


 夢を見る位は許して貰いたい。これまでに経験の無い戦闘が近づいているせいか、少しだけ現実逃避をしたくなるんだよ。後、兵器も生産しておきたいよね。補給を受けても直ぐに資材難に陥りそうだわ。オッサン、貯金が苦手なタイプかもしれない。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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