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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第4章:マーク・トゥウェイン要塞攻略戦
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4-10:地道な研究開発は大事②

機関部に関する科学的ツッコミはNGでオナシャス。

作者の知能はミジンコ以下です。(ミジンコに大変失礼ですな!


※誤字報告ありがとうございます。

 「開発の中止に関しては以上となります。次は、中止では無く目指す方向性の変更ですな」

 「方向性の変更?」


 ドクターの言葉に対して、オウム返しになってしまうのは許して欲しい。他に聞きようが無いから、仕方が無いじゃないか。残念ながら、オッサンには彼の言葉の先を察するだけの知識はありません。


 「対象となるのは、艦艇搭載を目指した新型機関です」

 「あぁ、確か核融合炉とか念頭に置いてって話だったよね?」

 「そうですな。現行の艦艇用機関は、要塞の動力と同じバラトイア鉱石を核とし、水素を反応剤とした融合炉を用いております。そして、水素は推進剤としても使用されております。これは、他の勢力の艦艇でも同様ですな」

 「なるほど」

 「香月司令官のご要望の機関は、推進剤に頼らない物と言った物でしたな?」

 「そうだね。今後も艦艇数が増える以上、推進剤の利用を前提とした機関は見直したいって話だったはず」


 幾ら生産プラントを強化して生産量を増やしたところで、消費量がそれを大幅に上回る様では継戦能力に響くからね。先の第6機動艦隊戦の様に、管理者の手助けが無かったら満身創痍の艦隊を抱えて路頭に迷うレベルのヤバさが再び起こる事になる。だからこそ、推進剤を不要とする機関が出来ればって話だったんだよな。


 「先ず、現行機関以上のエネルギー効率を誇る機関は、残念ながら研究開発(・・・・)が出来ませぬな」

 「研究開発が出来ない、か……」


 ドクターの言い方から察するに、それより先の技術はバカが介入する事になる事態を引き起こすって事なんだろうね。確か『ルーフェス』絡みの話で色々と説明された気がするな。ロストテクノロジーだっけ? 要は、銀河連邦崩壊時にワープ技術同様に意図して消された技術に該当するって事だな。そうなると、新型機関は望み薄か……。


 「香月司令官から新型機関を依頼された後、直ぐに管理者と言う見えざる壁にぶつかりました。彼方此方と抜け穴が無いか探ってみましたが、流石に壁は厚かったですな」

 「普通の人は、直ぐ諦めると思うけどね?」

 「研究者とは、押すなと言われれば押したくなるのが性でしてな? 管理者が権限を振るってまで失わせた程の技術ともなれば、それを見聞し可能であるならば自らの手でカタチにしたいと切に願うものですぞ」

 「なるほど。その気持ち、分からなくもないよ」


 人って、必要以上に隠されていると、何となく暴きたくなるものだ。それが、大した事も無いちっぽけな秘密だったとしてもね。言い方は悪いけど、暴いたところで誰も得をしない秘密ですら、暴こうとするのだから人ってのは業が深いと言うか……。


 「つまり、これ以上の機関の発展はあのバカからのストップが入るってことだね? でも、中止じゃなくて方向性の変更ってことは、何か手はあるってことだよね?」

 「はい。以前、私が要塞に着任した直後の管理者からの褒賞によって、要塞の艦艇に関しては燃料効率が改善されたことを覚えていらっしゃいますかな?」

 「あー、そう言われると、あった様な……」


 何だかんだ、結構前の話なんだよな。確か、時間的にはコンラッドコロニー宙域で第6機動艦隊と戦った後の事だよな。細かい所までは正直、記憶に自信がない。その辺は研究者らしくドクターの方がしっかりと覚えていた様だ。


 「具体的には推進剤のリッター辺りの航続距離が倍になりました。つまり、新型機関の開発は行き詰まりましたが、現行機関を改良し燃焼効率改善によって推進剤消費量を減らす方向であれば、管理者の横槍を受けずに可能ではないかと」

 「なるほど。そっち方向に関してならば、制限を受ける可能性は低いってことか」

 「少なくとも、管理者は自身で設けた制限を己で破る事を良しとはしません」

 「逆に考えるならば、同じ行為なら制限出来ないって事か……」

 「はい」


 管理者の後追いとはなるが、推進剤の消費量が減らせるならば悪い話では無い。むしろ、機関方面ではこれ以上の研究開発は進めようが無いって事が判明しただけ、マシか。いや、そうなってくると光学兵器の開発に影響が出てくるよな?


