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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第4章:マーク・トゥウェイン要塞攻略戦
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4-17:首狩り作戦②

もう1話かな?

 「陸戦隊、宇宙港地表出口付近で激しい抵抗に遭遇。現在、交戦中ですわ!」

 「支援兵器を前面に押し出していけ! 進軍は慎重に、確実に敵を削ってからだ!」

 「了解ですの!」


 予想通りと言うか、他に無かったと言うべきか。陸戦隊は、宇宙港とコロニー内部を結ぶ連絡通路の地表出口にて待ち伏せを受けた。とは言え、予め警戒していたので、先陣を切って突入した支援兵器が盾となり、陸戦隊に人的損害は出ていない。小火器等の手持ち兵器では支援兵器とは言え、倒すには苦労する事だろう。


 何れの支援兵器も友軍歩兵の盾となって前進する事を想定し、正面装甲は厚くなっている。更に、爆発反応装甲を追加装備しているので、いわゆるRPG-7に代表される様な携行式ロケットランチャー程度ならば、難なく防げる。流石に、戦車クラスの主砲ともなれば話は別だけどな。


 「ミディール隊の方は?」

 「最後のエアロックへと到達しましたぞ。間も無く、内部へと突入します」

 「敵の反応は?」

 「どうやら、宇宙港側で手一杯の様子。此方側は数名の歩哨がいる程度の様ですな」

 「了解。内部侵入後は、予定通り幹線道路の封鎖と工場地域の制圧。スキンヘッド紳士達は陸戦隊で確保する予定だから、その支援も頼む」

 「了解しました」


 既に、ガルメデアコロニー周辺宙域は、此方の艦隊によって封鎖している。彼らが最後に潔く自決するかは不明だが、一応は生きたまま捕縛する様に命令は出している。勿論、抵抗激しい場合にはその場で射殺する許可も陸戦隊には与えているけどね。あくまで、優先すべきは陸戦隊に所属する戦闘アンドロイド達の命だ。


 戦闘アンドロイドは他の各種アンドロイド達と同様に、要塞で生産された言わば人を模した兵器だ。だが、確かに個を持ち生きている存在でもある。故に、要塞では個として扱い、その命を尊重する。無論、必要に応じて切り捨てる選択はするがね。今回で言えば、少なくともスキンヘッド紳士達より彼らの方が優先だ。


 「さて、そろそろメインディッシュのお時間だな。シャンイン、彼らに動きは?」

 「サウサンからの情報ですと、特に未だ拠点に籠っている様ですわ?」

 「逃げも隠れもせずって事かな? 或いは、未だに自分達が優位だと思っているのか……。ドクター、想定される脱出路の方は?」

 「宇宙港以外で小型艇が発着可能な地点は、全てミディール隊で抑えておりますな。無論、宇宙港も制圧済みですので、民間船舶での脱出も不可能ですぞ」


 コロニー外への退路は断った。後は、内部でしぶとく逃げ回るかだが、それにしたって逃げ道は多く無いだろう。閉鎖されたコロニー内に永遠に逃げ回る事は不可能だし、懸賞金でも掛ければ金欲しさに売るヤツは幾らでもいるだろう。此方の戦力が内部へと足を踏み入れた時点で、向こうは詰みなのだ。


 「此方側に引き入れた彼女達は無事?」

 「そちらも、特に緊急を知らせる連絡は無いですの。サウサンが密かに護衛も付けてますし、何かあれば要塞経由で要請が来ますわ」

 「なら、確実に前進して行けば良いってことだな。うん、一番良い形だね」


 物語であるならば、多少のアクシデントやトラブルが発生した方が場面としては盛り上がるのだろうが、これは現実での出来事だ。余計なトラブルは避けるに越した事は無い。毎回、山あり谷ありなんて、映画や小説の中だけで十分だよ。まぁ、今の自分の置かれている状況に関しては、何も言えないが……。


 「ミディール隊、内部へ突入を開始。抵抗は皆無。歩哨の皆様は、散り散りになって逃走中ですの」

 「まぁ、俺だってその場にいたら同じ様に逃げるわ。どだい、相手になる訳ないからね」

 「そうですな。彼らの持つサブマシンガン程度では、豆鉄砲にすらなりませんからな」

 「命あっての物種だよ。まぁ、スキンヘッド紳士達にはそれすら無いけどね……」


 内部権力を挿げ替える以上、元の親分衆には退場して貰う必要がある。当然、隠居なんて穏便な選択肢は存在しない。嘗て、多くの者を送り込んだであろう場所へ、彼らも旅立つのだ。きっと、大歓迎だろう。


 「連絡通路側も、間も無く掃討完了ですわ。既に敵側は指揮系統が寸断、士気旺盛な方々が頑張っている程度ですもの」

 「陸戦隊に損害は?」

 「数名の負傷者が出ましたが、現時点では死者ゼロですわ?」

 「了解。早速、建造したての病院船が役に立つな、ドクター?」

 「内装を突貫工事で仕上げて正解でしたな。良い、実証データが取れるでしょう。……ちなみに、香月司令官。以前、お願いした件に関してですが」

 「あぁ、数人なら良いよ? 余り大っぴらにやらなければね?」

 「感謝しますぞ」


 ドクターの言うお願いってのは、データ採取用の捕虜を何人か確保したいって話だ。で、自白剤とか味方には使えない各種薬物の実証データが欲しいんだってさ。確かに、それらの有効性を確認しておく必要性はあるわな。

 これまで、ウチで捕虜にした人達は何れも協力的だったから使用する事は無かったけれど、今後も同様とは限らない。非人道的と思われるかもしれないが、これも戦争だ。残念ながら、綺麗ごとだけ並べたてての戦争なんて、出来やしないんだよ。


 「ミディール隊、幹線道路を順次封鎖中。現時点でも特に抵抗はありませんわ。住民の皆様は、どうやら銃声が聞こえた頃から、家に引き籠っている様子ですの」

 「それで良い。下手に出て来られて、銃撃戦の巻き添えになられても困るからな」

 「ふむ。宇宙港出入口付近、掃討完了ですな。後は、標的の確保ないし排除を行えば完了かと」

 「了解。さて、スキンヘッド紳士達はどう出てくるかな? 出来れば、穏便に行きたいところなんだけどね」


 本心で言わせて貰うならば、自決でもしてくれていれば楽なんだがね。或いは、部下に裏切られて死ぬか。下手に逃げられるのが一番面倒なんだよな。流刑地だった事もあって、都市計画なんて物は存在せずに無秩序に建物が作られたせいで、とにかく内部が複雑になっている。時間の無駄にしかならない、追いかけっこをする様な事にはならないで欲しい。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!

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