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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1章:歴史の始まり
15/336

1-15:作戦立案

サブタイ詐欺なお話。


※お知らせ※

アスローン級駆逐艦及び改アスローン級駆逐艦の建造時間をそれぞれ12/14→24/26時間へと変更しました。話の内容には影響はしておりません。むしろ、建造時間が本文内の時間の進みに合ってなかった……。

 「共和国はナターシャの行先に目星を付けていると思う?」

 「追跡艦隊の数が現状では少数ですので、既に大まかには絞り込んでいると思われます。それから、どの勢力も偵察衛星を自身の勢力圏内の彼方此方に多数展開させていますので、何れかの衛星に航路を捉えられているかと」

 「そうなると、逃走経路特定にそこまで時間は掛からないか」

 「おおよその方向さえ絞れてしまえば、そこから逃げ込み先の見当は付きやすいですからね。第16コロニー方面だと絞れてしまえば、そこからは真っ直ぐに向かうでしょう。この宙域で潜伏先に選ばれるのは、第16コロニーかこのデブリ帯しかありません」

 

 第16コロニーにナターシャの姿が無いと分かれば、追跡艦隊はデブリ帯の調査に来るだろう。そうなれば、このランドロッサ要塞が見つかるのは時間の問題だな。要塞全体を隠す光学迷彩とか有れば良いのに……。


 「貨客船を修理してナターシャ達を第16コロニーに送り出したとして、此処に追跡艦隊が来ないと言い切れないのがな……」

 「誰か1人でも告げ口しないとは言えませんからね。追跡艦隊に捕らえられ、命欲しさにこの要塞の事を喋らないとは断言出来ません」

 「かと言って、このまま此処に拘束しておいたとしても、コロニーにいないと分かれば、周辺宙域を探すよな。結果として遅かれ早かれ要塞の事はバレるか」

 「ですので、後手に回るよりかは先手を打つべきかと」

 「殴られる前に、殴るか」

 「はい」


 貨客船ディーシー号と遭遇してしまった時点で、選択肢は無かった様な物だ。遅かれ早かれ共和国とはやり合う事になっただろう。ならば、他人の書いたシナリオ上で動かされるよりかは、此方の用意したシナリオ上で彼らを躍らせた方が幾分かは良い。


 「踊らせる側か、踊らされる側。選ぶなら、絶対に躍らせる側だな」

 「そうですね。此方で筋書きを描ければそれだけやり易くなりますので」

 「よし、作戦プランを練ろう。ソフィー力を貸してくれ」

 「お任せ下さい」




 「こんな所かな?」

 「現状の戦力では、この程度が限度ですね。想定より早くボルジア共和国と戦火を交える事になりましたが、状況を考えるに止むを得ませんか」

 「意外と、管理者が仕組んだ出来事だったりしてな」

 「……考えたくは有りませんが、不思議と嫌な方に上手く歯車が合ってしまった感じが有ります」

 「だよな。正直、偶然とは考え難いと思う。余りにタイミングが良すぎる」

 「ですが、そうであるならば。管理者は香月司令官ならば乗り越えられると判断したのだと思います」

 「着任3日目の新米司令官に無茶ぶり過ぎません?」


 現有の戦力で、どうにか追跡艦隊を相手取るプランは出来た。まぁ、ぶっつけ本番だし、想定外の事も当然起こり得るだろうから、精々目安程度にしかならないだろうけどな。それにしても、全てが出来過ぎているのは間違いないだろう。ソフィーも感じている様だし、管理者が何らかのテコ入れを行ったと考えるべきか。貨客船ディーシー号が、どう言った役割を与えられているのかは現状不明。でも、恐らくこの要塞の向かう方向性に関係しているのだろう。まずは、この状況を乗り越えるしか無い。オッサン、1つだけ心に決めた事がある。管理者をいつか絶対に殴る。


 「さてと、修理ドックはもう空いてるかな?」

 「昨晩、入港させたアスローン級駆逐艦2隻は何れも修理が完了していますので、今は空いています」

 「じゃ、早速ディーシー号を修理ドックに入れるか……」


 端末を操作してディーシー号を修理ドックの1番へと入港させる。通常の要塞ならば、アイザフ大佐達の操艦が必要なのだろうが、うちは色々と無人化が進んでいるお陰で人手が無くても良いらしい。無人の誘導艇が曳航して修理ドックに放り込んでくれるそうだ。無人って素晴らしい。オッサンは、リストラしないで下さいね?


 「次は、アイザフ大佐に話を通すか。このプランは彼らの協力無しには厳しいからな」

 「何処で話しをしますか?」

 「此処で良いんじゃないかな。協力して貰う以上、監獄ってのもね?」


 今更、司令室の事がバレたとしても大した意味は無い。それならば、要塞の中心部たる此処に招き入れる事で、此方の本気度を見せるのに使ってしまった方が良いだろう。こう言うのも肉を切らせて骨を切る(断つ)と言うのだろうか。いや、言わないな。


 「では、戦闘アンドロイドに連れて来させます。それまで、少しの時間ですが一息入れられたら如何ですか?」

 「何だかんだ、結構な時間が経ってたのか……。じゃ、お言葉に甘えて休んでくるよ」

 「どうぞ、ごゆっくり」

 「また、後で」




 司令室から、私室へ入る。結局、ボルジア共和国の追跡艦隊への対策を考える為に3時間以上も使ったのか。昼食も取れずじまいだったしな。何か軽食と飲み物を頼むとしよう。


 「……」


 サンドイッチとコーヒーが届くまでの短い時間。ベッドに横になりながら、無機質な天井を眺める。この天井を初めて見たのは3日、いや2日前の事か。あれよあれよと今日まで来ちゃって訳だが、毎日が濃密過ぎる日々だった。元の世界、日本に居た頃とは比べ物にならないほど、変化に富んだ日々。癇癪起こして理不尽に説教垂れてくる上司もいないし、足下見て吹っ掛けてくる取引先もいない。失敗すれば命も危ないってのに、今の方が伸び伸びと生きている様な気すらしてくる。

 

 「本格的な戦闘か……」


 昨日の貨客船ディーシー号との戦闘では、奇跡的に死傷者は出なかった。だが、次はそうはいかないだろうな。相手の方が数的有利な状況で、加減をしてスラスターを狙う様な余裕は此方に無い。エンジンなり艦橋なりを真っ先に狙って潰していくしかない。非情になるしか、生き残れない世界だ。


 「多分、管理者は俺に覚悟を決めさせたいのかもな。まぁ、あくまで今回の事態が管理者の手引きだとしたらの話だけどさ」


 私は何もやっていない! って管理者が怒っているかもしれん。管理者の1人称が私かどうかは知らないが。


 「おっ、来たか。さて、アイザフ大佐と会う前の腹ごしらえといこう」


 考え事をしている内に、出来上がっていたサンドイッチとコーヒーが部屋へと届いた。何処でどの様に調理されているのかは不明だが、恐らく機械が調理しているのだろう。って、どうでも良いな。美味ければ良いんだよ。オッサン、味には五月蠅い。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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