 「取り合えず、既存機関の改良による推進剤消費量を減らす方向でってのは分かった。でも、そうなると光学兵器はどうなる?」

 「そうですな。新型機関が無理となったいま、光学兵器運用の為に補助機関を搭載するのが次善の策でしょうな」

 「そうなると、問題となるのは重量増加と、補助機関用の反応剤である水素の需要が増えるって事か」

 「はい。まぁ、重量に関しては先ほど申し上げた大気圏内推進システムにより相殺は可能ですな。そもそも、宇宙空間であれば多少の重量増加は大勢に影響は与えませぬ。反応剤に関しても、現状の主機関で使用されている量から考えて、補助機関分が増加してもそこまでは大差が無いかと?」


 重量に関しては大気圏内推進システムで相殺が可能。反応剤に関しては、推進剤と同じ水素である以上、推進剤を推進力に変換する際の効率が改善すれば十分に許容範囲内へと収まるか。まぁ、推進剤をゼロにとは出来ないけれども、それに関しては現状では諦めるしかないな。そもそも、無から有を生もうとした事が間違いだったと言えるか。


 「一先ず、新型機関は開発中止として、燃焼効率の改善に注力する形に移行ってことだね?」

 「はい。現状ではそれがベストだと思われます。さて、だいぶ長くなってしまいましたな。残りは現状報告となりますので、一括し纏めさせて頂きます」

 「了解」

 「先ず、対光学兵器用の防御手段ですが。散布型・塗布型、何れも基礎研究が完了し、基本設計段階へと間も無く入ります。その逆である光学兵器に関しては基本設計が完了し、現在は試作品の製造準備段階へ進んでおりますな」

 「何れも、現状は順調と」


 光学兵器と、それに対する防衛手段。既に一部の兵器で実用化はされているとは言え、光学系統の兵器やそれに対抗する手段ってのはまだ配備が進んでいない。他の勢力でも見られない様だが、切り札として持っている可能性は十分にある。万が一の為にも、早期の実戦配備が肝心だな。


 「香月司令官専用機に関しては、先の『オグマ改Ⅱ型』のデータをフィードバックし、次世代機の開発を進めているところです。正直、機体に掛かる負荷に如何に軽減するかで、かなり難航しております」

 「アハハ……。面目ない」

 「最後ですが、コロニーレーザー並びに、コロニーを用いた艦艇加速器に関してです」


 コロニーレーザー。これは結構、時間が掛かっている。まぁ、物が物だけにって言うのもあるし、何より元となるコロニー本体の確保が厄介なのよ。ただ、それも漸く解決しそうかなとは思っているけどね。加速器に関しても、本体次第ってのがあるからね。


 「コロニーの移動に関しては、推進器と光学迷彩、それにアクティブステルスを加える事で問題は無いかと思われます。まぁ、あの辺りに巣食う賊共の掃討と設置等の時間は必要ですがな」

 「宙賊に関しては、こっちで片付けるよ。ミディールの訓練には丁度良いだろうしね」

 「では、それと並行して設置を行わせましょう。コロニーレーザーへ改造する資材に関しては、加速器に改造するコロニーから概ね確保出来る見込みですので、要塞からの持ち出しは最低限で済む予定です」

 「それは何よりの朗報だよ。時間を掛けて必要量を確保する段取りだったとは言え、流石にコロニークラスともなるとね?」


 基本的にコロニーそのものを流用出来るとは言え、兵器に転用するにはそれなりの資材(資源)が必要となる訳で。それらの捻出に些か頭を痛めていたから、ドクターからの朗報はとてもありがたい。


 「改造の為に、工作艦の追加建造と人員手配をお願い出来ますかな? 詳細な隻数等に関しては、後ほどご報告に上がりますので」

 「了解。報告が届き次第、手配するよ。それと、一先ず追加依頼は止めるわ。現状で進めている研究開発、特に推進剤の燃焼効率改善を最優先で進めて欲しいからね」

 「かしこまりました。では、その様に進めますぞ」

 「宜しく」


 一先ず、研究開発に関してはこれ位だろうか? 思う様な結果が出なかった物もあるが、世の中これ位のバランスが丁度良いって事なんだろうね。さて、次は戦力強化のお時間だな。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 相転移炉も縮退炉も光子力エネルギーも波動エンジンもゲッター線もミノフスキー機関も無理ですか。 管理者さん、少しサービスしてもらえませんかね?
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